
地域の保健所や役所の福祉課にいる保健師という仕事は、医師や看護師と比べて認知度が低く、どんなことをしているのか知らない人も多いでしょう。そんな保健師の話を漫画家の花田はせ子さんが、漫画『けんし小景 第3話 妙蓮寺ななの話』としてX(旧Twitter)で投稿し、話題となっています。
【漫画】「夫がガンで入院したの」突然の告白に戸惑う主人公でしたが…(全編を読む)
主人公の妙蓮寺ななは市役所の福祉部に保健師として配属されたものの、資料印刷の大量ミスや訪問予定のダブルブッキングなど、大きな失敗を連発します。そしてある日、自分の失敗に嫌気がさしたななは、辞表を提出しようと覚悟を決めました。意を決して上司に辞表を出そうとした時、ななを呼ぶ声が窓口に響きます。ななを呼んだのは、おしゃべり大好きな窓口相談の常連さんでした。いつもの長話を回避するべく逃げようとしますが、ななは結局見つかりおしゃべりに付き合うことになるのでした。
常連さんはいつものようにマシンガントークを繰り出すも、ななは常連さんに疑問を感じます。それは、いつもなら一緒にいる常連さんの夫がいなかったことです。この疑問を常連さんに尋ねると、「ガンが見つかって入院した」と告げられます。
ガン発見という衝撃的な事実にななは言葉に困っていると、常連さんは「窓口で旦那を説得してくれたあなたのおかげ」とまさかの感謝の言葉を口にします。実は以前、常連さん夫婦が市役所の窓口に来た際、調子の悪い夫を病院に行かせたい常連さんと、病院に行くことを嫌がる夫で口論になっていたのです。この口論にななは割って入り、病院に行くように真摯に説得していたのでした。
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ななはこの出来事をきっかけに、自分の仕事が誰かの助けになっていたことを悟り「自分に何かできることがあるはず」と使命感が芽生え始めます。
市役所の福祉部で繰り広げられる印象的な出来事を切り取った同作について、作者の花田はせ子さんに詳しく話を聞きました。
―このお話を書こうと思ったきっかけを教えて下さい。
自分が保健師として働いているとき「保健師って日常に根ざした活動をしているけど、知名度が恐ろしく低いな」と感じていました。だから、まず保健師に親しみを感じてもらいたいと思い、保健師の業務内容というより、日常のひとこまを切り取るような漫画を描いてみようと考えました。
―同作には実体験や見聞きしたお話も含まれているのでしょうか?
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体験談や見聞きしたお話の要素を、細分化していくつか組み合わせたような構成にしています!
―保健師さんとして働いていた中で、印象に残っていることはありますか?
ある日住民の方からの相談電話があり、対応を引き継いだときにベテランの保健師さんが「〇〇さんって△△に住んでて××人家族の人だよね? 数年前にこんな課題があったから、今回は◻︎◻︎のことで困ってるのかなあ」と話されていたことがありました。その後確認すると、すべて合っていて、記憶力にびっくりしました。
保健師は、人数的にも内容的にもさまざまな方のサポートをしていますが、ベテランになると長期的に扱われた方の家族構成や年齢サポート、迷っている課題まで正確に覚えている場合が多いです。数年越しの相談でも、当時の状況をすらっと思い出せる姿に、感動とともに、ベテラン保健師さんのすごさに憧れを抱きました。
(海川 まこと/漫画収集家)
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