
「最初はみんな こんなはずじゃなかった…から始まります」
【写真4枚】みんな痩せていて、毛並みもボサボサ、貧血の子もいた
石川県内のマンションで猫が増えすぎて、飼い主が適切に飼育できなくなる「多頭飼育崩壊」が起きたことが分かりました。保護に入っている動物保護団体「ののいち にゃんこのおうち」(@nyankonoouti)がInstagramで報告。同団体の中野代表によると、猫は2カ月から19歳までのスコティッシュフォールド18匹で、5月下旬ごろに発覚したといいます。
「スコティッシュをご夫婦で飼われていました。ペット不可の賃貸マンションには5年ほど前から住んでいて、最近管理人さんから注意が入り、7月末までに退去命令が出されたとのこと。猫を全頭出すという約束で引っ越しはしない、ということになったとか。そこで、飼い主さんは知人を通じて個人ボランティアさん(@cheriko_tami)に相談が入りましたが、個人ボランティアさんだけで対応するのは難しい案件のため、『きゃにまる kaga』の水本代表(@kyanimaru2023)のところへ話がいって。さらに、きゃにまるさんのInstagramの投稿を私が目にして、私たち団体もお手伝いしようと保護に入ることになりました」
中野代表らが現場のマンションに足を運ぶと、飼い主夫婦の劣悪な飼育状況にあ然としたそうです。
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19年前に2匹の猫を飼い始めた…「ご飯1日1回、避妊・去勢手術しない、病院に連れて行かない」
「骨壺が8個ほどありました。痩せ細った子たちばかりで、みな鳴くこともなく無表情…飼い主さんにいろいろ尋ねると、ご飯をあげるのも1日1回、避妊・去勢手術はもちろんのこと、病院に一度も連れて行ったこともないとか。ただお金に余裕はないといっておきながら、猫の火葬は勧められた合同ではなく個別火葬を毎回お願いして骨壺は家に…まさにアニマルホーダー(異常な数の動物を集めて飼うが、十分な世話ができない多頭飼育者)ですね」
19年ほど前、飼い主夫婦が知人のところから雄・雌2匹もらってきたのが始まり。そこから19年にわたり近親交配を繰り返し、猫たちは次から次へと増えていったのです。
「後日、当団体がスペイクリニックなどでお世話になっている獣医師(@lulu.vet.clinic)に同行してもらい、可能な子はワクチン接種をはじめ点滴や抗生剤、下痢止めなどの処置をしていただきました。やはり全頭痩せていて、毛並みもみんなボサボサ。実年齢よりも目を見てももっと年齢高めに見えます。下痢をしている子が多く、目の前で嘔吐しながら下痢をしている子も。心が痛みましたが…。去り際には、飼い主さんに全頭保護するまで、餌を1日2回あげることをお願いしました」
ボランティア団体、ガリガリの母猫など2匹を引き取る
この日「ののいち にゃんこのおうち」で引き取ったのは、ひときわ痩せていた2匹。1匹は2カ月前に出産したという母猫のシロちゃん(推定8歳)で、体重は1.7キロ。ひどい下痢でした。もう1匹のウメちゃん(推定4歳)も体重は2.1キロ。また2匹とも貧血だったとか。
多頭でとても狭い所にいたこともあり訪問時は感情があまり見られず一匹も鳴き声を聞かないままだったという、中野代表。保護後、2匹はか細く鳴いて自己主張もするようになったそうです。
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「今回の多頭現場に入り、飼い主さんには二度と動物を飼ってはいけないと伝えました。病院にも連れて行かない、手術もしない、満足にご飯もあげない…こういう人は動物を飼う資格はありませんから。現在、順次猫たちの里親さんを募集している状況ですが、スコティッシュ特有の疾患また、かなり濃い近親交配を繰り返していた時のリスク、避妊去勢手術を1歳前までに行っていないリスク、以上のことをご存知でない方は、一度調べてからご連絡いただけると助かります。スコティッシュは人気の猫種ですが、ご理解いただいた上でお問い合わせしていただけたら幸いです」
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最後に…今回の多頭飼育崩壊について、現場に同行した獣医師の岡田さんからのメッセージをご紹介します。
「現場に入り必要最低限の健康管理や感染予防も皆無で、猫が猫として生きることができない環境であったと思いました。猫だけではなく動物を飼育するために必要な知識がなく実行できない人は飼うべきではありません。今回はたった2匹の避妊・去勢手術をしなかったことで、夫婦だけの問題ではなく、大勢の人を巻き込んで起こった重大な動物福祉問題。そしてアニマルホーダーは精神医学的に正常ではないことも知っていただきたいです」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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