銀行のATM(資料写真) 高齢者の特殊詐欺被害が深刻化していることを受け、警察庁が、75歳以上を対象にATMの1日当たりの利用限度額を30万円にする方向で検討していることが25日、同庁への取材で分かった。警察庁はパブリックコメントを経て、犯罪収益移転防止法の施行規則を改正したい考えで、全国銀行協会などと調整を進めている。
ATMの利用限度額は現在、各金融機関が「引き出しは1日50万円」などと定めている。あくまで金融機関側の自主的な取り組みで、法的な規制はない。
一方、特殊詐欺の被害は急増しており、同庁によると、昨年の被害額は721.5億円(暫定値)と過去最悪を更新した。被害者の約45%に当たる9415人が75歳以上だった。
同庁は年金支給額などを考慮し、1日当たりの上限額を、引き出しと振り込みいずれも30万円とする方向で調整している。対象は75歳以上に限定する。金融機関側の負担や利用者の利便性低下を考慮した。
日常的に高額な取引が予想される個人事業主らについては、例外とすることを検討している。