
京都大学の卒業式が24日、京都市左京区のみやこめっせで行われた。毎年、学生のさまざまな仮装姿で話題になるだけに、会場周辺にはスーツ姿の学生や保護者に混じって、開幕を控えた大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」など、時事ニュースに合わせた格好の学生の姿が見受けられた。
赤いゴム風船を顔の周囲に取り付け、青い全身タイツを着ていたのは総合人間学部4年の男子学生(22)。「大阪・関西万博を応援したいので、この格好をしました」。赤い風船に張られた文字をよく見ると漢字で「脈々」。「(公式キャラクターに)迷惑かけるといけないんで漢字にしました」と語った。
「開幕に間に合うように」
もう1体のミャクミャクは、中身の人間が見えていた。工学部4年男子学生(23)は「(卒業式の)開幕には間に合うよう急ピッチで作業しています」と皮肉を効かせた。そのミャクミャクの横には1970年の大阪万博の象徴「太陽の塔」、さらには1985年つくば科学万博の「コスモ星人」、2005年愛知万博の「キッコロ」「モリゾー」もいた。「ぼくたちが駆けつけたんです」。ミャクミャクの様子をほかのキャラクターたちが見守っていた。
大リーグで活躍するあの選手も会場付近に降臨した。ドジャースをオマージュしたTシャツ姿。そう「大谷翔平」だ。でも大谷選手の横に立つ人物が持つ紙には「二刀流」に「×印」をして「二度留」と書かれている。工学部の仲間で4年男子学生(24)は「2度留年したので、こうしました」。横に立つ4年男子学生(22)は「通訳もします」と自己紹介。ちなみに背番号は「26億」だそう。さらに元メジャリーガーの背番号「51」も加わる。「1年浪人したのでイチローです」と4年男子学生(23)。3人とも大学院に進むという。
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「ゴー☆ジャス」の理由は
あの人気お笑い芸人?の姿も。ピエロのような化粧と海賊帽で地球儀を手にしていたのは、建築学科の男子学生(22)。卒業設計で他の学生たちが建物などを制作する中、「地球を一周する橋」という壮大な計画を提出した。
「先生にはあきれられたが、面白いことがしたかった」と話し、その模型の一部だった地球を使って「ゴー☆ジャス」さんになりきった。春からは大学院に進み、建築学の研究者を目指すという。
カラフルな野菜の着ぐるみに身を包んでいたのは、農学部の女子学生5人組。女子学生の1人(22)は「色白なので」と、ダイコンに扮(ふん)するなど、5人それぞれのイメージカラーをまとった。
農家での実習で賀茂なすやキヌサヤの栽培に取り組んだことが思い出という。総合商社に就職する女子学生は「これからも農業に関わる仕事がしたい」と話した。
教育学部の男子学生(23)は、「京大という幻想から離れ、リアルを生きる社会人になる」という決意を込め、若者に人気のスマートフォンアプリ「BeReal.」(ビーリアル)に扮(ふん)した。
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同アプリはスマホのカメラを使って自撮り写真を友達と共有するが、インスタグラムのように「映える」加工はできす、「ありのままの自分を見せる」ことが特徴。仮装では、内外のカメラで同時に撮影するアプリ画面を、パネルに空けた穴と鏡で表現した。
男子学生は「本当はこういうSNSを使う明るいタイプではない」といい、アプリは数日前に初めてインストールしたという。それでも、「たまたまキャンプファイアをしているときに撮れてうれしかった。今日もいろんな人に褒めてもらって楽しい」と笑顔だった。春からは東京でシステム開発の仕事という「リアル」に向き合うという。
(まいどなニュース/京都新聞)
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