伊野尾慧×伊原六花、真逆の芝居タイプから生まれる化学反応 『パラレル夫婦』プロデューサー語る撮影裏【インタビュー】

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2025年06月10日 07:01  ORICON NEWS

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火ドラ★イレブン『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』(C)カンテレ
 Hey! Say! JUMPの伊野尾慧と伊原六花がW主演を務めるカンテレ・フジテレビ系火ドラ★イレブン『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』(毎週火曜 後11:00)。10日放送の第11話を前に、田中耕司プロデューサーへインタビューを実施。異色の設定が話題の今作の制作裏や伊野尾&伊原らキャストの魅力など話を聞いた。

【場面写真】真剣な表情で対峙するなつめ(伊原六花)と幹太(伊野尾慧)

 同ドラマは、事故で死別したはずの夫婦、幹太(伊野尾)となつめ(伊原)が「1日3分、部屋の中だけで再会できる」という“制約だらけの奇跡”=ミックスに振り回されながらも、「お互いの死の真相」と「不倫の真相」を追う夫婦再生ラブ&ミステリー。

■“今、目の前の人と会える奇跡”を感じてほしい…斬新な設定に隠された裏メッセージ

――この作品はオリジナル脚本ですが改めて企画された経緯、1日3分、部屋の中だけで再会できるという設定はどのような着想から生まれたのでしょうか。

2つ理由があって、まず1つは、ワンクールに40本ほどドラマが放送される中で、夫婦ドラマや恋愛ドラマはいくらでもありますが“今までなかったような作品を作りたい”という狙いから始めました。

恋愛ドラマには制約や障壁がつきものですが、その一番面白いバージョン、見たことがない設定はなんだろうと考えて“1日3分、部屋でしか会えない”という設定を思いつきました。元々SF設定やファンタジー設定が好きなので、この設定なら切なくなったり、愛おしくなったりするんじゃないかなと思って、そこから入っていきました。

もう1つは、夫婦は一緒にいればいるほど分かり合って仲良くなるはずなのに実は、そうじゃないことが多い。コロナ禍でも一緒にいるからこそ仲が悪くなっちゃったみたいな経験話があるじゃないですか。それは悲しいし、切ないことだなと思って。だから、もし3分しか会えなかったら逆にうまく行くのかドラマの中で検証したかったんです。このちょっと変わった制約によって、“今、目の前の人の会えることって奇跡で幸せなこと”ということを今、隣にいる人に対しても感じてほしい、もっと奇跡を感じようよ、そんな裏メッセージを込めました。

――“3分”には何か意味があったのでしょうか。

1分だと要件を伝えるだけで終わっちゃう(笑)。10分だと長くてだれ始めるな、とちょうどいいのが3分ぐらいで。実は3、4ヶ月迷いましたね(笑)。結果的に、後半は時間が短くなることでミックスが終わってしまうのでは…という面白さを作ろうとしました。

――ファンタジー設定に寄り過ぎず、その制約を持った夫婦がどう再構築していくか。仲良しにみえて実は、本音を言い合えていなかった夫婦が、制約があることで想いを口にできるようになっていきました。

ファンタジー設定だからこそ日常の気づきを促すこと、思いのかけ違いみたいなところをテーマにするべきだと思って作りました。扱うテーマは妊娠とか、夫婦ですれ違いだったりするけど、奇しくも3分間の現象が起こったことにより夫婦が一つになったみたいな感じを考えたいなと思いました。

――前編後編や1・2章で作られるドラマは昨今多いですが、今作は不倫疑惑という恋愛モノ、夫婦の死の真相というサスペンス、そして“ミックスの謎”ミステリーという3章設定となっているのも他の作品とは少し変わった点です。

テンポをできるだけ早めようと思って作りました。この設定で行こうってなった時に、物語で楽しめそうなことは何だろうと思って挙げてみたら、たくさんやりたいことがあったんです。例えば亡くなった後、相手のパソコンをこっそり見ちゃって、ネットショッピングの購入履歴を見たら「こんなもの買ってたの!?」とか「こんな人と仲良しなんだ」とか、知らないことっていっぱいあって…って実際には取り入れていませんでしたが、思い浮かぶことがたくさんあった。

で、そこから絞って、不倫と殺人だけでいくことも、もちろんできたんですけどせっかくドタバタ劇なので、いろんなことを起こしてギュッと詰め込んでみました。妊娠が分かるとか、ミックスが終わってしまうのでは…とか、そういうこともドタバタしてる中でやれることを全部やってみました。

――以前、制作発表にお邪魔した時、幹太となつめ以外のキャストのみなさんはパラレルの世界を2度演じる必要があることが大変だとおっしゃっていました。撮影を進めるうえで苦労されている点はありますか。

それが結構あります(笑)。家の中の小道具ひとつをとっても本来、こっちの世界にはあってはいけないものが、あっちの世界にはあって良いものだから…みたいな混乱がたまに起きるんです。たとえば、なつめのブランケットがいつまでソファに置いてあると、なつめが生きている世界は使ってるからあるはず、というのはわかるけど、幹太の世界にはないはず。でも『幹太はなつめの事が好きだったから、彼女の愛用品を片付けるはずがない』と言い出す人もいて(笑)。だからずっと置いてある…とか。あれ、それでいいんだっけ?って(笑)。こっちの世界には置いてはいけない紙袋があっちの世界にも置かれたまま撮影しちゃったり…そんなことがいっぱいありました。2人の遺影はミックス中に2つになる。でもミックスが終わるとどちらかがその場に残る。それを幹太側となつめ側で置き間違えたり。ややこしいトラブルは多々ありました。

■後半のキーパーソンは松倉海斗演じる田村大和「夫婦だけで乗り越えられることって実は全然ない」

――物語の展開や設定が斬新さだけでなく、伊野尾さんと伊原さんの夫婦がとてもかわいらしい雰囲気を持っていらっしゃることも魅力ですが、キャスティングのポイントはどういった部分でしょうか。

おっしゃるとおり、かわいらしい夫婦にしたいなと思いました。最初の頃は喧嘩したり、思いがズレてたり、不倫を疑われたりとか、若干ネガティブなことが起こるんですけど、視聴者の皆さんには2人を好きになってほしい。幹太は、奥さんのことを好きすぎて“溺愛”している。まっすぐな純粋なキャラクターに合うのは誰だろうと思った時に、伊野尾くんにはそういう純粋さを感じて、そのピュアな感じが合うなと思ってキャスティングしました。

なつめはしっかり者の奥さんなので、伊原さんに合いそうだと思ったのもあるんですけど、それ以上に、伊原さんはこの数年で俳優としての成長ぶりがすごい印象がありとても興味があって、ぜひ一緒にやりたいなと。お芝居は努力して自分で研究して考えてやって、そこにたどり着いたと思うんですよ。そのストイックさに興味がわいて、一緒に仕事したいなと思っていたのでお受けいただいてうれしかったです。

――実際に一緒に撮影してみて2人にどんな魅力を間近で感じられていらっしゃいますか。

2人それぞれタイプが違うんです。伊原さんは感情でドラマのこと考えることが多い。こういうキャラクターだから、ここのシーンではこういう思いで泣くよね、笑うよね、動くよね…みたいなお芝居。伊原さんが心で考える、感情を考えるとしたら、伊野尾くんは頭で計算する。ここでこう動いたら視聴者にはどう見えるだろうとか、頭ですごく考えて演じている。その組み合わせがめちゃくちゃ相性が良い。お互いが無い部分をお互いが持っていることに、お互いがもう気づいている。だからリハーサル終わった時、2人だけで話し合ったりすり合わせたりしています。最初はそこに監督やプロデューサーも加わっていたけど、2人だけでできているのでもういいか、と(笑)。お互いがとても前のめりに仕事に臨んでいて、お互いがタイプが違うからこそ成り立つ、コラボレーションなったと思います。

――現場の雰囲気はいかがですか。

伊野尾くんや伊原さんももちろん明るい人たちなんですけど、それを越えるぐらいの八嶋智人さんと齊藤なぎささんがすごく明るく陽気。松倉海斗くん、岐洲匠くんもめちゃくちゃ明るいタイプなので、すぐに仲良くなっていました。クランクインの現場で皆そろって、“はじめまして”だったはずなのに、ワンカット目を撮る前にめちゃくちゃ仲良くなってました。

――制作発表でもすごく仲が良さそうな雰囲気だったことを覚えています。終盤、幹太も周囲の人との関係性に変化が生まれていきますね。

10話で、自分の世界にも仲間がいると気付きます。それまで幹太はなつめの世界の田村に助けられたり、情報をもらったりしていましたが、初めて自分の世界の仲間にミックスのことを話します。10話のラストでなつめに会わせて、みんなで何とかしようと動き出す友情やチームの話が描かれていきます。夫婦の話を期待してた人にとっては、違和感を抱くかもしれないけどそれも現実世界と上手くリンクさせたかったんです。夫婦だけで乗り越えられることって実は全然なくて、周りの人に意見を求めたり、助けてもらった方が良いことって多いと思うんです。現実社会でも2人だけで進むんじゃなくて、最後は色んな人に手を借りて困難に立ち向かうんだ、というのも最終章のメッセージです。

そして、ラストにかけて頑張るのは松倉くん演じる田村。2人の同期で、2人のことを誰よりも知っていてお互いのことを聞いてきた田村が“なんとかしてあげたい”という気持ちからくる奮闘ぶりにも注目してほしいです。

――松倉さんのピュアで努力家な印象は田村の役柄にもすごくマッチしています。松倉さんのお芝居の魅力はいかがでしょうか。

彼の純粋さ、まっすぐさみたいなところはオファーする前から感じていました。オタクっぽさもあるなと、ご本人と話してみたら役柄に共感もできたそうでまったく違和感なく最後までいきました。

――そんな田村と齊藤さん演じる辻莉子の行方も密かに気になっている視聴者の方も多そうです。

実は、結論が出ます。なにかしらの結論がでる、これは今お伝えできることなのでぜひ注目してください。

――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。

このややこしい設定を最後まで楽しんでいただき、本当にありがとうございました。だからこそ、ラストの終わり方とかも、一生懸命観てくれてた人たちが“ああ、なるほど、この二人なら、こういう終わり方だよね”と納得できる終わりにはなってるはず。それは裏切らずやりたかったので、楽しみにしていただけたらなと思っています。

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