世界各国の映画賞で話題『ラ・コシーナ/厨房』公開決定 メキシコの新たな鬼才が描く社会風刺&厨房エンターテインメント

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2025年03月24日 14:10  クランクイン!

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映画『ラ・コシーナ/厨房』日本版ビジュアル (C)COPYRIGHT ZONA CERO CINE 2023
 第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されたメキシコの鬼才アロンソ・ルイスパラシオス監督作『La Cocina(原題)』が、邦題を『ラ・コシーナ/厨房』として6月13日より公開されることが決定。日本版の予告編とビジュアルが解禁された。

【動画】なぜか厨房が水浸し・・こんな所でもう働けない! 『ラ・コシーナ/厨房』予告

 本作の舞台は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」。【厨房=世界の縮図】での人間関係を時にユーモラスに、時に痛烈に描いたヒューマン・エンターテインメントだ。

 原作は、イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた1959年初演の戯曲『調理場』。日本でも2005年に舞台演出家の蜷川幸雄さんの演出により『キッチン KITCHEN』として上演されるなど幾度となく舞台化されてきた作品で、映画化は本作で2度目となる。

 『ラ・コシーナ/厨房』では舞台をニューヨークの観光客向けレストランに移し、まぶしく先進的な街と、レストランで働きながらアメリカン・ドリームを求めて滞在する移民たちの対比を全編ほぼモノクロームでスタイリッシュに描く。様々なルーツを持つ彼ら&彼女らが働く笑えるほどにブラックな職場は、文化や政治の違いと資本主義が作り上げた格差ループから抜けられない人々が付かず離れずひしめき合う、この世界の縮図のようでもある。

 「ザ・グリル」の料理人のひとりでメキシコ移民である主人公ペドロを演じるのは、『コップ・ムービー』『巣窟の祭典』などのラウル・ブリオネス。トラブルメーカーで大人になりきれないが、料理の腕は一級という魅力的な人物像を熱演し、「The Hollywood Reporterが選ぶ2024年ベストパフォーマンス俳優」15名の1人に選ばれた。彼の恋人で秘密を抱えるアメリカ人のウェイトレス・ジュリアを演じるのは、ハリウッドが誇る実力派ルーニー・マーラ。ふたりのロマンチックだがどこか訳ありのラブストーリーが、大混乱を極める厨房での一日のゆくえと絶妙に絡み合っていることにも注目だ。

 監督・脚本を務めたのは、『コップ・ムービー』(2021)が第71回ベルリン国際映画祭で芸術貢献賞(銀熊賞)を受賞するなど、ベルリン国際映画祭常連のアロンソ・ルイスパラシオス。最新作『ラ・コシーナ/厨房』も第74回ベルリン国際映画祭でコンペティション部門に出品され、その力強い表現が称賛されたほか、世界各国の映画祭で12の受賞を記録中。Indiewireが発表した[映画人の選ぶ2024年フェイバリット・フィルム]では、『チャレンジャーズ』『君の名前で僕を呼んで』などのルカ・グァダニーノ監督が15本のうちの1本に挙げるなど高い評価を受けている。

 日本版予告編で捉えているのは、レジだけで6台もあるニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」での一日。朝、前日の売上金の一部が消えたことが分かり、オーナーの指令で全従業員に対する“犯人捜し”が始まる。移民たちが笑顔で慌ただしく働く活気に満ちた厨房の雰囲気から一変、ペドロをはじめ従業員たちのストレスは爆発寸前となり、予想だにしない事態へと発展していく。映像にはそのほか、お互い違う持ち場で働くペドロとジュリアが、恋人らしく視線を交わす様子やバックヤードでキスするシーン、さらにペドロがジュリアに大金を渡す場面もあり、ふたりの訳ありの恋模様のゆくえも気になる予告に仕上がった。

 日本版ビジュアルは、「ザ・グリル」のシンボルである大きな水槽を挟んで、ペドロとジュリアが見つめ合う姿を捉えたもの。この水槽は、恋人たちの間を隔てる余りに大きなものの象徴。水槽の中には、映画に価値観のメタファーとして登場するロブスターや、アメリカン・ドリームを指す自由の女神像が配されている。爆発寸前の感情が渦を巻く、痛烈なヒューマン・エンターテインメントに期待したい。

 映画『ラ・コシーナ/厨房』は6月13日より全国公開。
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