
俵万智さん
1962年生まれ、大阪府出身の俵さん。早稲田大学第一文学部在学中に、佐佐木幸綱(ささき・ゆきつな)さんの影響を受け、短歌を始めます。1987年に上梓された第1歌集「サラダ記念日」は280万部のベストセラーとなり、翌年、現代歌人協会賞を受賞。歌集「チョコレート革命」「未来のサイズ」「アボカドの種」などのほか、評伝、エッセイなど、多くの著書を出版。2023年には「紫綬褒章」を受章。2025年4月には新著「生きる言葉」を刊行しました。
茂木:俵さんといえば、Xでのポストも非常に話題になっていまして、面白いのは「『この味がいいね』と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日」の「いいね」が、実はFacebookやInstagramの「いいね」の元祖ではないかという説が……。
俵:私がその短歌を作ったのはもう40年近く前で、もちろんこういうSNSとかはなくて、「いいね」という言葉がこんなふうに使われるようになるとは全然思っていませんでした。
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「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
— 俵万智 (@tawara_machi) July 6, 2020
今は「いいね」の数を競うような風潮があるけれど、これはたった一つの「いいね」で幸せになれるという歌です☺️ #サラダ記念日
茂木:1つの「いいね」でいいんだけど、そこにたくさんの「いいね」がついたという(笑)。
俵さんのご著書「生きる言葉」のなかには、痺れるようなことがいろいろ書かれているのですが、僕はやっぱり谷川俊太郎さんとのやり取りがすごいな、と思いました。
「君は現代詩の敵なんだ」みたいなことをおっしゃったと。これはどういう意味なんでしょうか?
俵:初めてお目にかかったときに、すごい笑顔でおっしゃったんです(笑)。その頃、私も初めての歌集「サラダ記念日」がワーッと評判になったので、谷川さんにお目にかかるようなチャンスも生まれて。「5・7・5・7・7」の5音・7音のリズムは、本当に日本語を心地よくしてくれる魔法の杖みたいなものなんです。でも、谷川さんの書いていらっしゃる現代詩というのは、そこから自由になるというか、むしろそれを禁じ手として使わずに、頑張って自分たちのリズムや形を模索するもの。「地平を切り開くんだ」ということを頑張っているのに、砕いて言うと、「あんたたちは、やすやすとその便利な魔法の杖を使ってずるい!」みたいなことだったと思います。しかも、「なかなか現代詩の詩集が売れない」と言われていたときに、「歌集でこんなに……?」という感じでおっしゃっていました。でも、その頃は私、けっこうちやほやされがちだったので(笑)。笑顔で怖いことを言う、そこが「かっこいいな」と思いました。
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俵:でも、本にも書きましたけれども、「私の敵です」とはおっしゃらなかったなと思って、もう、あっという間に懐きました(笑)。
茂木:それで、もうすごく仲良くされていて。
「生きる言葉」をこれから読まれる方も多いと思うので、メッセージをいただいてよろしいでしょうか?
俵:言葉と無縁に生きている人は多分いないと思うので、もしこの本を読んで、自分の日頃の言葉について何かしら考える時間を持ってもらえたら、そのことが「言葉の足腰を鍛える」ということにつながっていくかなと思います。いま、言葉を紡ぐのはすごく忙しいですよね。でも、ちょっと立ち止まって言葉について考える時間を持つということは、すごく大事なような気がするので、この本がそのきっかけの1つになってくれたらうれしいなと思います。
茂木:我々にとって大事な言葉を見直す、1つのきっかけになると思います。みなさんぜひお読みください!
6月14日(土)の放送も、引き続き俵万智さんをお迎えしてお話を伺います。
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茂木健一郎、俵万智さん
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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00〜22:30
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/dreamheart/
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