画像提供:マイナビニュース鉄道友の会は22日、ブルーリボン賞(最優秀車両)にJR西日本の273系を選定したと発表した。鉄道友の会ブルーリボン賞は、選考委員会の選んだ候補車両に対する会員の投票結果にもとづき、審議を経て最優秀と認めた車両を選定しており、今年で第68回となる。
JR西日本の273系は、特急「やくも」として経年40年を超えた振子式特急形電車381系の後継として開発された新形式車両。デザイナーとJR西日本社員を交えたワークショップでデザインを構築し、既存の特急車両とは異なる独自性が特徴となっている。
外装は「沿線の自然・景観・文化・歴史を尊び、お客様と交感する色」として、オリジナル色の「やくもブロンズ」に「モダンに八雲立つ、伝統を継承」するシンボルマークを配置。内装は「山陰の我が家のようにくつろげる、温もりのある車内」として、グリーン車を積石亀甲模様で暖色系、普通車を麻の葉模様で寒色系の座席とし、木目調の壁に間接照明を採用した。普通車の座席間隔は新幹線と同じ1,040mm。新たに2・4人用セミコンパートメントやフリースペースを設け、車いすスペースは最新の移動円滑化基準に対応している。
編成構成は片台車駆動の電動車4両とのこと。車体はアルミダブルスキンとし、各部の衝突対策は既存車両を踏襲した。車体断面は車体傾斜と重心低下への対応として、屋根は低く、側面の上下を絞り込んだ形状に。貫通形高運転台の先頭部は271系を基本としつつ、断面に合わせて形状が変わり、灯具の配置や塗色で新しい印象を与えている。
振子制御装置は鉄道総研、川崎車両と新たに開発。線路形状を登録したマップデータと、走行速度やジャイロセンサの測定値から高精度の位置認識を行い、応答性を向上させた車体傾斜用アクチュエータとともに、線路形状に合わせた最適な傾斜制御で乗り心地の向上を図った。
駆動系はフルSiCのインバータで220kWの全閉型誘導電動機2台を制御。補助電源装置もフルSiCの出力75kVAで、各車の出力を並列接続し、故障時も運行継続可能な構成としている。ブレーキ系は回生併用の電気指令式で、台車単位の制御に。制御指令やモニタなどを行う車両情報制御システムは伝送速度100Mbpsのイーサネット方式としている。その他、脱線など検知する車両異常挙動検知システム等により、安全性と信頼性を確保しているとのこと。
なお、273系が鉄道友の会ブルーリボン賞に選定された理由について、「安全性と信頼性が確保された先進の機器構成を基本に、地域の特性を踏まえた独自デザインが高く評価されており、会員からも候補車両の他形式を大きく上回る支持を得た」とJR西日本。「今回の受賞を励みに安全・快適なサービスを提供し、地域の皆さまに愛され、ともに歩み続けるJR西日本グループを目指してまいります」とコメントを発表している。(MN 鉄道ニュース編集部)