【性の対談連載:ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』】「AVは正しくないとされがちだけど、学べることもある」

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2025年06月14日 21:10  週プレNEWS

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小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」

特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。ただただ、セックスの、話を、していきます。

* * *

【No.05】

――前回に引き続き、Jさん(30代、男性)と「男性とAVの関係性」について話していきます。

Jさん 例えばAVではよく見る「潮」に遭遇したことありますか? 僕、ないんですけど。

ニシダ ないなあ。

Jさん 印象ですけど、AVの半分くらいは潮を吹いている気がしていて。そのワンシーンを絶対に入れるようにしているのかなって。

ニシダ 確かに多いイメージ。それも派手さなんでしょうね。映画とかドラマとかと同じ映像作品だから。

そういう意味では派手さを求めていって、ある程度の派手さが一般的になったら、それよりもさらに派手なものを求めて、それが過剰になり......の果てなのかな、潮って。

Jさん 「潮を吹かせるまでが手マンだ」みたいなイメージもなんとなくある気がするし。潮が出ないと気持ちよくないというか、気持ちいいと潮が出るものって思っちゃいそうなくらいAVって潮を出すから。

ニシダ 手マンのゴールっぽいっすもんね。極めていった先に潮がありそう。

Jさん それこそ、射精もセックスのゴールっぽいですよね。別に愛撫だけでも気持ちいいはずだから射精までじゃなくてもいいのに。その関係と、手マンと潮の関係も近いですよね。

ニシダ 確かに。

Jさん また全然話変わるんですけど、AVの最後で男優が「イく!」って言って、挿入していたものを抜いて、顔に射精することがあるじゃないですか。あれ、リアルでやる人いるんですか!?

ニシダ いや〜、あんまいないんじゃないかな、後処理大変そうだし。それもやっぱり精子を見せたいっていうことなんですかね。

顔射っていうのもブランドというか、「顔射が見たいから作品を購入する!」っていう人もいるだろうから、そういう人を取り込む、作品価値を高めるひとつのプレイになっている。

アクション映画にちょっとセクシーなシーンが入ってるみたいな。

Jさん なるほど。やっぱりAVって演出込みだから参考にできないんですかね。

ニシダ うーん、なんか言説として「AVでセックスを勉強してはいけない」みたいなことって今一般的になっている気がするんですけど、技術の面はそうだとしても、実はAVから学べることもあると思っているんですよね。

Jさん AVから学べること?

ニシダ AVのエンターテインメント性は、俺たちがセックスするときも必要なんじゃないかなっていつも思っていて。

もちろんAVにもいろんなジャンルがあるから、痴漢とかレイプとか犯罪のものは当然ダメだと思うし、実際に女性がうれしい手マンやピストンとは違うって部分もあるかもしれないですけど。

でも、お互いが行為を盛り上げようとする雰囲気って、俺たちがセックスするときも必要なのではって思う。一概にAVから学んじゃいけないんだよっていうのも違う気がするんですよ。

Jさん めっちゃいい話だ......。

ニシダ あれはプロフェッショナルな現場で、仕事としてお互い楽しくやろうとしている気がするんです。

そのセックスへの心意気とか姿勢はAVを見て学んでもいいのでは?って思う。

Jさん 確かに。AVを見ていない本当に知識ゼロの状態で「はい、じゃあセックスしてください」ってなったら、何もできない可能性あるけど、AVはちゃんと愛撫やキスから始まって、テンションやムードを徐々に立ち上げていく演出があるから、それはAVから学んだ姿勢なのかもしれないです。

ニシダ やっぱ、目の前の人を楽しませようっていう積極性がAVにはある気がしていて、そのポジティビティは参考にしていい気がする。

Jさん 師匠の言葉に戻ってきましたね。

ニシダ 確かに(笑)。

Jさん それこそ、男性は賢者タイムという皆が立ち向かわなきゃいけない課題があるけど、イったあとのケアはAVのほうがしっかりしている気もする。

コメント拾ったり。射精で終わりじゃないんだって。AVは最後まで見なきゃいけないんだって最近つくづく思います。

ニシダ そこもちゃんとしてるもんなあ、AVって。終わった後も最後まで楽しませようっていう気持ちがありますもんね。

そういう心だけはAVから学ぶべきだって気がしてしまう。なんか変な話ですけど(笑)。

Jさん ちょっと話変わるんですけど、セックスと同じくらいキスって学ぶ機会ないですよね。

ニシダ ないかも。セックスに関してはAVがあるけど、キスって本当に誰からも習わないかもしれない。

でも、セックスよりかは子供の頃から見る機会は多いですよね。ドラマなり映画なりで。そっから勉強するしかないのかな。

Jさん あとは実戦しかないですよね。

ニシダ 実戦しかないですね。AVとかの参考資料がたくさん手に入る現代でこうなんだから、昔ってどうしてたんだろうな。セックスもキスも、映像が発展してない時代って。

Jさん 「書物に唇と唇を重ねたら気持ちいいって書いてあったからやってみようぜ!」とかって感じなんですかね。

ニシダ でも、逆にそのくらいだったら楽しいかもしれないですね。情報量がゼロだから、お互い未曾有の快感を探求するみたいな。

学ぶタイミングが実戦しかないのであれば、実戦を最大限活用するしかないのかもしれない。気持ちいいときは積極的にホメたり。

Jさん 「今の良かったね」とか?

ニシダ 「今のオッケー!」とか「いいよー!」とか積極的に声をかけて、戦いの中でお互いに成長していくべきなのかも。

AVは参考にはできるかもしれないけど、実際のセックスはふたりだけのものだから。

「自分はこれが好きだよ」「自分はこれが苦手だよ」ってふたりでカスタマイズして作り上げていくものなのかもしれないですね。

* * *

ニシダ(ラランド) 
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著作に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)がある

撮影/鈴木大喜

「正しくないとされがちなAVだけど、学べることもある」と語るラランド・ニシダさん

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