マクラーレンの優位性をもたらすブレーキシステムにライバルが注目。リヤタイヤの温度制御に大きな効果

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2025年05月14日 17:40  AUTOSPORT web

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2025年F1第6戦マイアミGP オスカー・ピアストリ(マクラーレンMCL39)
 F1マイアミGPでマクラーレンが圧倒的な1-2フィニッシュを成し遂げたことで、他チームは、MCL39が持つ、リヤタイヤの温度を制御する能力への注目を高めている。今年ここまでのすべてのサーキットにおいて、リヤタイヤへの負担が大きい場合や、路面温度が非常に高い場合に、マクラーレンは決勝日、他とは一線を画すパフォーマンスを発揮してきた。

 マイアミにおけるマクラーレンの驚異的なレースペースの鍵は、リヤタイヤのオーバーヒートを回避していることであると考えられる。レッドブルは、マクラーレンの温度を制御する能力に関して様々な理論を振りかざして違法性への疑問を示し、何度もFIAに苦情を申し立てているが、FIAは、検査を実施した結果、MCL39に違法な点は一切ないという結論を出した。

 F1チームが、プロのカメラマンを雇い、他チームのマシンの詳細な写真を撮影するのは、昔から行われてきていることだ。特にフリー走行1回目が始まる前の木曜日と金曜日朝には、チームはガレージ内での作業を覆い隠すことができないため、外部から観察する絶好の機会となる。

 そうして観察が行われた結果、マクラーレンのリヤブレーキシステムに関していくつか興味深い詳細が明らかになりつつある。

 現在広く信じられているのは、マクラーレンは、ブレーキドラム内に、耐熱性の高いセラミックライニングのカーボンファイバー製のチャネルを使用しているということだ。MCL39のみが、リヤブレーキシステム全体をブレーキドラム内に完全に収めており、その事実が、優れた冷却性能の秘密がブレーキドラム内にあることを示している。外部から撮影された写真の一部から、いくつかのパーツのカーボンファイバーに異なる素材が施されていることが確認できる。

 マクラーレンはまた、特にフリー走行でのロングラン中に、ブレーキドラムのさまざまな部位に温度センサーを使用し、システムからどれだけの熱が発生してリヤタイヤに伝わるかを確認している。それによって、決勝日のブレーキ効率とブレーキ冷却の最適なバランスを見つけ出しているようだ。

 マシンが技術規則に完全に準拠しなければならないのは予選と決勝だけであるため、チームはフリー走行をテストセッションとして利用できる。例えば、ブレーキドラムの外形を変更することは、予選と決勝では許可されない。

 マクラーレンは、冷たい空気をブレーキドラム内部に循環させることに成功していると考えられている。これによりディスクおよびキャリパーハウジングとホイールリム自体との間の熱伝達を最小限に抑えることができ、結果としてリヤタイヤに伝わる熱の量が減少する。

 冷たい空気をブレーキドラムに供給する最良の方法を見出すために、多くの作業が行われてきた。そして、ブレーキドラムの内部には多数のチャネルがあり、それらは空気の流れをキャリパー、ディスク、その間の空間、さらにリムの周辺部位へと導き、ライバルチームよりうまくリヤタイヤの温度を制御することに成功している。

 レッドブルがひっきりなしにマクラーレンへの疑念を指摘することに、FIAはうんざりし始めている。レッドブルが広めた理論のなかで違法性を証明するものは、今のところひとつもないからだ。FIAの技術者たちは、MCL39の効率的なリヤブレーキシステムの背後にあるのは「巧みな設計と優れたエンジニアリング」でしかないと、レッドブルに対して説明している。

[オートスポーツweb 2025年05月14日]

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