【漫画】アパレル販売員に最も大切なことは? 顧客が付く人と付かない人の差がわかる『アパレる』

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2025年05月18日 07:00  リアルサウンド

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© 2025 ぼのこ

 「アパレル」と聞くと、異業種からすれば遠い世界かもしれない。しかし、Xで投稿され人気の漫画『アパレル店員のリアルと日常』が実情を伝えている。


 本作は、ぼのこさん(@bono_gura)がブログで連載中の『アパレる』のなかの1エピソード。自身の経歴をもとにしたという漫画制作について作者に聞いてみた。(小池直也)


参考:【漫画】『アパレる』を読む


――Xに投稿していかがですか?


ぼのこ:Xという場はリアルタイム性が高く、作品への反応がダイレクトに返ってくる点が印象的です。今回の投稿でも、さまざまな共感や体験談が寄せられ、「販売の世界」を知る・思い出すきっかけとなっているように感じました。販売職の方に限らず、多くの方に読んでいただけたことが大きな励みになりました。


――ご自身もアパレル勤務の経験がおありとのことですが、本エピソードを描いたきっかけや着想について教えてください。


ぼのこ:販売員時代、多くの顧客を担当しており、時に同時に複数のお客様が来店される場面もありました。そうした時、お客様同士の大人な配慮に助けられた経験が何度もあり、この独特な世界観を描くことに価値を感じたんです。人との信頼関係を築く尊さを、デジタル化が進む今だからこそ伝えていきたいと思っています。


――リーダーと販売員の考えのギャップも実際にご自分が体験されたことなのでしょうか?


ぼのこ:一部は私自身の体験であり、一部は店長時代に部下から受けた相談がベースになっています。働き始めの頃、担当販売員にこだわるお客様の姿に違和感を持っていた自分が、次第にその意味を理解していったんです。だから信頼を重んじるリーダーと、それを面倒と感じるスタッフ、どちらも私の一側面と言えるかもしれません。


――アパレル漫画を多く描かれていますが、これだけの思い出をよく記憶しているなと驚きました。


ぼのこ:記憶力は特別よいわけではありませんが、体験を「何が問題だったか」や「どう考えたか」といった形で構造化して記憶する癖があります。この方法は、状況が変わっても本質的な課題に素早く気づける利点があり、漫画の構成にも生かされています。体験の記録というより、思考の記録に近いかもしれません。


――キャラデザインや作画でこだわっていることは何でしょう?


ぼのこ:特定のモデルを置かず、複数の印象を掛け合わせて構成しています。「実際にいそう」と思ってもらえるような、リアルさと親しみやすさの両立を意識しています。


 また、内容が重くなりすぎないよう、絵柄やトーンには柔らかさを持たせるよう心がけています。


――この『アパレる』はだんだんと長いシリーズになってきましたが、今後どう描いていきますか?


ぼのこ:人間関係や仕事に関する悩みは尽きることがなく、それだけ物語の種も無限にあると感じています。主人公・春子のゴールは見据えつつ、今後もさまざまな立場の人物に焦点を当てながら、物語を広げていく予定です。一人ひとりの成長と関係性の変化を丁寧に描き続けたいと思っています。


――現在ブログと「Woman type」で同時連載中の『マイカのアパレル日記』についても見どころなど、短くコメントいただければ嬉しいです。


ぼのこ:現場で奮闘するリーダー・マイカが、仲間や後輩との関係に悩みながらも成長していく姿を描いています。立場が変わることで見えてくる新しい景色を丁寧に拾いながら、「働くことの意味」を読者と一緒に考えていく作品です。


――今後の展望を教えてください。


ぼのこ:これからも働く人の心に寄り添うような作品、また読者の方が自身の体験と重ねたり、思考を深められる“問いかけ”を含んだ物語を届けていきたいです。誰かの今や過去の悩みにそっと光をあてる、そんな作品づくりを続けていければと思っています。


© 2025 ぼのこ


(文・取材=小池直也)



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