自衛隊活動、世界に拡大=重み増す文民統制―安保法閣議決定10年

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2025年05月15日 07:31  時事通信社

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時事通信社

首相官邸に入る石破茂首相=14日午前、東京・永田町
 集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法案を政府が閣議決定してから14日で10年となった。中国が海洋進出を強めるなど安保環境が厳しさを増す中、自衛隊の活動範囲は広がり、同盟国・同志国との連携が進む。自衛隊の役割拡大に伴い、文民統制(シビリアンコントロール)強化の重要性も増している。

 林芳正官房長官は同日の記者会見で「平和安全法制で幅の広がった安保・防衛協力の着実な実施は地域と国際社会の平和と安全に一層積極的に貢献するものだ」と意義を強調した。

 政府は2015年5月14日、関連法案を閣議決定。当時安倍晋三首相は記者会見で「日米同盟が完全に機能すると世界に発信することで抑止力はさらに高まる」などと強調していた。

 関連法は同年9月に成立、翌年3月に施行され、戦後日本の安保政策を大きく変える節目となった。

 他国軍の艦艇や航空機を警護する武器等防護や、PKOの駆け付け警護など新たな任務も付与。自衛隊幹部は「できることが増え、グローバルスタンダードに近づいた。他国との関係で肩身が狭くなくなった」と変化を実感する。

 武器等防護は17年以降、米軍に対して毎年行い、21年には初めてオーストラリア軍にも実施。政府は英軍への適用も調整している。他国軍との共同訓練も活発化し、「10年前と比べて大幅に増えた」(陸自関係者)という。

 同法では「重要影響事態」が新設され、従来の周辺事態から地理的制約が撤廃された。日本周辺に限らず世界中で米軍などへの後方支援が可能となり、活動範囲は地球規模に広がる。

 政府は22年に国家安保戦略など関連3文書で反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記。防衛費を27年度までに国内総生産(GDP)比2%にするなど防衛力の抜本的強化に取り組んでいる。

 自衛隊では今年3月に統合作戦司令部が発足し、米軍との指揮統制連携の向上が進められている。野党からは自衛隊が米軍の指揮下に取り込まれると懸念する声も出ている。

 同盟国・同志国との連携が深まる一方、任務拡大で隊員のリスクが高まるとの見方もある。自衛隊幹部は「法律は枠組みを決めるものだ。できることでもやらないという判断もあり、シビリアンコントロールが重みを増す」と指摘した。 

首相官邸=東京都千代田区
首相官邸=東京都千代田区

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  • パヨチンクソメディアは金科玉条の如く「文民統制」を強調するが、それが機能するのはシビル側に相応の知見の蓄積がある前提。日本の社会、議会において絶望的に不足しているモノw
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