間野博行・国立がん研究センター理事長 国立がん研究センターの理事長に4月就任した間野博行氏(65)が14日までに記者会見し、欧米など海外で一般に使われているがん治療薬が日本で使えない「ドラッグロス」や日本での承認が遅れる「ドラッグラグ」の解消に積極的に取り組む方針を明らかにした。
間野氏は、新薬候補は近年、スタートアップ(新興企業)や大学・公的研究機関が生み出し、製薬企業が臨床試験を引き受けるようになっているとした上で、日本が臨床試験の場として注目されていないと説明。「日本の臨床試験の力は決して世界に劣っていない。海外のスタートアップなどに積極的に働き掛け、日本を対象に考えてくれるようにしたい」と話した。
間野氏は1959年、岡山県高梁市生まれ。自治医科大や東京大の教授を歴任した。肺がんの主要な原因遺伝子の一つが、二つの遺伝子の融合で生じることを発見し、わずか4年で画期的な新薬の発売につなげた実績があり、紫綬褒章や慶応医学賞、日本学士院賞などに輝いた。
間野氏は「私が40年前に医師になった時のがんと、今のがんとは(治りやすさが)全く違う」と述べる一方、「(膵臓=すいぞう=がんのように)5年生存率が1割を切るがんもある」と指摘。難治がんの新治療法開発とともに、がんの発生・進行に至る過程を細胞レベルでモニターするような新予防法の研究も必要だとの考えを示した。