



賠償金を受け取っても元通りになるわけではありません。身体の痛みや苦しみ、そして変わり果てた自分の姿に私は何度も泣きました。そのたびに両親は私を抱きしめ、支えてくれました。「あの事故さえなかったら」と何度思ったことでしょう。



事故で失ったものも多かったけれど、気が付いたこともたくさんありました。とくに周りの人たちの優しさや両親の愛情……。私は多くの人に支えられ、恨みを抱えて生きるより目の前の幸せを大切にしていこうと決めたのです。




あの事故で私の人生は変わってしまいました。加害者の橘ケンは、当時は家まで来ては深々と頭を下げていました。自分の現実を受け止めきれないときは、彼の姿を思い浮べながら恨みを募らせていたのです。しかしそんな私を受け止めて支えてくれた両親のおかげで、現実を受け入れ、目の前の幸せを大切にしていこうと切り替えることができました。
高校を卒業して大学生になり、たくさん友達もできました。就職してからは会社でもそれなりに仕事をこなすことができています。働きながら資格の勉強に励んだりもしました。どんなことがあっても、ひとりで強く生きていく……それが私の目標だったのです。
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【第15話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子