『クジャクのダンス、誰が見た?』の場面カット(C)TBSスパークル/TBS 俳優の広瀬すずが主演を務める、TBS系金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(毎週金曜 後10:00)。22年前に起こった、心麦の父・山下春生(リリー・フランキー)も捜査にあたった東賀山事件の犯人として死刑判決を受け、現在も服役している死刑囚・遠藤力郎(酒向芳)。3月21日に放送された第9話で、息子・遠藤友哉(成田凌)の幼なじみで記者の神井孝(磯村勇斗)が受け取ったという力郎の手紙で新たな事実が明らかとなった。酒向は力郎とどう向き合っているのか。印象に残っていることとは――。
【写真多数】真犯人が判明!? 意外な人物の登場シーン――植木職人として真面目に働いていた力郎は、妻が出て行った後ギャンブルや酒におぼれていきましたが、どのように演じようと思われましたか?
私自身、ギャンブルはやりません。ですが、俳優という仕事はギャンブルのようなものかもしれません。いつ芽が出るか、いつ呼ばれなくなるか分からないですからね。その中で、さまざまな役と出会えることは褒章だと思っています。そう考えると、毎回同じ役ではなく、新たな役を演じられる私は幸せ者なのかもしれません。今回演じた力郎は監督たちの考えを聞いて、自分の中で落とし込みながら、毎シーン挑んでいます。
――力郎にとって、息子の友哉はどんな存在だと思われますか?
「この子のためなら」と思ってしまうくらい、大事な存在だと思います。ありきたりな言葉にはなってしまいますが、目に入れても痛くないほどでしょうね。私自身も子どもを持つ親なので、少し重ねてしまい切ない気持ちになったこともあります。
2話では、友哉がパチンコ店でパチンコ玉を拾うシーンや、奥さんと友哉と3人で並んで寝ているシーンがありました。そして、力郎が手錠をかけられ、連行されるときの友哉の顔が、とても印象に残っています。
――屋台ラーメン店の店主・染田進を演じた酒井敏也さんと、この作品がきっかけで同郷であることが分かったそうですね。
酒井さんとは今回が初共演でした。高校の教師をしている私の同級生から、「お前と同じ作品に出ている酒井って、お前の後輩やぞ」と言われて驚きました。調べてみると同じ岐阜県出身で、しかも私と同じ高校の窯業科に通っていた1学年下の後輩だと分かったんです。びっくりしましたね。そのご縁もあって、一緒に食事に行きました。
――酒向さんは本作はもちろん、昨年の10月期に放送された日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS)でも視聴者の印象に残る役柄を演じられていましたが、演じる際に意識していることはありますか?
自分の爪痕を残そうと思って取り組んでいるわけではないので、特に意識していることはありません。台本に書かれていること、そのシーンでの自分の役割を全うすることを大切にしています。SNSは一切見ていないので、本作でも監督から「犯人考察が盛り上がっている」と聞いても、最初は何の話なのか分からなかったくらいです(笑)。
――「信じること」が本作のテーマですが、酒向さんが何かを信じるときに大切にしていることは?
自分を信じないことには、人を信じることはできないと思います。自分を信じた上で相手を選ばないと、どこかで裏切られるかもしれませんからね。
人のことは簡単には分からないものですが、まずは相手の目を見ることが大事だと思います。目を見ると、その人がこれまでどんな生活をしてきたのか、なんとなく分かるんですよ。超能力があるわけではないですが、それまで生きてきた軌跡のようなものが見える気がします。これは、年齢を重ねる中で分かってきたことですね。
――若い頃から自分を信じることができていたのでしょうか?
信じられなかったですね。自分が分からなければ、自分を信じることはできません。自分がどういう人間なのかを理解したときに、初めて自分を信じることができるのではないでしょうか。
――最後に、本作の見どころを教えてください。
演者側も犯人を知らずに撮影が進んでいったのは、珍しいのではないでしょうか。
私の中にある力郎の部分を引き出せたと思っているので、見てくださる皆さんに「この人、気持ち悪いな」と思ってもらえたらいいのかなと思います(笑)。最後までお楽しみください。