今回紹介する動画は、ゆっくりするところさん投稿の『『食べると幻覚と記憶消失する魚』別名「ドリーム・フィッシュ」の異名を持つ不思議な魚食べて激しい幻覚・幻聴・奇行走る事例が報告…何故魚にLSDのような効果が?【ゆっくり解説】きめぇ丸解説』。
一見普通の見た目をしている「サレマポーギー」という魚が起こす幻覚症状について解説を行っていきます。
きめぇ丸:
本日は「食べると幻覚を見る魚」とそれを食べてしまった人たちのお話をしたいと思いますよ。
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霊夢:
た、食べると幻覚を見る……? 毒キノコみたいなことかしら。
きめぇ丸:
その魚の名前は「サレマポーギー」。サレマポーギーはアフリカ大西洋沿岸から地中海へ至る温暖な熱帯の海に生息しており、一見人畜無害な見た目をしている魚で、オスの体長は通常15cmから約30cmほど。メスの方が大きく、最大で51cmほどになります。
古くから「夢を見る魚」「ドリームフィッシュ」などと呼ばれ、食べるとある種の中毒を引き起こし、幻覚症状を見るといわれている魚です。この魚を食べたことによる中毒事故、それも報告されているものは限られていますが、その中でも最も古いのがフランスの事例です。
1982年のフランス、マルセイユの民家にて、内臓を取り除かずにこのサレマポーギーをグリルで丸焼きにして食べ、家族全員が幻覚を見たそうです。
霊夢:
幻覚……。
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きめぇ丸:
その症状は約10時間続きました。もうひとつのケースは年齢、患者の国籍ははっきりと分かりませんでしたが、1994年にフランスを訪れていた観光客数名が、レストランでサレマポーギーを食べたところ、視界がぼやけ、強い吐き気の症状に襲われました。
その後、幻覚、筋肉に力が入らないなどの症状が現れましたが、翌日になっても症状は良くならず、むしろ悪化。奇声を上げる動物の声が聞こえ、全く集中できず、運転することもできなかったそうです。
霊夢:
幻覚だけじゃなくて、幻聴まで?神経とかに影響してるのかしら。
きめぇ丸:
医療機関を受診し、3日間入院した記録があったんですが、その患者は入院中の記憶がほとんどなかったそうです。
霊夢:
最初の事例も10時間症状が出てたし、食べちゃうとかなり長い時間幻覚を見るみたいね。
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きめぇ丸:
そうですね。もうひとつもやはりフランスの事例で、2002年に発生していました。このケースでは、90歳の男性が市場でこの魚を購入し、自宅で調理して食べたところ、いるはずのない鳥の鳴き声、人間の悲鳴、叫び声などの幻聴を長時間聞き、数日間悪夢にうなされたと言います。
彼は当初、自分は精神病を患ってしまったのだと思い込み、しばらく受診していなかったそうです。
霊夢:
確かに、そんなことあったら自分が何か病気になったのかと思うわよね。
きめぇ丸:
また、最も新しい事例では、2006年に西地中海で獲れたサレマポーギーをレストランで食べたことで、消化器の不調、恐怖を伴う幻覚、幻聴、突然体が痙攣する、奇声を上げるなどの異常な症状が現れ、客が2日間入院し治療を受けていたといいます。
霊夢:
地域的に同じっぽいし、症状もみんな似てるけど、どうして魚でそんなことが起きるのかしら……。普通に売られてるってことは、別に毒魚として扱われてるってわけでもなさそうだし……。
きめぇ丸:
サレマポーギーはフランス、地中海沿岸部で「サウプ」という名で呼ばれ消費されており、魚市場やオンラインストアでも購入可能ですが、この魚はその他の一般的な魚とは違い、一部の地元料理で使用されているものの、消費量自体はあまり多くないです。
この魚が引き起こす健康被害の原因は、その生活環境にあるとされています。この魚は海中の浅い場所に暮らしているんですが、実はなぜこの魚に幻覚作用があるかどうかは明確にはされていません。
ですが、2006年、2012年には、これらの事例を元に研究が進められ「ポシドニア・オセアニカ」という海草で繁殖する植物性プランクトン・海藻に含まれる「カウレルピン」という物質によって幻覚作用が引き起こされているのではないか?と考えられています。
霊夢:
生物濃縮みたいなこと?
きめぇ丸:
はい。その研究によれば、これらの成分はサレマポーギーの肝臓、脳組織、あるいは筋肉に蓄積していき、夏を過ぎた頃にその濃度が高まる傾向にあると言われています。
この毒性の原因はサレマポーギー自体ではなく、特定の植物性プランクトン、海藻類を食べていることで、季節、生活環境によってリスクが変動するため、特定の条件が重なった時期に、危険部位を食べてしまったことで、前述した患者たちに幻覚症状が現れたのかもしれないです。
霊夢:
なるほど……そういう魚が食べる餌が原因で毒を持っちゃうような生き物、結構いるもんね。
きめぇ丸:
日本で有名なのは、バラフエダイなどのシガテラ毒などがまさにそうですね。バラフエダイ、イッテンフエダイ、バラハタ、イシガキダイなどが温かい地域に生息するサンゴ礁周辺の海藻に付着した「渦鞭毛藻」というプランクトンが産生する「シガトキシン」が原因です。
海藻に付着する渦鞭毛藻を貝などの草食動物が食べ、それを前述した魚たちが食べるという食物連鎖によって魚の体に毒が蓄積します。
霊夢:
シガテラって確か、感覚異常を起こしたりする怖い毒よね……。
きめぇ丸:
シガトキシンは神経毒の一種で、汚染された魚を食べることで「ドライアイスセンセーション」という感覚異常を引き起こすことで知られていますね。
霊夢:
冷たいものが熱くなったり、その逆になったりするのよね。
きめぇ丸:
それだけではなく、筋肉痛、腹の痛み、関節痛、頭痛、目まい、脱力、排尿障害、下痢、嘔吐、最悪の場合は不整脈、血圧低下、徐脈を呈することもあります。
この毒で亡くなることは稀ですが、重症な場合では数ヶ月から1年以上継続することがあるので注意が必要です。
霊夢:
1年以上感覚異常になったら、お風呂に入るのも厳しそうね。
きめぇ丸:
こういった生物濃縮は魚だけではなく、貝類なども同じで、プランクトンを食べている貝に毒素が蓄積し、「貝毒」が発生してしまうことがあります。
もちろん、一般に流通している貝は厳しい検査が行われているので基本的にはリスクが低いですし、海域の検査も行っているのですが、市場などを経由しない個人の潮干狩りや釣り、出所がはっきりとしない海産物には注意が必要です。
霊夢:
確か、大きい個体の方がリスクが高いんだっけ?
きめぇ丸:
そうですね。体が大きく成長しているということは、それだけ海の中で長く生きているということ。つまり、たくさんの餌を食べているということになりますので、毒素を溜め込んでいる確率も高くなってしまいます。
霊夢:
なるほど……。
きめぇ丸:
地域によっては、「大型のヒラメなどは流通させない」といった独自のルールで安全性を確保しているところもあるくらいです。
霊夢:
全然知らなかった……。
きめぇ丸:
以前、私たちのチャンネルでも何度か紹介していますが、二枚貝の類いは海水を吸い込み、プランクトンなどを濾し取って生きており、ある意味でろ過装置の役割を果たしてるんですが、育った海域によってホタテは下痢性貝毒、麻痺性貝毒を持つこともあるので、毒が蓄積される部位「中腸腺」は取り除いて食べる方が無難です。
霊夢:
でもまあ、普通に売ってるホタテとかを食べてる分には安全でしょ?
きめぇ丸:
はい。現在では、貝類の特性などを考慮し、生産海域の細分化、定期的な貝毒検査を実施しており、毒化の傾向が認められた場合には、関係者に対して適切な指導を行うとともに、監視及び検査の体制を強化するなど、違反品が出荷されることのないよう、必要な対策を講じていますからね。
また宮城県などの特定の自治体では、独自の取り組みとして、食品衛生法に定める自主規制値を下回っていたとしても、一定の基準を設け出荷自粛要請を出しているので、市販されているホタテなどでこの貝毒にあたることはまずないと考えてもいいでしょう。
霊夢:
日本ってほんとそういうところはかなり厳しくて安心できるわね。
きめぇ丸:
下痢性の貝毒は基本的に数日程度で全快すると言われていますが、麻痺性貝毒では重症の場合、12時間以内に呼吸困難になり、死に至る場合があるので、もし万が一、貝や魚などの海産物を食べ、口や舌のしびれ、腹痛、感覚の異常などを覚えた際は、すぐに医療機関を受診した方がいいでしょう。
サレマポーギーも、こういった生物濃縮によって体に毒が蓄積していたと考えられていますが、原因が分からなかった時代は、食べると幻覚、異常な夢を見ることから「ドリームフィッシュ」と名付けられ、それが定着したのかもしれませんね。
見た目は普通の魚でありながら、食べると幻覚・幻聴・記憶障害まで引き起こす魚・サレマポーギーについての解説でした。動画ではより詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▼動画はこちらから視聴できます▼
『『食べると幻覚と記憶消失する魚』別名「ドリーム・フィッシュ」の異名を持つ不思議な魚食べて激しい幻覚・幻聴・奇行走る事例が報告…何故魚にLSDのような効果が?【ゆっくり解説】きめぇ丸解説』
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