今年は猛暑が和らぐ?7年以上続いた「黒潮大蛇行」終息の兆し 消えたシラス不漁も解消か 専門家が解説【news23】

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2025年05月13日 13:58  TBS NEWS DIG

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今年の夏は厳しい暑さが少し和らぐ可能性が出てきました。その理由は、7年以上続いた「黒潮大蛇行」の変化。魚の値段にも影響が出るかもしれません。

【写真を見る】水揚げされたわずかなシラス…嘆く仲買人

記録的不漁で「商売として成り立たない」静岡のシラスに何が?

記者
「午前9時半です。いまシラスをのせた船が港に戻ってきました」

静岡の御前崎魚市場には、多い時にはシラスが入ったかごが200〜300ほど並ぶといいますが、この日はかごが3つしかありません。

仲買人
「いや無いですよ。いくら少ないと言っても、もうちょっとは普通ある。これしかないって商売として成り立たない」

静岡のシラス漁はここ数年、不漁が続いています。10年前、8500トンほどあった水揚げ量は近年、急激に低下。ゴールデンウイーク恒例の「生シラス」販売も2025年は中止になってしまいました。

大井川商工会 榊原昇次 会長
「シラスが販売できなかったのはおそらく初めて」

こちらの鮮魚店は県外産のシラスを売っています。

鮮魚魚長 伊藤雄哉 専務
「地元の魚売りたい、いい物を提供したいというのがすごくあるが、量が少ないと値段も高騰し、どうしても他県を頼ることになる」

深刻な不漁の原因の一つに挙げられているのが…

大井川商工会 榊原昇次 会長
「最近天候も不順で海流も大蛇行している。その影響が大きいのではないか」

本州の南を流れる暖かい海流「黒潮」。この「黒潮」は2017年以降、紀伊半島から東海沖で南に大きく蛇行する状態が続いていて、過去最長の「大蛇行」となっていました。(2025年3月28日時点)

専門家は…

海洋研究開発機構 美山透 主任研究員
「黒潮というのは非常に暖かくて強い流れ。それが静岡にぶつかるような形で流れてくるので。水温が高くなり、南から来る魚は増えるが今までいたような魚がいなくなったり。その魚が生息しにくい環境になっている可能性もあるし、餌が少なくなっている可能性もある」

ただ気象庁は9日、7年9か月にわたり続いていた黒潮大蛇行が「終息する兆しがある」と発表しました。

海洋研究開発機構 美山透 主任研究員
「(不漁が)黒潮大蛇行が原因だったとすれば、(回復は)少し期待できるところかな。断言はできないが期待したい」

「黒潮大蛇行」終息で日本の夏も変わるか

さらに黒潮大蛇行は日本の猛暑の一因とも指摘されてきました。

東北大(海洋物理学) 杉本周作 准教授
「黒潮の大蛇行によって増えた水蒸気が日本にどんどん送り込まれる。この水蒸気は強い温室効果気体でもあるので、太平洋沿岸部、特に東海〜関東にかけて気温上昇をもたらす」

杉本氏によりますと、黒潮大蛇行の影響で気温は東海地方で約1度、関東地方で約0.6度上昇。また大気が不安定化することで降水量の増加も引き起こしてきたといいます。

東北大(海洋物理学) 杉本周作 准教授
「熱海を襲った土石流災害を起こしたのも静岡で1.3倍〜1.5倍、雨を増やしているというのもシミュレーションで分かっている」

黒潮大蛇行が終息すれば、こうした大雨などへの影響が緩和されるということです。

東北大(海洋物理学) 杉本周作 准教授
「短時間で降る雨といった線状降水帯的なものの頻度を抑える。そういった役割もあり得るのではと思っている。夏の気候は少し穏やかになるのかなという印象を持っている」

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