写真 数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが、話題のタイ映画『親友かよ』について語ります。
◆クラスメイトの死をテーマに映画を作り始める
今回、わたしがご紹介させていただくのは、タイの青春映画『親友かよ』です。
高校3年生のペーは転校先の学校でジョーという男子と隣の席に。無愛想なペーに対し、いつもニコニコと人懐っこいジョー。2人の距離はなかなか縮まらないまま、ある日、不慮の事故でジョーが亡くなってしまう。
そんななか、短編映画のコンテストに入賞すれば、学科試験なしで大学に入学できるということを知ったペーは、ジョーの死をテーマに映画作りを始める。
◆登場人物たちのその先の幸せを祈る
最高の青春コメディでした。映画作りというものを通してつながっていく友情と、映画が叶えてくれる空想の自由さ。時に綺麗事だ、絵空事だと言われても、映像の中ではそれが真実になる。
私自身も好きな作品を思うとき、その登場人物たちがこの先もずっと幸せでいてくれたらと空想することがあります。
今まで私が演じてきた役も同じように、きっと今もどこかで幸せな毎日を過ごしている、そんな世界があったらいいなぁと本気で思うんです。
◆「すべてが本物になる瞬間」が訪れる
映画作りの持つ無限の素晴らしさと、現実を生きる少年たちの人生。その2つが重なって、すべてが本物になる瞬間が確実にこの映画の中に描かれていました。
この少年たちがこれからも、この思い出を忘れたり思い出したりしながら、幸せに過ごしていてくれたらなと思います。
映画の中に人生を見て、人生の中に映画の奇跡を見させてくれるような、そんな煌めきがある映画でした。(映画ゲシュタルト崩壊)
◆印象的だった「登場人物たちの顔」
そして、とても印象的だったのは、「登場人物ひとりひとりの顔がいい!」ということ。
イケメンだとか美女だとかそういう類のよさだけではなく、みんな本当にいい顔をしている。抽象的な表現になってしまうけれど、そんな漠然としたよさが全員の表情に溢れていました。
すべての映画好きさんは、劇場で観ることを全力でオススメします!
●『親友かよ』
配給/インターフィルム 新宿シネマカリテ、渋谷シネクイント、池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開中 ©2023 GDH 559 AND HOUSETON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
<文/松本穂香>
【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2024年10月期月9ドラマ『嘘解きレトリック』では鈴鹿央士とともにW主演を務めた