衆院本会議に臨む立憲民主党の野田佳彦代表=15日午後、国会内 皇族数の確保策の一つである女性皇族が結婚後も皇室に残る案を巡り、立憲民主党が与野党で意見が対立する夫と子への皇族身分付与について、皇室会議で決定する案を自民党に提示したことが分かった。自民は夫と子を皇族とすれば、母方のみで天皇の血を引く「女系天皇」につながる可能性があるとみて難色を示す。今国会での意見集約に向け、歩み寄りを図れるかが焦点となる。
与野党は昨年5月から、政府の有識者会議が提示した(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持(2)戦後に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰―の2案について協議。各党は(1)案におおむね賛同するが、夫と子の身分で隔たりがある。(2)案は賛否が割れている。
額賀福志郎衆院議長は4月中旬の与野党協議で議論を引き取り、今国会中の集約に向け、「取りまとめ案」の検討に入ると各党に伝達。これを受け、額賀氏、玄葉光一郎衆院副議長、自民の麻生太郎最高顧問、立民の野田佳彦代表が水面下で、案の作成に向けた4者協議を本格化させた。
複数の関係者によると、野田氏は先月24日の4者協議で、女性皇族の夫と子に皇族の身分を与えるかどうかの判断を皇室会議に委ねる案を盛り込んだペーパーを提示。同協議は今月8日も行われたが、麻生氏は難しいとの立場を崩さなかった。15日に予定された協議は延期となった。
自民内では保守系議員を中心に、女性皇族の子を皇族にすれば、男系継承の伝統が崩れ、女系天皇に道を開きかねないとの警戒感が強い。自民内は男系継承につながる(2)案に積極的で、夫と子を皇族とする場合も、女性皇族が旧宮家の男系男子と結婚した場合に限定すべきだとの声がある。
野田氏はペーパーで、期間などを区切って(2)案を認める案も示した。ただ、立民関係者は「自民が皇族会議案を受け入れなければ、限定的な養子案も認められない」としている。双方の隔たりはなお大きく、関係者からは「今国会中の集約は断念せざるを得ないかもしれない」との声も漏れる。

本会議に臨む額賀福志郎衆院議長=15日午後、国会内

衆院本会議に臨む自民党の麻生太郎最高顧問=15日午後、国会内

衆院本会議に臨む玄葉光一郎衆院副議長=15日午後、国会内