
木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第50回
最近、新たにゴルフを始める方が増えているので、そんなビギナーの方々に向けたラウンドマニュアルのようなものを作ってみました。新規参入された方は、これを参考にしていただけたら幸いです。
(1)ゴルフのTPO
かつてはゴルフを始めると、会社の先輩や上司などにコースへ連れて行かれ、ラウンドの際には「打ったら、クラブを3本持って走れ!」といった指示を受け、体育会的な乗りでプレーさせられていました。しかも、勝手にゲームなどに参加させられ、帰り際に「勉強代だ」と言われ、ジュースやアイスなどを奢らされることも......。
今や、そういったことはれっきとしたパワハラ。もしゲームなどの誘いを受けても、自分の考えをしっかり主張して、きっぱり断りましょう。
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さて、ラウンドにおいては、誰かに誘われた場合、その相手方の都合で場所や料金などを決めることがほとんど。年配の方の多くはこちらに気を遣って、近場のコースで朝8時すぎぐらいのスタートを取りがちです。
ただこれは、有難迷惑なんですよね。大都市近郊のコースは料金が高いし、朝早いスタートは慌ただしくて、ゆっくり練習することもできません。
昔の人は早い時間にスタートして、午後2時ぐらいに終われば、「夕方から別のことで時間を使えるじゃないか。一日を有効に過ごせる」と言って、胸を張ります。
けど、今の若者は遠くても、快適なコースだったり、映えるコースだったり、きれいでお値ごろのコースを好みます。みんなで車に相乗りし、ゆっくり目のスタートで丸一日かけてゴルフをすることを厭いません。
年配の方と若者ではゴルフに対する考え方には、だいぶ隔たりがあります。ですから、ラウンドに誘われた場合でも、予定コース、料金やスタート時間などを教えてもらって、こちらの意図にそぐわないのであれば、変更してもらうのもいいでしょうし、お断りするのもありかと思います。
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最近はビジターでもいろんなコースがネットで予約できますから、気心の知れた友だちと、お好みのコースでのんびりプレーしたほうがよろしいのではないでしょうか。
(2)朝のルーティーン
ラウンド当日、朝食は食べたほうがいいですが、ゴルフ場のレストランは料金が高いですし、その時間がもったいないです。コースまでの車や電車での移動時間に、コンビニで買ったおにぎりやサンドウィッチなどを食べて済ませてしまうほうがいいかと。
コースに到着したら、まずは練習をしましょう。ラウンド前に「練習をやっても結果は同じ」と言う人もいますが、ラウンド前の練習は今後のルーティーンとして推奨します。
プロのトーナメントでも、ラウンド前に練習しない選手はいません。セットアップは重要なこと、と認識したほうがいいでしょう。
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たとえ10ヤードほどの鳥かごの練習場でも、打っておいたほうがいいです。もしコースに練習場がなくても、その周辺のドライビングレンジは朝でも結構開いています。そこに立ち寄ってからコースに行ってはどうでしょうか。
もしまったく練習場がなかったら、素振りをしっかりやりましょう。20〜30回素振りをするだけでも、肩が回り出して、ショットがスムーズになります。
ただし、ラウンド前の練習ではボールの打ちすぎには注意です。調子が悪くても、ひとカゴで終わらせることが大事。打ち始めたらキリがないですし、朝の練習で不調のショットが劇的によくなることはまずありませんから。
それと、練習の最後の1球で、運試しはしないこと。「いいショットが出れば......」なんて打ったところで、失敗したりすると、もうひとカゴ追加したくなり、収拾がつかなくなってしまいますからね。
練習はほどほどにして、トイレに行って、日焼け止めを塗って、アイスバックに氷を入れて、ペットボトルのドリンクを買って......ラウンドに向けての準備を整えましょう。そうして、最後にパターの練習をして、タッチを合わせてください。
パターの練習は、短い距離でカップに入れる練習をするよりも、狙ったところに距離を合わせる練習をするほうが大事です。その際、当日のグリーンの速さをしっかり確認しておきましょう。コース内にスティンプメーターで計測した当日のグリーンの速さが表示されていますから、それを参考にしてください。
グリーンの速さは、9フィートが一般的で標準の速さです。10フィートを越えると結構速いグリーンとなります。高麗グリーンなどでは7フィート台もあり、かなり遅く感じられます。
こうしたグリーンの速さにおいて、パッティングのタッチは実際に打ってみないとわかりません。繰り返し打って、距離感を養っていくことが大切だと思います。
先にも触れましたが、ポイントは1〜2mの距離を入れることよりも、10mぐらいの距離を寄せること。なぜなら、長い距離のパットである程度寄せることができれば、オーケーをもらえる確率が高いからです。つまり、微妙な距離が残っても打たなくても済むのです。
(3)ルール&マナー
最近は、乗用カートにスコアをインプットするシステムが多いので、紙のスコアカードに記入しなくても済むようになりました。しかも、大手のゴルフ場チェーンではアプリと連動してあって、ラウンド終了後にスコアがアプリに送られてきます。
ということは、自分のスコアが白日のもとに晒されるわけです。叩いたとき、ふた桁のスコアを入力するのは「ちょっとしんどいなぁ〜」というのが、正直なところでしょうか。
それを防ぐためには、あらかじめ最大スコアを設定しておくことをオススメします。これは正式なルールで、大叩き防止策としてR&A(ゴルフの総本山である英国ゴルフ協会)がアマチュアゴルファー向けに作ったものです。
スコア設定の決め方は簡単。スタート前に、一緒にラウンドするみんなの前で「最大スコアを決めましょう」と提唱すればオーケーです。そして、「今日の最大スコアはパーの倍にします」などと上限スコアを設定すれば、それで終わりです。
「パーの倍は甘い」「昔のギブアップはパーの3倍だった」という人がいますが、そもそもギブアップって何ですか? 柔道の寝技やプロレスじゃないんですから、もっと気楽にゴルフを楽しみましょう。
最大スコアをパーの倍に設定した場合、ショートホールで池に入れたり、バンカーから脱出できずにあんぐりしても、5打目を打った時点でプレー終了。あとは「最大スコアを採用します」と言って、プレーをやめてボールを拾い上げればいいのです。スコアカードには「6」と書いて終わりです。
この最大スコアルールが便利なのは、ロストボールや叩きすぎてスコアがわからなくなったとしても、パー4なら最大「8」で終わらせることができる点。つまり、細かいルールを知らなくても、違反にはならないし、トラブルも起きないし、「ズル」と言われることもありません。
(4)アフターゴルフ
以前は、ラウンド終わりの練習が一番上達すると言われました。今では、そんな熱血な方は少ないです。
やはり「反省会」という名目の、親睦の会食をするほうがよろしいでしょう。そこでの情報交換は有益です。各々が使っているギアや練習方法など、自分より上手な人とのゴルフ話は大いに参考になります。
ゴルフの組のことを「パーティー」と言いますよね。一緒にラウンドすれば、すでに仲間なわけですから、もっと親睦を深めてこそ、ゴルフだと思います。