ネット検索から調べものや買い物まで、普段何げなく使用しているWebブラウザは、閲覧履歴や使用状況などユーザーに関するさまざまな情報を収集している。しかしそうした情報の収集量は、各ブラウザによって大きな差がある実態が、セキュリティ企業の調査で浮き彫りになった。飛び抜けて貪欲にユーザー情報を収集していたのは、世界で筆頭人気のあのブラウザだった。
この調査はプライバシー保護に重点を置くオランダのサイバーセキュリティ企業Surfsharkが、5月現在の米国のトップ10ブラウザを対象に実施。それぞれについてApple App Storeで公開中のプライバシー情報を分析し、ユーザー情報の収集や広告目的のデータ収集状況について調べた。
その結果、収集しているデータの種類は「Google Chrome」が20種類と突出して多いことが分かった。これと比較して、他の9ブラウザが収集しているデータは平均で6種類にとどまる。
Chromeに次いで2番目に収集量が多かった「Microsoft Bing Search」は12種類、3番目の「Pi Browser」は9種類のデータを収集していた。4番目以下はAppleの「Safari」、Mozilla「Firefox」「Microsoft Edge」「DuckDuckGo」「Opera」「Brave Browser」「Tor Browser」の順だった。
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Chromeが収集しているのはユーザーの連絡先リストや金銭情報、位置情報、閲覧履歴、検索履歴、ユーザーコンテンツ、識別子、使用状況データ、診断情報など。このうち、連絡先リスト(ユーザーのスマートフォンやアドレス帳、SNSから収集)と金銭情報(決済手段やカード番号、銀行口座情報など)を収集しているブラウザはChromeのみだった。
ただしChromeのようなブラウザは、初期設定で収集するデータの他に、ユーザーが利便性のため自分で選択して金銭情報などを保存する場合もある。Chromeの場合、Google検索やGmail、Google MapsなどのGoogleサービスとも密接に連携してユーザーのデータを収集している。
これに対して、プライバシーを最も重視する「Tor Browser」は、ユーザーのデータを一切収集していなかった。「ユーザーの匿名性を保護して追跡を防ぐ設計のTorは、最大限のプライバシーとセキュリティを優先するユーザーにとって最高の選択肢」とSurfsharkは評している。
●“機能性とプライバシーのバランス”が取れているWebブラウザは?
サードパーティー広告用のデータを収集していたのはOperaとBing、Pi Browserで、アプリにサードパーティー広告を表示したり、ユーザーの情報をサードパーティー企業に提供したりする目的で情報を収集していた。
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また、Pi BrowserとEdge、Bingについては、ユーザー追跡に使うデータを収集していた。こうしたデータはデータブローカーに販売されたり、アプリに表示されるターゲット広告に利用されたりする可能性がある。Pi Browserはこうした種類のデータとして閲覧履歴や検索履歴、デバイスIDなどを収集。Edgeはカスタマーサポートのリクエスト中にユーザーが生成したデータを、BingはユーザーIDをそれぞれ収集していた。
一方で「機能性とプライバシーのバランスが取れている」とSurfsharkが評価したのはDuckDuckGoとFirefoxだった。いずれも連絡先情報(名前、電子メールアドレス)、識別子(ユーザーID)、利用データ、診断情報などを収集しているものの、最もセンシティブなデータは収集していないと説明。「プライバシーはある程度気にするが、手堅いブラウザ機能を必要とするユーザーに適しているかもしれない」とSurfsharkは指摘する。
モバイルブラウザの世界市場シェアはChromeとSafariで90%を占める。国別にみると、米国はSafariがトップでChromeが2位、英国やドイツ、フランス、韓国、台湾はいずれもChromeが1位でSafariが2位。各国とも3位以下を大きく引き離している。
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