【MLB】メジャー4年目で開眼した鈴木誠也 カブス番記者は「打つべきカウントで、打つべき球に手を出している」

1

2025年06月14日 07:30  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

後編:鈴木誠也、メジャー4年目の開眼

 鈴木誠也(シカゴ・カブス)の"4年目の開眼"の原因を探る連続インタビュー。後半はスポーツメディア『The Athletic』の番記者であるサハデフ・シャーマ氏に話を聞いた。メジャーでのルーキーシーズンから鈴木を取材してきたシャーマ記者は、鈴木の打撃アプローチとともに、コミュニケーションの変化も感じているという。

 それと同時に、現時点でナ・リーグ中地区首位に立っているカブスの躍進に少々驚かされているというベテラン記者に、このチームの今後の可能性についても語ってもらった。

【「積極性を適切な形で発揮できている」】

 ハイペースで打点を稼いでいる誠也は、今くらいのレベルで活躍するだけのポテンシャルは常に秘めていたと思う。メジャーでのルーキーシーズンの終盤や、健康に過ごしている時期の一定期間など、その片鱗を垣間見せてきた。オフェンス面での能力が高いことは、誰の目にも明らかだった。

 今季の誠也の活躍は、カイル・タッカーの加入、PCA(ピート・クロウ・アームストロング)の成長などでカブス打線の層が非常に厚くなったこともあり、プレッシャーが軽減されたことが好影響を与えたことは間違いない。ダスティン・ケリー打撃コーチが述べているとおり、新加入のタッカーから打者に有利なカウントで積極的に打つことの大切さを学んでいる部分もあるのだろう。

 今季の誠也は四球が減った一方でパワーが飛躍的に向上している。打球をより遠くに飛ばそうと努めているように見える。打つべき球を選んでスイングし、空振りはそれほど多くはない。しっかりとコンタクトし、バットのバレル(長打になる確率が高いとされている打球の速度と角度の組み合わせを示す指標)で打球を捉え、力強く打ち上げている。現代のメジャーでフロントオフィスが望む要素を数多く備えた打者として確立されてきたように見える。

"打席でより積極的になったことが功を奏している"というのも、ケリー打撃コーチが話しているとおりだと思う。さらに突っ込んで話しておくと、誠也はその積極性を適切な形で発揮できているのが大きい。

 打撃のアプローチが変わっても、誠也自身が変わったわけではない。「もっとアグレッシブに」と指示すると、どんな状況でもとにかく初球にスイングしてしまう打者もいるが、聡明な誠也はそうではない。打つべきカウントで、打つべき球に手を出している。シンプルに聞こえるかもしれないが、これまでと違った方法で成功している誠也は評価されてしかるべきだ。

 私はメジャーでの1年目から誠也を取材してきたが、過去数年と比べ、クラブハウスで接する彼はよりリラックスしているように感じられる。もともとジョークを言うことを好む選手だったが、以前は自身が取り組んでいることについて説明することには消極的だったように思う。それが現在ではいいことであれ、悪いことであれ、どのように結果に至ったかを細かく話してくれるようになった。4年目を迎え、アメリカでも実績を残し、さまざまな意味でより快適に感じられるようになったがゆえのことなのだろう。

【カブスがワールドシリーズを目指すためのカギとは?】

 2025年のカブスは"サプライズチーム"のひとつと言えるのかもしれない。過去4年間、プレーオフから見放されてきたチームが6月12日の時点で42勝27敗と好調。ナ・リーグ中地区で2位のミルウォーキー・ブルワーズに5.5ゲーム差をつけ、首位を快走中だ。特にPCA、タッカー、鈴木、ダンスビー・スワンソンらが引っ張る打線は強力で、チーム打率、得点はリーグ2位、本塁打数、長打率は同3位。このままいけば、覇権争いの台風の目になっていきそうだ。

 そんなカブスが今後、本格的な優勝争い参戦に向けてやるべきことは何なのか。

 今季前半戦のカブスの成績は私の事前の予測を少し上回っている。かなりいいチームになるチャンスがあると思ってはいたが、そのためにはいくつかのポジティブなことが起こる必要があると見ていた。ふたを開けてみれば、PCAのスーパースター級への成長、誠也の活躍など、起こるべきことが起こっている。

 今永昇太、ジャスティン・スティールのような主力投手が故障離脱しても、その勢いは止まらなかった。今のカブスは地区首位に立っているだけではなく、メジャー屈指のチームに見える。プレーオフ進出は十分にあり得ると予想していたが、これほどの躍進には驚かされている。

 最後に今後について話しておくと、左大腿部の肉離れで離脱している今永はもうじき復帰する見込みだが、そのあとでも、先発投手をもう1人加えるべきだと思う。できれば今永よりも上か、同等に近い投手が獲得できればベターだ。その時には、カブスはワールドシリーズが狙えるチームになっていくだろう。

 近年のメジャーリーグは戦力均衡が進んでおり、今のままでも優勝が目指せるのかもしれない。ただ、多くの主力選手が健康を保ったうえで、ベテラン投手を補強できれば、その可能性は高まる。

 打線はかなり優れているだけに、今季のカブスは楽しみなチームとして浮上し続けても不思議ではないように思える。

このニュースに関するつぶやき

  • 大谷選手の様に 確実に球を捉える技術を会得した様な雰囲気を 今年の鈴木選手からは感じますね。日本人野手の右打者では初のHR30本や100打点といった記録達成も今後楽しみですね
    • イイネ!4
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定