【陸上】今季初V北口榛花「嫌いにならないで」計測ミスで好記録取り消しのオタボーへ温かい言葉

0

2025年05月19日 05:01  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

女子やり投げ、力投する北口(撮影・垰建太)

<陸上:セイコー・ゴールデングランプリ(GGP)>◇18日◇東京・国立競技場◇女子やり投げ



24年パリオリンピック(五輪)金メダルの北口榛花(27=JAL)が今季2戦目に臨み、64メートル16で連覇した。


今月3日のシーズン初戦から3メートル28伸ばした。他の選手の計測トラブルにも動じず、日本女子で初の連覇がかかる9月の世界選手権東京大会へ弾みをつけた。


 ◇   ◇   ◇


北口の顔にいつもの笑みが広がった。


1回目の試技でトップに立ち、5回目で今季自己最高の64メートル16。赤色のやりが60メートルラインを大きく越えると、笑顔で手をたたいた。


今季世界6位と伸びしろを残す記録に「完璧ではない」としながらも「それでも投げられた。結構ホッとした」と笑い声を響かせた。


トラブルにも動じなかった。3回目の試技中には、2人の投てきで計測ミスの可能性があると判定。数分間の中断の末、記録は無効となり、やり直しとなった。オタボー(バハマ)は62メートル03でトップに立つはずだったが、記録は幻となり、最終順位は4位にとどまった。


北口は珍しい事態に「長く感じた」と中断中の心境を吐露。ただ「世界大会にトラブルはつきもの。私自身はあまり気にならない」と落ち着いていた。さらに好記録が取り消されたオタボーへは「嫌いにならないでね。また日本に来てね」と寄り添った。


周囲を見渡す余裕があったことで、本来の自分の姿も見えてきた。今季初戦は「虚像が見えた」と己を見失いかけたが、この日は60メートル超えを3度記録。持ち前の明るい笑顔で「像が見え始めて良かった」とうなずいた。


この流れに乗っていく。試合終了から数時間後の夜便で練習拠点のチェコへ出国。25日にはモロッコで次戦に臨む。


「自分は試合を通じてパワーアップしていくタイプ」


虚像から実像へ。世界を転戦しながら、世界選手権連覇の輪郭を明確にしていく。【藤塚大輔】

    ニュース設定