2025年もスーパーGT GT500クラスでNiterra MOTUL Zをドライブする三宅淳詞 2025年、オートスポーツwebは前身のクラッシュネット・ジャパンから名称を変更してから20周年を迎えました。これもひとえに、読者の皆さまのご愛顧のおかげです。そこで、皆さまへの感謝の意味も込め、20周年特別記念連載をスタートさせます。題して『オートスポーツweb20周年企画 20の質問で丸わかり』です。かつて、AS+Fやオートスポーツ本誌で連載されていた『100の質問』を20周年記念版でリメイク。スーパーGT GT500ドライバーのプライベートを解き明かしていきます。
第8回は、2024年シーズンからスーパーGTではNISMO NDDPの3号車Niterra MOTUL Z、全日本スーパーフォーミュラ選手権はThreeBond Racingから参戦する三宅淳詞選手が登場です。
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Q1:趣味は何でしょうか?三宅淳詞(以下、三宅):ゲームが好きなのでよくプレイしています。ジャンルは、もちろんレーシングシミュレーターもやりますし、スマートフォン向けの『ポケポケ(ポケモン・トレーディング・カード・ゲーム・ポケット)』など幅広くやっています。ただ、最近はレゴにちょっとハマっています。──レゴは何を作るのですか?三宅:最近は家でF1のレースを見ながら、ナイジェル・マンセルが乗っていたウイリアムズFW14Bを作りました。
Q2:最近気になっている芸能人や有名人は?三宅:お笑いが大好きで、なかでもハリウッドザコシショウさんはめっちゃ面白いですね(笑)。ザ・イロモネア(編注:ウッチャンナンチャン司会のお笑い番組。芸人が観客を笑わせるチャレンジを行う)で、サイレントで話してはいけないのに『シューッ!』と声が漏れて失格になっためちゃくちゃ面白い回があってファンになりました。(※気になる方は『ザコシ失格』で検索を)
Q3:好きな本や映画、音楽は何ですか?三宅:そのなかだと音楽がかなり好きで、最近の曲から1990年代の音楽も聞きます。J-POPは幅広く聞いていて、とくにスピッツが好きですね。ベタですけど『ロビンソン』は良い歌だと思っています。──ライブには行くのですか?三宅:行きたいですし、いろいろなアーティストのライブにも応募して当選していますけど、レースの予定が入って行けていない日が続いています……。なので、もし予定が合えばこれからもいろいろなライブに行ってみたいですね。
Q4:行ってみたい場所はどこですか?三宅:どこだろう、う〜ん悩みますね……。レース関係になってしまいますけど、F1だとシンガポールGPはかなり華やかで、サーキットも市街地コースなので見に行きたいです。海外だと市街地サーキットは多いと思いますけど、日本はあまりないので『走ってみたい』という気持ちもあります。
昨年、フォーミュラEの東京大会にニッサン/ニスモさんの繋がりで行かせていただき、生で見るとコースとお客さんの距離が近いことを感じました。また、レースのみならず、イベントとして盛り上がっている印象があり、スーパーGTなどとはまた違って面白いなと思いました。
Q5:もし何か新しいスキルをひとつ身につけられるとしたら、何を学びたいですか?三宅:いろいろな国の言葉を話せるようになりたいです。外国語はあまり得意ではないですし、日本語もちょっと怪しい(苦笑)部分がありますけど、いろいろな人と話してみたいという意味で、多くの言語を話すことができれば面白いんだろうなと感じます。まずはレースで必要な英語をもっと話せるようになりたいですね。
Q6:休日もしくは暇な時間はどのように過ごすことが多いですか?三宅:もちろん平日は当たり前のようにトレーニングをしていますけど、空いている時間は最近だと本当にレゴをやっています(笑)。あとは練習を含めたシミュレーターですね。それこそ昨日(取材日はGT第1戦岡山の搬入日)もチームメイトの佐々木大樹選手とオンライン通信をしながら、iRacingの岡山国際サーキットを走り込んで練習してきました。
Q7:人生で一番大切にしていることは何ですか?三宅:難しい質問ですね……。時の流れに身を任せることですかね。頑張っても無理なものは無理だと思うので、流れに沿ってやっていくことを意識しています。──なぜその考えになったのでしょうか?三宅:きっかけみたいなことは特になくて、昔からそういった考えで、もう時の流れに身を任せています。
Q8:どんな時に幸せを感じますか?三宅:優勝したときは嬉しいですけど、やはりレースはチームスポーツなので、ピットに帰ってきてチームの皆さんが喜んでいる姿を見ると『レースをしていて良かった』と本当に嬉しく思います。──そう感じたレースはありますか?三宅:昨年このチームからGT500クラスに参戦させていただいて、2戦目(第2戦富士)で勝つことができたときです。僕にとってはGT500初年度で不安があったなか、チームメイトだった高星(明誠)さんは温かく見守ってくれていましたし、勝ったときにエンジニアさん、メカニックさん、もう全員が喜んでいたのは、やっぱり嬉しかったですね。
Q9:尊敬する人は誰ですか?三宅:よく言っているのですが、佐々木大樹さんです。今年はチームメイトですけど、大樹さんはカート時代からの先輩になります。レースで速いことはもちろん、慶應義塾大学法学部卒業で勉強ができるのも凄いですよね。レースと勉強の両方を極める文武両道で、人としても尊敬しています。──インテリを感じた場面はありますか?三宅:レースだと、セッティングなどで物理の話をするかと思います。そういった意味では、クルマとタイヤの開発のみならず『ドライビングでクルマをどう使うか』という部分も大事なので、そういった話を大樹さんとすると『やっぱり頭が良いんだ』ということはすごく感じます。
Q10:これまでの人生で、一番の挑戦は何でしたか?三宅:2021年にスーパーフォーミュラ・ライツに参戦したことが一番の挑戦でした。僕はメーカーの育成枠ではなかったので、参戦するにあたってお金が必要でした。もちろん多くの方がサポートしてくれましたけど、やはり自分でもお金を用意しなければならず、正直借金といいますか、お金を借りて頑張ったので、あの時期が一番攻めてチャレンジしていたと思っています。──そこから現在はGT500、スーパーフォーミュラと国内トップカテゴリーに参戦している心境は?三宅:スーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオンは獲れなかったですけど、そこで頑張ったから2022年のスーパーフォーミュラ参戦に繋がったと思っています。また、スーパーフォーミュラを頑張ったからGT500にも参戦できている部分はあるので『あのとき頑張って良かった』という気持ちはもちろんあります。今後はサポートしてくださった方に結果で恩返しをしていきたいです。
Q11:困難な状況に直面した時、どのように対処しますか?三宅:う〜ん……、やはり焦ってしまうと冷静な判断をすることができなくなるので、焦らないことだと思います。たぶん、そこが一番難しい部分だと思いますけど、僕は人間として『落ち着いて焦らない』を心がけているつもりです。
Q12:自分の長所と短所は何だと思いますか?三宅:みんなからは『落ち着いているね』とよく言われます。僕としてはかなり心臓バクバクなんですけどね(苦笑)。でも、周りの人に緊張していないように見えていることは、ある意味で強みだと思っています。短所は……、あと一歩攻めきれない部分です。自分でもそう思うときがあるので、もう少し攻めることができるようになりたいです。
Q13:子供の頃はどんな子供でしたか?三宅:本当に小さい頃からクルマ好きでしたね。三重県出身なので鈴鹿サーキットにレースを見に行っていたりもしていて、4歳でレーシングカートを始めてからは、僕はここまでずっとクルマとレースに関わる人生を過ごしています。
Q14:他の人から、どんな人だと言われることが多いですか?三宅:え〜、僕ってどんな人なんですか?(近くにいたニスモスタッフにお助け) 飄々としているとよく言われるかもしれません。僕的には全然落ち着いてはいないのですが“落ち着いている感”を出すのがうまいのかもしれないです(笑)。
Q15:動物に例えられるとしたら、どんな動物だと思いますか?三宅:他の人からは『犬に似ている』と言われます。しかも、大型犬ではなく小型犬だと(笑)。自分で例えるのは難しいですね。ライオンみたいに強い動物だったらいいですけど、そんなオラオラ系ではないので、やっぱり小型犬か草食動物あたりなのかなと思っています。
Q16:20回以上通っているお店かレストランを教えてください三宅:えぇ20回!? ちょっと考えるので待ってくださいね……。あっ、僕伊勢市出身なので、隣が松阪牛で有名な松阪市なんです。なので松阪牛の焼肉屋さんで『一升びん』によく行っていました。鈴鹿市周辺にもあると思いますし、三重県はお肉をはじめ、食べ物がすごく美味しいですよ。
Q17:20年以上、使っているものはありますか三宅:20年以上使っているもの!? え〜、20年以上使っているものはないかな……。逆に皆さん何か答えているんですか?──これは皆さんも『ない』という答えが多いです。三宅:ですよね。携帯電話もどんどんと進化していますし、文房具なども20年以上使うことはないですし……。やはり僕もないですね。
Q18:20年前は何をしていましたか三宅:今年26歳なので、20年前は6歳ですね。もうカートレースに参戦していた時期だと思います。
Q19:20年前の自分に言いたいことは三宅:『楽なことばかりじゃないけど、頑張っていれば良いこともある』ということですね。僕のキャリアはここまで順風満帆に来られたわけではなく、スーパーフォーミュラ・ライツやGT300で頑張ったからこそ今があります。また、支えてくれる人にも恵まれたので『どんなときでも全力で戦う』ということは本当に大事だと思います。それはレースだけではなく、私生活でも同じです。
Q20:20年後にしていたいこと三宅:46歳。やはりレースには関わっていたいですし、もちろん現役ドライバーでいれたら良いなと思います。やはり小さい頃からクルマとモータースポーツは大好きなので、この先もずっと関わっていたいです。正直、今までカートの頃からずっとレース一筋でやってきているので、それこそレース以外の人生はパッと浮かんでこないですね。それくらいレース一筋ですし、これからもそうでありたいです。
●プロフィール 三宅淳詞(みやけ・あつし)
1999年3月17日三重県伊勢市出身。レーシングカートで活躍後、2018年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラを首席卒業。2019年FIA-F4選手権でランキング2位となり、2020年のスーパーGT GT300クラスにMax Racingから参戦。2021年第3戦鈴鹿で初優勝し、スーパーフォーミュラ・ライツでも2勝を記録。2022年は全日本スーパーフォーミュラ選手権にレギュラー参戦し、2024年からはNISMO NDDPでGT500クラスにステップアップ、第2戦で初優勝を飾っている。
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普段、レースのときには礼儀正しく真面目に質問に答えてくれる三宅選手ですが、プライベートの話になると良い意味で少しラフに、笑顔多めでエピソードを話してくれました。次回もお楽しみに!
[オートスポーツweb 2025年05月22日]