




実家に入るや否や、両親の険しい表情が目に入ってきた。そして父には怒鳴られた。「じゃあ俺はどうすればいいんだよ!」思わず大きな声が出る。羽田さんの要望を叶えるため、家族との時間を犠牲にしているのは分かっている。でも……。


賠償金を支払ったから「もう関係ありません」? そんなふうに突っぱねるなんて俺にはできない。しかし父はそんな俺に指摘してきた。相手の方は要望を叶えてもらえればもらうほど、エスカレートしてしまっているのだろう、と……。


確かに俺は羽田さんたちに「賠償金」という名目で金を支払った。ただ金を払ったことで罪の意識が消えるわけではない。むしろ再会して彼女の現実を見たことで、罪悪感は弱まるどころかいっそう強くなった。だから俺が助けてあげられることがあるなら、何でもしてあげたいと思ったのだ。
しかし父は「もう羽田さんに近寄るな」と忠告してきた。気持ちに区切りをつけるために賠償金という手段があるのだと……。だったら俺はこれからどんな気持ちで彼女と接したらいいのだろう。ますます分からなくなってしまった。
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原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子