
仕事などが忙しい日が続くと、食事を摂る時間が不規則なってしまうこともあるでしょう。ただ、夜遅くに食事を摂ることが多くなると、健康面にもさまざまな悪影響を及ぼす危険性があるようです。そこで、夜中に食事をすることのリスクについて、YouTubeチャンネルの登録者数が50万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
“体内時計のズレ”が健康状態に与える影響
夜勤などをしている人は、どうしても夜中に食事をすることも多くなるかと思います。 そういったシフトワークの習慣は心臓病のリスクを高めやすいことがわかっています。
そんな中、注目されているのが、概日リズム(サーカディアンリズム)の不整合というもの。
私たちの体内時計は視交叉上核という目の奥にある脳の部分がコントロールしているのですが、睡眠の覚醒や食事のタイミングなどによって、これがズレてしまった状態を不整合と言います。
夜勤をしているとこのズレが大きくなりやすいので、血圧、血糖値、心拍数、代謝や循環器系への影響が出やすい状況にもなってしまいます。
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強制的にリズムのズレを作り出して、夜勤に近い体の状態にして、血圧や心拍変動の影響を見ていくという研究があるのですが、リズムの不整合によって血圧が上昇してリラックスの度合いが低下するということがわかりました。
ショウジョウバエやマウスを使った実験では、食事は日中の起きている時間帯だけに制限したほうが、心臓の老化や機能低下が抑えられるというデータも出ています。
生活リズムが乱れると“心血管”に悪影響を及ぼす
人間においても、夜勤のように睡眠や行動のリズムが乱れても、食事のリズムを整えれば心臓血管リスクを抑えられるかということを調べた研究があります。
チェックしたのは、まずは心拍変動。心拍変動とは副交感神経の精度を確認するもので、リラックスの程度を確認します。
あとは、血圧上がってないか、心拍数が増えて心臓に負担をかけていないかも調べました。
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血液で測定するのは、代表的なものとしてPAI-1で、これが上がると血栓ができやすくなります。 それからストレスやリズムの乱れで上昇する、ストレスホルモンのコルチゾール。
結果は、夜勤リズムになるだけで、心拍変動が大きく下がってリラックスできなくなる、いわゆる交感神経が興奮する状態になりました。
さらに、PAI-1は上昇して血が固まりやすくなることもわかりました。
血圧はあまり変わらなかったですが、夜勤状態になると心血管の悪影響がしっかりと出てきました。
“夜遅い時間の食事”はなるべく控える!
食事に関しては、昼の時間帯にだけ食事を摂るようにすると、いずれも悪い変化は起きませんでした。 むしろ昼に食事を摂っておくと、夜勤があったとしても血圧は下がるというデータもありました。
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なので、夜勤状態であったとしても、食事の時間をコントロールするだけで、心臓や血圧の悪影響はかなり抑えられます。
夜勤をしていなくても、夜遅い時間帯の食事習慣がある人は、睡眠と食事のタイミングがアンバランスになりますし、夜に副交感神経を高めるためには、食事はなるべく早めに終わらせておく必要があります。
夜遅くに食事を摂ることは、最終的に肥満や血糖値の乱れ、コレステロールの上昇、血圧の上昇などにつながっていきますし、ひいては心臓血管疾患のリスクも高くなります。
寝る3〜4時間前には夕食を済ませるというのは習慣にしておくべきですし、やむを得ず夜遅くなってしまっても、ガッツリお腹いっぱいは食べないようにすることも大事ですよ。
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画像提供:Adobe Stock
石黒成治先生
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は50万人超(2025年5月時点)。