ガソリン税の暫定税率廃止法案に関する協議に臨む与野党の実務者=16日、国会内 野党7党が衆院に提出したガソリン税暫定税率の7月1日廃止に向けた法案の扱いを巡り、与野党の実務者協議が16日、国会内で行われた。自民、公明両党は実務面の混乱や、財源確保策の明示を要求。立憲民主、日本維新の会、国民民主各党は審議入りを強く求め、平行線だった。夏の参院選をにらんだ駆け引きが激しさを増している。
自公は7月から暫定税率を廃止した場合のガソリンスタンド業界への負担や、国・地方で年間およそ1兆5000億円と見込まれる減収の代替策について説明を求めた。立維国3党は事業者への支援策を講じるほか、政府が実施中のガソリン補助制度の廃止や税収上振れ分の活用で代替財源は確保できると主張した。
自公がより詳細な説明を求め、資料の提示を迫ったのに対し、野党3党は「質疑でお答えするので、質問してもらいたい」と答え、衆院での審議入りを優先すべきだと反論した。協議後、立民の重徳和彦政調会長は記者団に対し、自公の対応について「衆院で少数与党の立場にあることを認識していない」と批判した。
協議が調わなかったことを受け、野党提出法案の審議日程を話し合うため16日に予定していた衆院財務金融委員会の理事懇談会は開かれなかった。野党各党は速やかに質疑に入るよう同委の井林辰憲委員長(自民)に要求したが、回答期限とした夕刻までに返答はなかった。野党側は17日にも井林氏の解任決議案提出に踏み切るとの見方が与党内に出ている。
22日の会期末まで1週間を切る中、仮に法案が衆院を通過しても、自公が過半数を占める参院で可決、成立する可能性は極めて低い。16日に行われた自民、立民の参院国対委員長会談で、自民の石井準一氏は参院に法案が送付された場合「廃案になる可能性がある」との認識を伝えた。
公明幹部は「減税を拒否する与党のイメージを選挙前にアピールするのが野党の狙いだ」と語った。