「LINEグループの通知が止まった日」卒業で終わった中高一貫校・6年間のママ友付き合い 交わされなかった大学合否の話

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2025年05月24日 19:10  まいどなニュース

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あんなにやりとりしてたのに…

子どもが高校を卒業し、子育てにひと区切りがついたこの春。ふとスマホを見ると、あれだけ鳴っていたLINEの通知が嘘のように静まりかえっています。ママ友と夜な夜な盛り上がった学校情報のやりとりも、ランチ会の誘いもなくなり、手帳のスケジュール欄は白紙のまま。中高一貫校で6年間続いた「ママ友付き合い」は、卒業と同時に、まるで潮が引くように消えていきました。卒業を迎えた母たちが直面するのは、「ママ友ロス」という現実です。

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子どもを介した付き合いの終焉と、その喪失感

高校の卒業式の日。満開の桜を背景に写真を撮り合う母たちの笑顔には、安堵と寂しさが入り混じっていました。

Aさん(東京都・40代)の息子が通っていたのは、男子校の中高一貫校でした。6年間という長い時間のなかで、母親同士のつながりは深くなり、受験情報はもちろん、日々の悩みや趣味までも共有していました。

LINEグループでは「〇〇塾、評判どう?」「先生からこんな話があったらしい」といった情報が飛び交い、週末にはランチ、ショッピングやスポーツ観戦に出かけたこともありました。子どもをきっかけに生まれた“戦友”のような関係になっていったのです。

しかし、卒業と同時にそのつながりは急速に色あせていきます。卒業式にはまだすべての大学受験の合否が出そろっていないこともあり、「受験どうだった?」「進学先決まった?」と聞きたい気持ちは山々ですが、気を使って聞くことはできません。Aさんが一番仲良くしていたママ友Dさんの息子さんは、早々に浪人することを聞いていたし、Aさんの息子さんもその時点では進学か浪人か決まっていなかったこともあり、卒業式に受験の話は暗黙のタブーとなっていました。

子どもが家を出たママの「新生活」とママ友との距離感

寂しい思いをしているのは、Aさんだけではありません。子どもが地方の国立大学医学部に進学することになり、親元を離れて暮らすようになったママ友Bさん(50代)。BさんはAさんに、「自由ってこんなに寂しいんだね」と笑いながら、どこか張りのない声で話します。

それまでの生活は、早朝から弁当づくり、朝が弱い息子を決まった時間に起こし、塾から遅い時間に帰宅する息子の夜食づくりなどで忙しくしていたのに、急に訪れた静かな日常に戸惑っているといいます。

子ども同士が同じ医学部を志望していた他のママ友に連絡しようにも「私立の医学部だから」「医学部専門の予備校に通ってる」とヒエラルキーを感じるようで、「相手の状況を考えると気軽に誘えなくて」と連絡をためらっている様子が印象的でした。時間はあるのに、気を使って会う相手がいないそうです。

自宅通学組は「家庭内大学生」の対応に追われて連絡が減少

一方、子どもが家から通学することになったCさん(50代)は、また別の悩みを抱えているそうです。

「高校よりずっと遠い大学に通うことになったし、留年率が高い大学と言われているので不安を感じていて、結局、まだ子ども中心の生活は終わらないのよね。朝ごはん作って、何時に帰って来るかわからないのに夕飯の心配をしてる。子どもは新生活とハイレベルな講義にストレスを感じているようで、食も細くなってる。親としてフォローをしてるんだよね。高校のときとあんまり変わらない」と苦笑いです。

大学に入ったからといって、子どもが急に自立するわけではありません。生活のペースも、親の負担も変わらず、ママ友とのランチに出かける気分ではないと、Aさんに言うのです。

浪人生の母は情報遮断…「受験」は終わっていない

最も繊細な立場にあるのが、浪人生を抱えるママ友Dさん(40代)です。「SNSもLINEも見たくない」とAさんに話します。卒業した後も高校のクラスLINEで飛び交う「〇〇大学入学式」という看板前で撮った晴れやかな記念写真や、「第二外国語は何にした?」などのやりとりがナイフのように刺さると言います。

春の陽気とは裏腹に、再び始まった予備校通いの朝に追われます。早起きしてお弁当作りも続きます。子どもが予備校から知らせてくる「今日のテスト、〇〇点だった」の報告につい一喜一憂するそうです。

大学進学した家庭との温度差に、距離を置かざるを得ないと感じている母親はDさんだけではないはず。Aさんも気を使って今までのようにランチに誘えない雰囲気なのです。

「子ども抜き」で付き合えるママ友

そんななかでも、「今でもママ友と付き合ってるよ」と語る人もいます。

Eさん(50代)は、夫婦共通の趣味の麻雀で、Fさん(50代)夫妻と定期的に集まっているといいます。「子どもが受験生だった時も、子どもたちが塾に行っている夜や、模試で終日いない時に、夫婦で集まって麻雀を楽しんでました。子どもの話を一切しない時間って、実はすごく新鮮」と笑うEさんとFさんは、もう“ママ友”ではなく“趣味友”として、また夫婦同士で良好な関係を築いていたのです。

また、Eさんは資格取得に興味を持ち、Dさんと一緒に通信講座を受けているそうです。「勉強仲間として再スタートできるなんて思ってなかった」とお互い嬉しそうでした。

ママ友という関係性の“賞味期限”

子どもが卒業し、それぞれの進路に進んでいく春。母たちもまた、人生の次のステージに踏み出していきます。ママ友という存在は、ある意味“子育て限定”の関係かもしれません。けれど、なかにはそこから新しい絆へと進化する人もいます。あなたは、お子さんの卒業後もママ友と付き合いがありますか? 

▼中高が同じ 現在大学生の保護者(50代・東京都)
子ども同士は別々の進路に進みましたが、お互いお酒が好きなこともあり、卒業後は飲みに行ったりしてます。話題はすっかり自分のことや夫の愚痴(笑)。もう「ママ友」じゃなくて「友だち」になりました。

▼中学が同じ 現在高校生の保護者(40代・福岡県)
子ども同士の進路や成績のことで微妙な空気になっていて、卒業前には関係がギクシャクしてしまったママ友…。進学先も別なので、今後は連絡とることもないと思って、今はSNSもブロックして完全に絶縁状態です。

▼小学校が同じ 現在中学生の保護者(40代・愛知県)
普段はまったく連絡していませんが、年賀状やグループLINEで1年に1回ぐらいママ友たちで集まります。そのうちフェードアウトしていくのかな。結局いつまでも関係が途切れないのは、子どもを介して友達になったママ友じゃなくて、自分が学生時代からの友だちなんですよね。

(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)

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