「靴は休ませると長持ちする」「その割にほっとくと劣化する」一体どうすれば…?【梅雨時期のお手入れを専門家が解説】

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2025年06月15日 16:30  ORICON NEWS

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梅雨の時期、靴のケア方法
 これからの梅雨の時期は、靴の湿気やニオイが気になり始めるので、普段からのケアが大事になってくる。だが、特に革靴のケアは「難しそう」というイメージを持っている人も多いはず。適切なメンテナンスを行い、梅雨時期も気持ちよく愛用の靴を履くにはどういった対処をするのが適切なのか。湿気やニオイ、汚れをケアする方法、革靴メンテナンスの便利グッズなどについて、ビジネスシューズを展開する青山商事の村上智彦さん、相良悠策さんに話を聞いた。

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■湿気対策に必須、防水スプレーとシューキーパー

――――梅雨時期に革靴のお手入れを行ったほうがいい理由を教えてください。

「梅雨時期は、汗や雨で革の表面が濡れてカビが生えたり、汗の蓄積で革自体が劣化しやすかったりするので、そういったことから守るために、防水スプレーが非常に大事なメンテナンスアイテムになります」

――――お手入れの基本的なステップは?

「日頃のケアとしては、まずはブラシで汚れを取り除き、汚れ落としのクリームを使って革の表面をきれいにします。次に、保湿をするために保革クリームや補色クリームを塗り、最終的にクロスやブラシで仕上げを行います。その後に防水スプレーを吹きかけておくと、1〜2週間程度の防水機能を持つようになります」

――――忙しい人向けに、最低限これだけはしたほうがいいといった手順を挙げるとすると、どういった感じでしょうか?

「防水スプレーは防水だけではなく、防護の効果もあります。大体効果が数週間なので、数週間おきに吹きかけてもらうのは絶対にやってほしいです。その後のメンテナンスを楽にするためにも、防水スプレーは非常に有効なアイテムです」

――――お気に入りの靴を長く履くためには、この基本ステップでのお手入れをしたほうがいいということですよね?

「そうですね。あと、しっかりと乾燥させることが大事なので、連続着用も避けてください。履いた後に汗で中が湿っている状態で靴箱に入れるのもカビの発生につながりやすいので、履いた靴はちゃんと休ませることが重要です。靴箱はあまり風通しがよくないので、靴の状態だけを考えると、玄関に置いておくほうがいいと思います」

――――最近は消臭や乾燥の機能が備わった靴の先端の形をした乾燥剤などもありますが、あれは革靴にも適用していいのでしょうか?

「非常に有効です。あと、型崩れを防ぐシューキーパーもおすすめです。弊社で出しているものは、ニスも何も塗っていない無垢の木のタイプなので、こういったもののほうが湿気対策にはいいです。高級なニスなどを塗っているものは表面の湿気を吸わないので…。除湿剤も並行して使用してもらうのが、湿気対策としてはベストだと思います」

――――マストアイテムは防水スプレーとシューキーパーという感じですね?

「そうですね。シューキーパーよりも除湿剤のほうが消臭や除湿の効果は高いのですが、靴自体の履きじわも伸ばさないといけないので、最低限2つとなると防水スプレーとシューキーパーですかね。シリカゲルタイプの除湿剤は、靴に装着するだけでももちろん使えますし、そのまま靴箱に入れておくだけでもいいので、そういった使い方をすれば、靴箱の中の湿度の管理はある程度しやすくなると思います」

■靴を買った際の薄紙「取っておいたほうがいい」

――――下駄箱内での管理の仕方を教えてください。

「除湿剤は必要不可欠ですね。新聞紙を入れておくのも有効ではあります。私も全ての靴に新聞紙や薄紙を入れています。本当はシューキーパーを全てに入れればいいのですが、たくさん靴があると費用もかかるので、新聞紙を最低限入れていますね。

 ビジネスシューズは1回履くとコップ1杯分の汗をかくと言われているので、必ず湿気を取って乾燥させることが大事です。靴の中をカラッとすることがカビやニオイ防止につながります」

――――ちなみに、靴を買った際の箱や薄紙は取っておいたほうがいい?

「薄紙は取っておいたほうがいいです。私も薄紙は靴の中に入れて下駄箱で保管しています。箱にしまうのは通気が悪くなるのでよくないです。箱にしまうよりは下駄箱、下駄箱よりは玄関といった感じですね。あと、紫外線はよくないので直射日光はダメですが、日陰で外に出すことを定期的に行うのが長く使うためには一番いいです」

――――下駄箱に入れたら次のシーズンまでそのままみたいな感じでした…。

「靴にはそれが一番よくない。入学式用に初めて革靴を購入して、その後一度も履かず、3年後に卒業式で履こうとしたらボロボロになっていたみたいなご指摘もよくあるんです。お客様的には「一度しか履いていないのに…」という思いなのは理解できるのですが、靴は定期的に外に出してあげることが非常に大事なんです」

――――なかなかできていませんでした。

「革が硬化してカピカピになった状態で履いて、つま先をグッと曲げた瞬間にパリッと割れてしまう。そういった状態を素材の硬化というのですが、固まってしまうのは何年も履かずに通気性が悪い場所で放置していたときに起こる現象なので、それを防ぐためにも定期的に履くことが長持ちにつながります」

――――こまめなケアが本当に必要ですね。

「革は人間の顔と一緒です。洗顔をして化粧水も何もつけないでいると突っ張ってカピカピになる。それと一緒で、革が濡れるのは革の表面の油分が飛ぶことなので、濡れて飛んでしまったらしっかりと保湿をしてあげましょうということです。それが長く履くための秘訣なので、スキンケアをするように靴もケアしてほしいです」

――――カビにも注意が必要ですよね?

「最近はメンズでも合成皮革の靴が増えてきていますが、合成皮革は天然素材ではないので基本的にカビは生えないですし、表面からはあまり雨も入ってきません。ただ、本革は吸湿性があるので自然と中の湿気を逃がしますが、合成皮革は表面に膜を張っている状態なので、中の湿気は留まってしまう。だから、インソールを外したら裏がカビだらけみたいなことも多いんです。

 合成皮革はケアが楽だと思われがちですが、インソールを抜いて洗ったり、陰干しで乾燥させたり、除湿剤やシューキーパーを活用したりして、湿気対策をしっかりしないと、靴の中のカビというリスクは高いのかなとは思います」

■除湿機能のある靴、インソールを外せる靴がおすすめ

――――ニオイが取れないときは、どういったケアをするのが有効でしょうか?

「消臭スプレーなども有効ではありますが、ニオイを消すというよりニオイを包み込んで隠すような成分のものが多いのも事実です。最近はカップインソールという、中のインソールが外せる靴も増えてきているので、そういう靴を選んでもらえば、市販のインソールと変えることもできますし、インソール自体を丸洗いすることもできるので、より清潔にも保てます」

――――靴を放置してカビが出てしまったときには、どんな応急処置方法がありますか?

「カビの状態にもよりますね。カビの胞子をしっかり落とし切ることが大事なので、表面にちょっとカビが浮いている程度だったら、まずはブラシや乾いた布でしっかりカビを落としてください。強く擦ると中に入り込んでしまうのでやさしく落とす。落とすときにカビの胞子が舞うので、室内ではなく、必ず外でマスクをして行ってください。見た目で表面にカビがなくなっても、中に胞子が残っている可能性があるので、エタノールや高濃度アルコールで拭き取ってもらえば問題ないです」

――――それ以外で、靴選びの際にどういった部分に気をつけるといいでしょうか?

「通気という部分でいうと、靴の底にダクトみたいなものがついていて、そこから靴内部に溜まった湿気をポンプ式に押し出す靴などもあります。湿気は靴を履くときの大きな悩みなので、除湿に特化した靴を選ぶのもいいと思います。物理的にそういった機能がついた靴を選ぶか、インソールなどでそれを賄うかですね」

――――防水機能や通気性の備わった靴を選んで少しでもケアを楽にするか、お気に入りの靴を履きたいのなら定期的にケアを怠らないかの2軸ですね。

「ニオイでいうと、やはり本革は臭いづらいです。本革を1足持って、普段用と雨の日用の靴として使い分けたほうが、好きな靴を長く使うことはできるのかなと思います」

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