来季『GRスープラ』6台体制で参入のトヨタ陣営、NASCAR連携や地元ステップアップ構築も視野に/RSC

0

2025年05月23日 18:00  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

来季2026年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ新規参入に向け、全6台の『A90型GRスープラ・スーパーカー』を投入するTOYOTA GAZOO Racingオーストラリア
 来季2026年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ新規参入に向け、全6台の『A90型GRスープラ・スーパーカー』を投入するTOYOTA GAZOO Racingオーストラリアは、同国での将来的なドライバー育成への道筋と展望を明らかにするとともに、現地トヨタ・オーストラリアのマーケティング責任者を務めるショーン・ハンリーが北米NASCARとの連携も視野に、両カテゴリーが“University of motorsport(モータースポーツの大学)”の目玉として機能するはずだと語った。

 当初よりホモロゲーションチームに指名されているウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)の2台と、先日アナウンスされたブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)が4台をオペレーションし、これで初年度のTGR陣営は6台の参戦が確定した。結果、2026年のRSCグリッドに並ぶ24台のうち、ライバル陣営のフォード・マスタングは10台、シボレー・カマロは8台の内訳となる。

 そのトヨタ・オーストラリアは、将来有望な若手ドライバーにとって貴重な経験を積む場を提供すべく、現地にてワンメイクのGRカップとTGRAスカラシップ・シリーズを運営してきた。現RSCチャンピオンのウィル・ブラウンもこの86レースでのタイトル獲得をキャリアの足掛かりとしており、その意味でもスーパーカーへの確かな道筋が示されている。

「トヨタを代表する6台のマシンとふたつの有望なチームに関して言えば、そこで6名のトヨタドライバーが誕生することを意味する」と語ったハンリー。

「WAUのドライバーが誰なのかは(公式未発表ながら)すでに分かっており、ブラッド(・ジョーンズ/BJR代表)も今後の活動についてコメントしてくれるだろう。しかし将来的には86シリーズのドライバーがこれらのチームに合流し、この最高峰カテゴリーに参戦する機会が訪れることを願っている」

 現状、TGR陣営内で来季のシートが確定しているのは、4台体制を敷くBJRで契約が残るアンドレ・ハイムガートナーのみ。さらに近年のスーパーカー出身ドライバーは北米NASCARでの“カメオ出演”の機会が劇的に増加しており、シリーズ3冠の肩書きで挑戦し、衝撃のカップ戦デビューウインを飾ったシェーン-ヴァン・ギズバーゲンのみならず、昨季6月のソノマではブラウンがシボレー、キャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング)がフォード陣営でレースを戦った。これら実績も踏まえ、ハンリーはトヨタのスーパーカー契約ドライバーにも「同様のチャンスが与えられることを望んでいる」と続けた。

「今日明日で発表する話ではないが、もっと大きな夢はいつかスーパーカードライバー、つまりトップ中のトップクラスのドライバーたちが、我々のNASCARチームを目にし、体験することができるようになることだ」とハンリー。

 その“我々のNASCARチーム”とは、言わずと知れたカップの盟主ジョー・ギブス・レーシング(JGR)を筆頭に、23XIレーシングやレガシー・モータークラブのことを指している。

「それは“モータースポーツの大学”だ。私が知る限り、今のところ(豪州の草の根からNASCARまで)このような進歩を提供できるブランドは他にないだろう」

 もちろんそこへ日本人が名乗りを挙げ、当初はワイルドカード参戦枠などでシリーズが誇る魂の祭典『バサースト1000』への挑戦を視野に入れるのも荒唐無稽な話ではない。

「6台のマシンを持つことが重要なもうひとつの理由だ。6台ものチャンスが与えられれば、誰かが……誰もが、ビッグゲームに参戦する夢を描くことができるのだから」

 その実働部隊を担うWAUのブルース・スチュワートCEOによれば、現状のGRスープラ・スーパーカーの開発においては「すべての主要分野を網羅しているところ」で、チーム代表のカール・フォーが車両開発の指揮を執っているという。

「プロジェクトは順調に進んでおり、今年後半に向け『皆さまにお披露目する』計画は現在進行形だ。私が言えるのは、非常に確固としたタイムラインがあり、驚くほど大規模なガントチャートを作成し、主要分野をすべて着実に進めているということだ」と続けたスチュワート。

「途中で課題に直面すると予想しているか? と問われれば、答えはイエスだ。つねに課題はある。しかし、我々はプログラムをコントロールできているか? と問われれば、その答えもイエスだ。今季後半戦突入の早い段階で、素晴らしいマシンが1台お目見えするだろう」

 そのA90型GRスープラ・スーパーカーには、レクサス系の高性能量産モデルに搭載されてきた5リッター自然吸気V8の“2UR-GSE”が積まれる予定だが、WAUとしてもBJRとの新たなパートナーシップを高く評価し、この協業的なアプローチによってプロジェクトが「早期に軌道に乗るだろう」と続けた。

「エンジンを始動させた際には、サーキット走行でさまざまな課題に直面することになると思っているが、意外とそうではないこともあり得る」と含みを持たせたスチュワート。

「言えることは、しっかりとしたテストプログラムが計画されており、それが実行に移されるということだ。これがスムーズに進むなどとは考えていないし、道のりには必ず困難が伴う。しかし、我々は非常に強力なチームを擁しており、今ではその体制も強化された。そして協力関係を築いてくれる強力なパートナー(BJR)も獲得した」

「もし私がそう(2026年にトヨタが勝利を挙げる)言ったら、あなたは私を……無知ゆえの楽観という目で見ざるを得ないだろう。ただし私が知っているのは、素晴らしいパートナー、より多くの車両、そして透明性があれば、早期に軌道に乗る可能性が高くなるということだ。それこそが強みだね」

 こうした発言をよそに、まったくの別ルートで同話題を補完するかのような動きが具現化し、バサーストで6度の優勝経験を誇るラリー・パーキンスの息子で、自身もスーパーカーで勝利を挙げている38歳のジャック・パーキンスが、現在カップでJGRに所属し、チェイス・ブリスコ(トヨタ・カムリXSE)のクルーチーフを務める“旧友”ジェームズ・スモールの推薦により、8月のポートランド戦でNASCARエクスフィニティ・シリーズにデビューすることもアナウンスされている。

[オートスポーツweb 2025年05月23日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定