生活保護停止訴訟、三重県鈴鹿市の敗訴確定 最高裁が上告受理せず

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2025年05月14日 20:10  毎日新聞

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毎日新聞

最高裁判所=東京都千代田区隼町で、本橋和夫撮影

 車の運転記録を出さなかったことで生活保護を止められた三重県鈴鹿市内の親子が支給停止処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁が、1、2審で敗訴した鈴鹿市の上告を受理しない決定を出していたことが関係者への取材で分かった。決定は12日付。処分取り消しを命じた2審の名古屋高裁判決が確定した。


 2審判決などによると、女性(82)は2019年から生活保護を受給。市は次男(昨年11月死亡)の通院目的に限って車の利用と保有を認め、運転経路や具体的な用件などを記入する運転記録の提出を求めた。親子は歩行が困難なことから買い物など日常生活でも車を使用し、記録提出に応じなかったため、市は22年9月に支給を停止した。


 昨年3月21日の津地裁判決は「硬直的な独自の運用」だとして市の処分を違法と認め、処分の取り消しと計20万円の支払いを命令。10月30日の名古屋高裁判決も「非常に重大な不利益を与え、違法だ」として処分の取り消しなどを命じた。


 鈴鹿市はこれを不服として上告受理を申し立てたが、最高裁は受理する理由がないと判断した。


 勝訴が確定した原告の代理人弁護士は「なぜ支給を取り消す処分をしたのか鈴鹿市には検証してもらいたい。鈴鹿市だけでなく全国的に関係する問題だ」と述べた。


 鈴鹿市の末松則子市長は「今回の結果を踏まえ、今後も適正な保護行政に取り組んでまいります」とコメントした。【渋谷雅也】



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