「ハングリーであれ、愚かであれ」20年後の再発信、ジョブズ氏スピーチの資料公開

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2025年06月13日 13:20  マイナビニュース

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2005年6月12日、Appleの前CEOであるスティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学で卒業式スピーチ(Commencement Speech)を行った。それから20周年を迎え、 Steve Jobs Archiveが1080pに高画質化したスピーチ動画と関連する資料を公開した。



ジョブズ氏の卒業式スピーチは、歴史に残るスピーチの1つに数えられている。同氏はこのスピーチにおいてテクノロジーにはほとんど言及せず、20代前半の卒業生に向けて、「あなたもいずれ年を取り、やがて消え去る存在になる」と語りかけた。「点と点をつなぐ(Connecting the Dots)」「愛と喪失(Love and Loss)」「死について(Death)」という、3つの個人的なストーリーを通じて、「Your time is limited, so don't waste it living someone else's life(あなたの時間は限られている。だから、他人の人生を生きて無駄にしてはいけない)」と、自分の信じる道を歩むことの重要性を説いた。



普遍的かつ心に響くテーマ、ジョブズ氏自身の経験に裏付けられたメッセージ、そして巧みなストーリーテリング。「Stay Hungry. Stay Foolish.(ハングリーであれ、愚かであれ)」、「The only way to do great work is to love what you do(素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分のしていることを愛することだ)」など、記憶に残る数々のフレーズと相まって、このスピーチは時代を超えて人々に影響を与え続ける「人生の教訓」として広く受け入れられている。


Steve Jobs Archiveが公開した「Stay hungry, stay foolish:Celebrating Steve’s timeless address」では、スピーチの準備から当日までのストーリーとともに、スピーチ動画、スピーチのアイデアのアウトラインや下書き、スチュワート・ブランド氏のサイン入り「全地球カタログ」、2005年スタンフォード大学卒業式の共同クラス代表へのインタビューなどが掲載されている。



聴衆を引き込む話術に長けたジョブズ氏であっても、この卒業式スピーチには大きなプレッシャーを感じていたという。同氏は極めてプライベートな人物であり、複雑な家庭環境やAppleからの解雇、病気といった私的な話題に触れることを避けていた。しかし、このスピーチが個人の経験を要求していることを理解していたから、同氏は悩み、原稿の完成に苦労した。卒業式が迫ってもスピーチはまとまらず、Appleの広報チームが提案を出す事態となったが、ジョブズ氏はそれらを採用しなかった。多くの友人や知人に助言を求め、最終的には妻であるローレン・パウエル・ジョブズ氏と話し合いながら、自らスピーチを執筆した。



なお、この年の卒業式における講演者の選定において、ジョブズ氏は当初第一候補ではなかった。また、卒業生を感動させたスピーチと語られることもあるが、実際には暑さで集中を欠いた聴衆も多く、学生の中にはビンゴに興じたり、漫然と聞き流していた者もいた。後になってからこのスピーチの意義を他者に指摘され、ようやくその重要性に気づいた卒業生も少なくなかったという。



「Stay hungry, stay foolish:Celebrating Steve’s timeless address」は、スピーチの背景や当時の様子がわかる展示になっており、過去にスピーチを視聴したことがある人にとっても、再び体験する価値のあるものになっている。(Yoichi Yamashita)

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