大雨のなか、エバンスがリード拡大。勝田貴元も最速連発の好走【ケニア3日目レポート】

2

2025年03月23日 00:20  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第3戦サファリ・ラリー・ケニア
 3月22日(土)、アフリカ・ケニアにて2025年WRC世界ラリー選手権の第3戦『サファリ・ラリー・ケニア』のデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRT(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。TGR-WRTのレギュラードライバーである勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合4番手でデイ3を終えた。

 折り返しのデイ3を迎えた第3戦。舞台となるケニアは現在雨季であり、前日に雨が降ったことでコンディションは大きく変化することに。ステージ各所にはぬかるんだコーナーも増えたなか、デイ3はSS(スペシャルステージ)11〜16の全6本で争われた。


■ぬかるみで暴れるマシン。パンクも続出の荒れ模様

 この日は、世界遺産にも登録されているエレメンタイタ湖周辺で3本のステージを2回ずつ走る行程が組まれている。最初に走る『スリーピング・ウォリアー』は、シェイクダウンで使用した区間とほど近いものの、同じ道は使用していない。

 最初にコースインしたのは、ジェントルマンドライバーのジョルダン・セルデリディス(フォード・プーマ・ラリー1)。なお、アドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)は前日のデイリタイアで順位を大きく下げているために本来は先頭走者となるはずだったが、日曜日のスーパーサンデーにターゲットを絞るために出走をキャンセルした。

 このSS11で各車は、コース前半の水たまりが多く残る区間に苦戦することに。凹凸した路面がさらにぬかるんだことで真っすぐに走ることも難しくなり、泥に隠れた岩も牙を剥く厳しいコンディションだ。そしてコース後半では、ジョシュ・マッカーリーン(フォード・プーマ・ラリー1)やティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がパンクに見舞われるなど、この日もトラブル続出の展開は続く。

 そんななかで速さを発揮したのはTGR-WRT勢。勝田が安定した走りで暫定トップタイムを大きく塗り替えると、僚友のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)とエバンスもベストを更新。ヌービルがタイムロスを喫したこともあり、これで勝田は総合4番手に浮上した。

 続くSS12も滑りやすいコンディションとなり、好調トヨタのエバンスと勝田がワン・ツーを確保し、僚友ロバンペラも3番手に続いたが、こちらは終盤で右フロントタイヤにパンクが起きたため20秒を失ってしまった。

 気温も22度に上がった午前最後のSS13では、勝田がもっとも勢いのあるアタックを披露。前日最後のSSで見え始めた速さはさらに増し、今大会初のステージウインを飾った。

 一方、遅れを取り戻したいロバンペラはここでも左フロントタイヤのパンクに見舞われてしまい、さらに1分20秒をロス。これでエバンスのリードは1分30秒に広がり、2番手ロバンペラと3番手タナックの差は17.0秒にまで縮まった。

 そして、タナックから1分47秒差の4番手には勝田がつけた。デイ2での一時13番手後退から値千金の挽回を見せている勝田だが、実は食あたりに苦しみながらのラリーをなっているようで、昼のメディアゾーンでは、睡眠不足も相まって「めまいがします。これまででもっとも辛いラリーですね」と語るほどの様子。そんな苦境の中でもステージウインをあげる力走を見せている。


■ロバンペラにさらなるトラブル。雨に耐えたヒョンデに光明

 そして午後になると、強い雨が降り始めた。同じ3月開催であった昨年を含めても類を見ない強さの雨となり、午後1本目のSS14は未知の領域でのアタックとなった。

 泥濘ではクルマの進行方向が定まらず、ラインを外せば岩がタイヤにダメージを与えかねないという険しいステージとなったが、勝田がふたたび光る走りを見せた。

 滑り出せば止まらないようなダートでもっとも安定したマシン運びを披露した勝田は、総合2番手のロバンペラを15秒も突き放すアタックを見せ、連続ステージウインを飾った。これで総合3番手のタナックとの差も、15.9秒差まで一気に詰めることに成功する。

 一方、ロバンペラは災難が続き、左リヤの足回りにダメージを負いながらのフィニッシュ。タイムロスこそ抑えたものの、次のステージまで修復に追われることとなった。

 続くSS15では開始タイミングに雨が弱まり、2番目走者のグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)が好走。以降の勝田やヌービルがタイヤトラブル、ロバンペラも完全な修復が叶わなかったうえに雨脚も強まったためにタイム更新はなく、ミュンスターが今大会初のステージウインを飾った。

 この日最後のSS16も雨脚が不安定なまま行われたが、ヒョンデのタナック、ヌービルらがほとんどグリップしないぬかるんだ区間をスムーズに走破し、ワン・ツーでデイ3を終えた。そして、3番手を争う勝田はパンクが発生して2分の遅れとなり、ロバンペラもマシンのダメージが響いて本領を発揮できず、3分の遅れとなった。

 これでデイ3のステージはすべて終了となり、総合首位はエバンスが死守、そして1分57秒4差の総合2番手にはタナックが浮上した。さらにトップから4分33秒4差の総合3番手には、ロバンペラと勝田がSS16で後退したことでヌービルがつける結果となった。ヌービルと33.2秒差の4番手には勝田、さらに勝田と59.4秒差の5番手にはロバンペラが続いている。

 いよいよ総合優勝者の決まるデイ4は、SS17〜21の5本で争われる予定。ステージの総距離は65.99kmだ。

[オートスポーツweb 2025年03月23日]

このニュースに関するつぶやき

  • ハンコックのタイヤがパンクしまくって、イベントを台無しにしている。ピレリより酷いかもしれない。
    • イイネ!9
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ニュース設定