俵万智 NHK大河ドラマ『光る君へ』に登場した「『藤原道長の歌をディスった』とか言われましたが、ディスったわけではありません(笑)」深意を語る

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2025年06月14日 20:10  TOKYO FM +

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俵万智 NHK大河ドラマ『光る君へ』に登場した「『藤原道長の歌をディスった』とか言われましたが、ディスったわけではありません(笑)」深意を語る
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00〜22:30)。 6月7日(土)、14日(土)の放送ゲストは、歌人・俵万智(たわら・まち)さんです。7日(土)の放送では、俵さんの著書「生きる言葉」(新潮社)などについてお話を伺いました。


俵万智さん



1962年生まれ、大阪府出身の俵さん。早稲田大学第一文学部在学中に、佐佐木幸綱(ささき・ゆきつな)さんの影響を受け、短歌を始めます。1987年に上梓された第1歌集「サラダ記念日」は280万部のベストセラーとなり、翌年、現代歌人協会賞を受賞。歌集「チョコレート革命」「未来のサイズ」「アボカドの種」などのほか、評伝、エッセイなど、多くの著書を出版。2023年には「紫綬褒章」を受章。2025年4月には新著「生きる言葉」を刊行しました。

茂木:僕、俵さんのご著書「生きる言葉」からいろいろなことを学ばせていただいたのですが、すごいなと思ったのが、たとえばNHK大河ドラマ「光る君へ」に出てきた藤原道長の有名な一首(「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」)。あの分析なんか、「こうやって見るんだ」と思って、もう痺れました。

俵:歌って本当に短いものですけど、だからこそ100年経っても、1000年経ってもいろんな読み方ができる。あのときは「俵万智が、道長の歌をディスった」とか言われました(笑)。

茂木:ディスっていませんよね?

俵:ディスったわけではないんですけど。有名な「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」という歌が、いまの社会の教科書なんかではすごく“俺さま感”が強い感じで「この世を俺のものにしたぜ。ワッハッハ!」みたいな歌として紹介されているけど、そうでもないんじゃないか、という。でも、どうしてそんな「俺さまな歌」に取られているかというと、「思ふ」という言葉が2回出てきてしまっている、というようなことで(笑)。

茂木:でも、それは道長のそのときの気持ちから自然に出た「生きた言葉」だから、「そこに何かがある」ということですよね?

俵:そうです。史実を見ても、あの歌はその場で口ずさまれた歌だ、ということが分かっているので、「口ずさまれた」ということは、頭から作っていったんだな、と。

茂木:僕が「生きる言葉」を拝読していてすごく感動したのは、「技巧じゃないんだ」「知識でもないんだ」と。まさに、「『心から言葉が出てくる』ということが大事なんだ」と。「最後とは知らぬ最後が過ぎてゆく その連続と思う子育て」という作品も「生きる言葉」に出ていて、俵万智さんが詠まれた歌ですが、素晴らしいじゃないですか!

俵:ありがとうございます。

茂木:これも「技巧を凝らした」とか、そういうことではないんですよね?

俵:はい。むしろ、「技巧」という点から見ると、けっこうツッコミどころの多い歌なんですけど。子育て中の人はもちろん、介護している人とか、「知らないうちに最後が過ぎたな」という、人生でのさまざまな場面がありますよね。この歌は、みなさんがそこに当てはめて読んでくださったので、「本当に多くの人と心を共有できたな」という実感の持てる歌ですね。

6月14日(土)の放送も、引き続き俵万智さんをお迎えしてお話を伺います。


茂木健一郎、俵万智さん



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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00〜22:30
パーソナリティ:茂木健一郎

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