女子高生、生理が予測より早く来て…… 授業中の“やばい”を描いた漫画に「わかる」「共感した」 作者に思いを聞いた

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2025年05月26日 09:03  ねとらぼ

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女子高生、生理が予測より早く来て……

 予想より生理が早く来てしまった女子高生の主人公。そんな彼女の焦りと、周りの人たちがとった態度を描いた漫画がX(Twitter)で話題となり、13万5000回以上の表示数を記録しています。


【画像】漫画を読む


 ねとらぼ編集部では、自身の過去の経験をもとに漫画を描いたサム・マローン(@inuinusaake)さんに、漫画を描いたきっかけや反響を受けて伝えたいことを取材しました。


●授業中に生理が!


 授業中に生理が始まってしまったことに気づき、「やばい 生理来ちゃった」と焦る主人公。生理日などを予想するアプリでは1週間後となっていたのですが、早まってしまったようです。


 制服のスカートに血がついた気がする、おなかも痛くなってきた……そんな彼女にさらに危機が。先生から立って音読するように当てられたのです。立つと汚れたスカートが見えるかもしれない状況。とっさに「立てないです」と答えました。


 状況を察したのか、先生は別の生徒を当てました。一度はピンチを脱したものの、ナプキンを持っていないこと思い出した主人公。「今まで忘れたことなんかなかったのに むしろ忘れてくる人にはなんで? と呆れてたかも」とこれまでの自分を振り返ります。


 彼女の2人の姉が生理中のときには、自宅のナプキンや鎮痛剤が不足がち。自分で買おうにもバイトの給料日前でお金が足りないと感じることもありました。「(準備が)万全なのって当たり前じゃないよな」と考えていたとき、隣の席の友だちが机の下からナプキンをこっそり差し出してくれました。


 授業が終わり、ナプキンを装着するためにトイレに行こうとする主人公ですが、制服が汚れているかもと不安でイスから立ち上がれません。そこへ、あんまり話したことがないおしゃれな生徒が、カーディガンと痛み止めを持ってきてくれました。


 予想外のタイミングで来た生理に焦るも、いろいろな人のさりげない優しさに助けられた主人公。そのことから、生理痛よりも、胸の奥が痛く感じたのでした。


 漫画を描いたきっかけは、受講中の漫画家を目指す人のためのスクール「コルクマンガ専科」の課題。課題のテーマが「読者をハラハラさせる」だったため、学生時代や会社員時代に感じていた“生理への不安”を題材に選んだそうです。


●実際に経験したエピソードを反映


 サム・マローンさんは「椅子や服を汚してしまうこと」に強い恐怖があるそうですが、女性同士で生理中の失敗を話さない傾向について「失敗=未熟な女性」のような空気が同性の中にもあるように感じていました。そこから“身近では話されていないけど、みんなの中に確かにある”不安を描きたいと思ったこともきっかけだと語ります。


 さらに、製作中にXで「生理」が悪いニュアンスでトレンドワードとなり、「生理用品を前もって計画的に準備しておけばいいだろう」との男性の投稿を何件か見たことも作品に影響しています。サム・マローンさんは、生理に理解のない投稿への憤りは共感できるものの、気持ちを表明してもわかってもらえそうにないとも感じたと語りました。


 そこで、自分の経験をもとに「女性同士の共感と助け合いを描くことで、生理に悩む女性にはそっと寄り添う作品に、男性には『なるほど、そんな助け合いもあるんだな。生理は完全に予測できるものじゃないんだな』と柔らかく伝え」られるような作品にしようと思うように。漫画は異なる日に起こった複数のできごとをもとにしていますが、どれも実際にあったエピソードだとしています。


●未成年のときだけではなく会社員時代の記憶も


 例えば、サム・マローンさんは漫画の主人行と同じく三姉妹で、「好きなものを好きなように使うことができなかった」という記憶があるといいます。子どもや学生は大人ほど自由にお金が使えるわけではなく、大抵は保護者が買ってきたものを使うしかないという実態を知ってもらいたかったとのこと。友だちに生理用品をもらうシーンもありますが、消耗品で安くはない生理用品を自分たちでなんとか工面している現実も描きました。


 また、会社員時代にもデスクでの仕事に集中し過ぎて、1時間以上トイレに行くのを忘れてしまい、イスに血がついてしまったことも。経血量の多い日でタンポンとナプキンの併用でも防げなかったそうです。フリーアドレスのオフィスだったためトイレから戻ったときは他の人が座っていましたが、知らないふりをしてくれていたようです。そのことで、「大人として未熟に思われたんじゃないか」と数日間恥ずかしさに思い悩みました。


 「社会人になると、からかわれる怖さは減った一方で『助けを求めるのが難しい』という壁が出てきます」と言うサム・マローンさん。急に生理が始まってもコンビニで割り高の生理用品を買うなど、お金を払えばなんとかできるようにもなっていますが、“なんとかできてしまう”からこそ、「頼るより自分で処理すべきものだと、自分自身が思い込んでしまうんだなあ」と感じたことを強く記憶しているそうです。


●どんな支援が必要?


 生理を取り巻く厳しい環境ゆえ人の優しさは響く一方、多くの人が生理に不安を覚えている実態を踏まえて、サム・マローンさんは学校に生理用品を置くことを「いい支援、というよりまずは必要不可欠な支援」だと思うと話しています。


 そのうえで、小学校で生理や生理用品についての授業が隠すように行われていたり、生理用品が入ったポーチが見えないように持ち歩いていたりしていたことから、男子学生にも生理について理解できるような授業の必要性も感じているとのこと。


 また、生理用品を誤った使い方をすることで重い症状に出る感染症にかかる恐れもあるため、多種多様な生理用品が売られている現在は特に、正しい生理用品の扱い方を指導することも大切だと考えていると語りました。


●「失敗したとしても、自分を責めないで」


 漫画を投稿する前は「そんなに準備ができないのはお前だけだ」との意見も予想していたサム・マローンさん。「私はおっちょこちょいですし、高校生である当時は最低賃金720円のアルバイト代を大事にしていたので、実家に生理用品がなくても購入を先延ばしにしているのは自分くらいなのかなと」。


 しかし、実際には多くの人から共感が寄せられました。「読んでいただいた方のコメント、いいね、リツイート1つずつに勇気をいただきました」と語るサム・マローンさんは、「今度は勇気を与える漫画を描きたいな」とより強く思うように。


 読者へのメッセージとして「生理のコントロールに失敗したとしても、自分を責めないでほしいです。『毎月あることだから』『みんなあることだから』『対策すればどうにかなるから』と自分のしんどさを小さくしなくてもいいと思います」と語り、また「そのしんどさを軽減できるような漫画を今後も描けたらいいなと思っています」と自身の今後について述べました。


●「わかる」「こんなふうに優しくできる人でありたいね」


 漫画を読んだ人からは「学校の友達も先生もみんないい人すぎる。羨ましい。素敵」「思いやりのある先生のニッコリにすごく心が洗われた気がします…! 周りも助けてくれるイイヤツばかりで素敵ですね」「こんなふうに優しくできる人でありたいね」などの感想が寄せられていました。


 また、「わっ、まじにこれ共感する。わかる、わかりすぎる。大体生理数日前には自分らも警戒はして用意したりはするけど、1週間とか早いと準備もしないよ……」「女の子の日って全てがまちまちだし、不安になりますよね…… 助けてくれる友だちのやさしさにホッとしました」「学生の時の気持ち思い出すやつ 仲良くなくても気づいた人、持ってる人が助けてくれるんだよね 女子校は隠さず渡せてたの楽だった」など共感する人も。


 「女性の感覚はわからないですが、大変なのは伝わってきました!」「月並みですが、女性は大変ですよね……。男としては大変さを想像するしか出来ないのですが、出来る限りサポート出来たら良いなあと思うばかりです」など、生理のしんどさが伝わったと言う人も。生理があってもなくても、相手が大人でも子どもでも、生理中の人へのフォローがさりげなく、当たり前にできる社会であればいいですね。


画像提供:サム・マローン(@inuinusaake)さん


(谷町邦子 Facebook/X(旧Twitter))



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