群馬県藤岡市が発注した公共工事の一般競争入札を巡り、非公開の最低制限価格を漏らしたとして副市長の塚本英夫容疑者(57)=同市下戸塚=ら2人が逮捕された事件で、塚本容疑者が在庁中に職員を呼び出して最低制限価格を聞いていたとみられることが関係者への取材で判明した。県警は動機や経緯の全容解明に向けて捜査を進める。【加藤栄、庄司哲也、福田智沙】
関係者によると、塚本容疑者は2024年6月ごろ、副市長室に職員を呼び出し、最低制限価格の算出方法と併せて金額を尋ねていたという。市によると、塚本容疑者は競争入札に参加する業者の審査や格付けを行う「請負業者選定委員会」の委員長を務めていたが、今回の工事に関しては、最低制限価格を知る立場になかったとされる。
県警は13日、塚本容疑者と藤岡商工会議所会頭で、土木建築会社「多野産業」社長の小坂裕一郎容疑者(70)=同市藤岡=を、官製談合防止法違反などの疑いで逮捕。同日夜、市役所と同社に家宅捜索に入り、資料などを押収した。
逮捕容疑は共謀して、2024年7月4日に市が執行した市立平井小学校体育館の大規模改修工事の条件付き一般競争入札で、塚本容疑者が小坂容疑者に最低制限価格(6856万1000円)を漏らし、多野産業に落札させて、公正な入札を妨害したとしている。
2019年度から毎年落札
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藤岡市が発注した公共工事の一般競争入札を巡り、非公開の最低制限価格を漏らしたとして副市長ら2人が逮捕された事件で、藤岡商工会議所会頭の小坂容疑者が社長を務める「多野産業」は2019年度から24年度にかけて毎年、市が発注する工事を請け負っていたことが分かった。同社が継続的に市の工事を受注してきたことが浮き彫りになった。
毎日新聞は、同社の工事経歴書や市が公表している入札結果を分析。19年〜24年度は毎年、市道の復旧や老朽化した市営住宅の解体などを受注していた。22年度には日野公民館や美九里公民館の改修工事、23年度には道の駅「ららん藤岡」の防水工事などを手がけた。
24年度は2件の工事を落札し、逮捕容疑となった市立平井小学校体育館の改修工事は最低制限価格と同金額で落札した。もう1件の市営水押団地の改修工事は、最低制限価格から約280万円高い金額で落札していた。【加藤栄】
◆2019〜24年度に多野産業が藤岡市から請け負った工事の一覧 (着工年度、工事名、請負代金の順)
19年度 藤岡東中学校内部階段手すりモルタル笠木補修工事 9万円
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市道鬼石1203号災害復旧工事 155万円
市道4149号側溝新設工事 130万円
第1小学校体育館男子トイレ、タイル補修工事 7万円
20年度 老朽市営住宅解体工事 830万円
21年度 市道4219号側溝改修工事 226万円
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下水道工事に伴う舗装復旧工事 1237万円
総合学習センター南棟・北棟網戸設置工事 65万円
22年度 日野公民館大規模改修建築工事 5278万円
美九里公民館大規模改修建築工事 4914万円
23年度 市道6072号側溝改良工事 163万円
ららん藤岡観光物産館屋上シート防水工事 250万円
24年度 平井小学校体育館大規模改修建築工事 6856万円
市営水押団地83号棟外壁等改修工事 3030万円
※24年度は落札価格
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