豊田自動織機の定時株主総会に向かう人たち=10日午前、愛知県高浜市 トヨタ自動車グループの源流企業、豊田自動織機が10日、愛知県高浜市で株主総会を開いた。同社に対しては、トヨタなどがTOB(株式公開買い付け)を通じて非上場化すると決めている。伊藤浩一社長は総会で「新たな枠組みで果敢な投資などを通じ、成長をさらに加速させる」と意義を強調した。一方、株主からはTOB価格への不満の声も聞かれた。
TOBは12月上旬に開始予定。グループのトヨタ不動産が設立する持ち株会社が実施する。持ち株会社にはトヨタの豊田章男会長も個人で出資する。実施後、臨時株主総会を経て株式併合を行い、非上場化する方針。総会で、伊藤氏は一連の手続き完了は「2026年夏ごろ」と説明した。
グループ各社も、豊田織機が保有するそれぞれの株式を買い取り、持ち合い関係を解消する。
豊田織機株の買い付け価格は1株1万6300円で、TOB発表直前の株価を下回る。アイシン、デンソー、豊田通商が応募する予定。トヨタ保有分は1万3416円で別途買い付け、買収総額は約4兆7000億円に上る。
総会では、株主から「マーケットの期待値から買い付け価格がずれている」など疑問の声が相次いだ。伊藤氏は「特別委員会を設置し、是非や取引の妥当性について審議した」と説明。「買い付け価格は企業価値を十分に反映している」などと理解を求めた。
総会では伊藤氏の取締役再任を含む会社提案が全て承認された。豊田織機はこれまで、海外の「物言う株主」から経営体制の見直しなどを再三求められてきたが、取締役の過半数を社外取締役にするなどの株主提案は否決された。総会は過去最長の1時間53分で終了し、出席株主は351人だった。