ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)/2025MotoGP第7戦イギリスGP 5月24日、2025年MotoGP第7戦イギリスGP MotoGPクラスのスプリントがシルバーストン・サーキットで行われ、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロは7位、アレックス・リンスは20位でフィニッシュした。
大会2日目は前日よりも厚く雲がかかり、気温17度、路面温度23度でフリー走行2回目が開始された。ヤマハの2台はそれぞれ前後ユーズドソフトを履いてコースインしたが、数周走行したところで他車の転倒により早々に赤旗中断。赤旗が解除されると2台は同じタイヤでコースに戻り、ともにトップ10付近を走行した。
セッション終盤、クアルタラロはリヤにエイジの浅いユーズドソフトを装着してアタックに向かうと、全体ベストを大きく更新する1分59秒032を記録。このタイムは最後まで破られず、幸先のいい土曜日の始まりとなった。
一方のリンスは、走行再開からセッション終了までガレージに戻らず走行を重ね、全ライダーのなかで最多タイとなる15周を走破。そのうちの2分00秒514がベストタイムとなり、17番手でセッションを終えた。
金曜日の好走のおかげで予選は2台ともにQ2からのスタート。計測1周目からクアルタラロがトップタイム、リンスが2番手につけた。
前半のランを終えると、リンスが前後に、クアルタラロがリヤにニュータイヤを投入し最後のアタックに向かった。ここでクアルタラロは驚速の1分57秒233を叩き出し、コースレコードを更新。その後イエローフラッグが振られたため、3戦連続、そして自己通算19回目となるポールポジションが確定した。
一方リンスはそのイエローフラッグに泣き、自己ベストのペースで進めていた最終ラップをキャンセルすることに。本来のパフォーマンスを発揮することなく12番手で予選を終えた。
午後のスプリントも午前と近いコンディションで全車前後ソフトタイヤを選択。クアルタラロは絶好の蹴り出しでホールショットを奪うと、2番手以下がバトルを繰り広げる隙に逃げ切りを図った。
しかしコース後半の高速セクションで2番手のマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が急速にその差を詰め、15コーナーでクアルタラロをパス。さらに2周目の1コーナーでアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)にもかわされ、クアルタラロは3番手まで順位を落とした。
その後もペースが上がらないクアルタラロは、3周目にフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)に、5周目にファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)に先行を許し、5番手に沈んだ。
レース終盤は後ろから迫るマルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング)やヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)とバトルを展開。クアルタラロは2台を抑えるべく懸命に抵抗するが、ラスト2周から少しずつ順位を下げ、7位でフィニッシュした。
12番手からスプリントに挑んだリンスは、イン側のグリッドの利点を活かした絶妙な位置どりで一時9番手まで浮上。しかしその後はペースが上がらず11番手でオープニングを終えた。
その後、スタートで大きく順位を落としていたベゼッチが先頭集団に匹敵する猛ペースで背後に迫りバトルに発展。しかし3周目の最終セクターで危うく接触しそうになりコースアウトすると、グラベルの端まで深くコースを外れたため最下位まで順位を落としてしまった。
それでもリンスは2分00秒フラットのペースを維持し、ひとつ順位を挽回して20位でゴール。黄旗に泣いた予選に続き、実力を発揮し切れない悔しい土曜日となった。
スプリントレースを終えて、サテライトチームを含めた4人のヤマハライダーが口を揃えてロングランでのリヤのグリップ不足についてコメントしている。今年から4台分に増えたデータの量を活かし、決勝レースに向けた突破口を見つけることができるか注目だ。
ファビオ・クアルタラロ(予選:1番手、スプリント:7位)
「午前中は本当にポジティブだった。でも午後はあまりポジティブではなかった。スプリントで何が起きてしまったのか、チームで把握しなければならない」
「スタート直後からリヤタイヤに手間取った。路面のグリップもあまり高くなかったので、いろいろな条件が重なった結果、スピードが上がらなかったのだと思う。よく分析し、何らかの解決策を探っていきたい」
「明日の決勝も厳しい戦いになりそうだけど、全力を尽くし、自分たちのポテンシャルを見極めていきたいと思う。現実的にはトップ5〜6が今の目標だね」
アレックス・リンス(予選:12番手、スプリント:20位)
「予選まではずっと順調に進んでいた。Q2ではイエローフラッグの影響でラップタイムを短縮することができなかったのだが、本来なら12番手よりもずっと上につけていたはずだ」
「スプリントではバックストレートでライバルに抜かれ、そのあと僕のラインに入ってきたためマシンを止めきれずにグラベルに出てしまった。最後尾まで落ちてしまったが、あとは自分のペースを守って走りきった」
「コースコンディションの影響かもしれないが、リヤグリップが足りなかった。あらゆるデータを分析し、原因を追求していくよ」
[オートスポーツweb 2025年05月25日]