
茨城県在住の40代女性・かしかさんには2人の子供がいる。
上の娘が7歳、下の息子が3歳だった10年ほど前のこと。
かしかさんが仕事に行っている間に、2人は家の外に出てしまって......。

まだ幼い子供たちが...(画像はイメージ)
<かしかさんからのおたより>
もう10年も前になります。当時、仕事を転々としていた夫が働かず、生活できるお金がないため、仕方なく家に夫と2人の子供を置いて、正社員で働くようになりました。
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上の娘が7歳、下の息子が3歳だった年の夏休み。お友達は家族でお出かけしたりしているのに、夫は家でゴロゴロしていて、うちの子たちは外にも出られず過ごしていました。
そんな中で娘が、息子をショッピングモールに遊びに連れていってあげようと思い立ったのです。
「弟に楽しい時間を過ごさせてあげたい」
弟に楽しい時間を過ごさせてあげたいと思ったお姉ちゃん。貯金箱から小銭を持って、建物が見える方向に歩いて行ったのですが、目印がだんだん見えなくなります。
ショッピングモールにたどり着くには、高い遊歩道まで上がらないといけなかったのですが、見えなくなってしまったので、諦めて帰ろうとしたそうです。
しかし、その時には帰り道も分からなくなってしまっていました。
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あたふたして、うろうろしている間に、全く知らない道に来てしまい、娘は泣き出してしまったそう。そんな姉の声を聞いて、息子も泣き出してしまったんだとか。

迷子になってしまって...(画像はイメージ)
そこをたまたま、中年女性が車で通りがかり、うちの娘に声をかけてくださったのです。
「お姉ちゃんたち、どうしたの?」
娘は「おうちに帰る道が分からなくなりました...」と答えたそうです。
一瞬、頭が真っ白に
私がそのことを知ったのは、職場にかかってきた電話ででした。
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実は正社員として働き始めた時に、「何かあった時のために」と娘に子供用の携帯電話を持たせていたのです。
娘に声をかけてくれた中年女性が、その携帯電話を使って、仕事中の私に連絡をしてきてくれました。
「もしもし、今、畑の農道で娘さんと息子さんが迷子になっていて......。
お母さんは? と聞いたら、お仕事で居ないと言うので、もしよかったら自宅まで送り届けますよ」
一瞬、頭が真っ白になりましたが、2人が無事なことに安心して、自宅の近くの飲食店の名前を伝えました。そこまで行けば、娘がその先を説明できるからです。
その時に、お礼の連絡をするために電話番号も尋ねたのですが、「お礼なんて、いいんですよ。お姉ちゃんがとても可哀想だったので、本当に気になさらないで」とおっしゃられて、結局名字しかわかりません。
その方はその後、子供たちを自宅の前まで車で送り届け、帰っていったそうです。
ただ、わたしが家に帰って、夫にその話をすると、「寝てたから知らない」と......。結局、私は夫とは離婚しました。

農道で迷子になっていた子供たちを助けてくれた、貴女へ(画像はイメージ)
今は娘が高校生、息子は中学生。2人とも親が家に居なくても大丈夫になりました。
あの頃の事を思い出すと、お礼も言えず、誰なのかも分からないままになっていることが、悔やまれます。
もし、これを見てくださって、少しでも思い出してくださった方がいらっしゃったのなら、「本当にお世話になりました」とお伝えしたいです。
大切な子供たちを怪我もなく送り届けてくださって、ありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度〜)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)