ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)/2025MotoGP第6戦フランスGP 決勝 5月11日、2025年MotoGP第6戦フランスGP MotoGPクラスの決勝レースがル・マン-ブガッティ・サーキットで行われ、ホンダHRCカストロールのルカ・マリーニは11位でフィニッシュし、ジョアン・ミルはリタイアとなった。
夜に降った雨が路面に残り、朝のウォームアップはウエットコンディションとなった。決勝レースの時間帯に雨雲が来る可能性もあり、各車10分の間にウエットタイヤを試す。どのライダーも転倒に細心の注意を払いながら走行するなか、ミルが1番手タイムを記録。マリーニは7番手に続いた。
軽い雨で迎えたプレミアクラスの決勝レース。ウォームアップラップ中にさらに雨足が強くなると、マシン乗り換えが可能となるホワイトフラッグが掲示された。全車がピットに戻ったため、赤旗中断を経てクイックスタートとなり、全車ウエットタイヤを選択した。これにより決勝レースは1周減算の26周となった。再びウォームアップラップが始まったものの、雨足が弱まったと判断した多くのライダーがピットに戻るとまたもウォームアップラップが行われて全車がグリッドについた。
決勝レースがスタートするも、ミルは2・3コーナーのシケインで転倒を喫して早々にリタイアとなった。この時、ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)との接触を伴う形となったが、ザルコ自身はグラベルを通り抜けてレースに復帰している。ミルは転倒した際に地面に激しく叩きつけれたことで負傷。右手の骨折と首の痛みが確認されており、さらなる検査のために病院に搬送された。
マリーニは、ウエットタイヤのままスタートして、新規則で科されるペナルティを回避する。オープニングラップ後にピットインしてスリックタイヤに変更するものの、スタート前にタイヤを変えたダブルロングラップペナルティを受けたライダーたちよりもロスが大きい結果となってしまった。
さらに不運は続く。3周目を過ぎた頃から雨が強くなり、スリック勢は続々とウエットタイヤへ変えざるを得なくなる。マリーニも7周目に2度目のピットインで再びウエットタイヤへ。前方の小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)は30秒以上離れており、後方のアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)は10秒以上の差の13番手で単独走行で周回を続けた。
トリッキーなコンディションのなか堅実にマシンを走らせたマリーニは、終盤の上位ライダーの転倒により残り4周の時点で11番手に浮上。マリーニは最後までそのポジションを保ち続けて11位でフィニッシュした。
ホンダ勢においては、既報の通り、レースを通してウエットタイヤで走り切ったザルコが母国優勝を果たし、2023年第3戦アメリカズGP以来の勝ち星をホンダにもたらした。ワイルドカード参戦の中上もザルコと同じ戦略を取り、6位でチェッカーを受けた。
スタート前から序盤にかけて目まぐるしく変わる天候に翻弄されたマリーニは、ザルコや中上と対照的な結果となったものの、完走して5ポイントを獲得した。後方スタートであったことを鑑みれば、ドライコンディションより多くのポイントを獲得できたと考えることもできる。
今大会でザルコが優勝したものの、未だ苦戦続くホンダ勢。今季から開発体制も一新されたことでさらなる競争力を得られるのか、これから続くヨーロッパラウンドにも注目したい。
ルカ・マリーニ(決勝:11位)
「まず初めに、ホンダとザルコにおめでとうと言いたい。この結果のために、みんな本当に懸命に取り組んできた。今日は大きなチャンスだっただけに、正直言って本当に悔しい。ほとんどすべての判断が裏目に出てしまったからね」
「もちろん、レースが終わった後なら『ウエットタイヤのままが正解だった』と言うのは簡単だけど、スタートはすごく良くて、序盤は速かったんだ。でも、天候がこうも変わってしまうとね…。コンディションが落ち着いてからはフィーリングも良くて、かなり速く走れたけれど、タイヤ交換などで時間を失いすぎた。もしこうしたミスがなければ、ザルコが見せたような結果も狙えたと思う」
[オートスポーツweb 2025年05月12日]