出身校ではなく、今の俺を見ろ−。
9月の陸上世界選手権東京大会で男子マラソン代表の吉田祐也(28=GMOインターネットグループ)が19日、都内で合同取材会に出席。箱根駅伝で総合優勝8度の青学大OBとして注目されるが「いつまでも学生時代の肩書が残ったままでいるのは、僕自身はあまり好きではない」と持論を展開した。
青学大出身者で世界大会のマラソン代表となるのは初めて。「僕に続く選手が出てほしい」と母校への思いも胸に秘めつつ、卒業から5年以上がたっても出身校が着目される傾向に「青学出身と言われるのは、嫌っちゃ嫌」と苦笑いで本音をもらした。
それは「過去の栄光や自慢話をするのは好きではない」という吉田なりの哲学に基づくもの。肩書が先行しがちなのは「日本独自の文化という面もある」と理解しつつ、今は実業団で研さんを積んでいることもあり「個人で見られるべきかなと思う」と望む。
そんな中、昨年1月からは母校の原晋監督(58)に再び指導を受け始めた。その決断は過去にすがったわけではなく、1人の指導者として絶大な信頼を寄せるから。「お前の場合は、足音が『ベタッ、ベタッ』としているとあんまり良くない」と、足音だけで不調を見抜かれたこともある。練習を追い込みがちな吉田に対して、適切な量を見極めてくれるという。
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「自動車学校の教官みたいな感じ。ナビゲートしたり、指示を出したりするのが監督。僕がアクセルを踏みすぎれば、ブレーキを踏んでくれる」と絶妙な師弟関係を表現。「僕は人に恵まれて競技生活ができている」と感謝した。
ただ何よりも、日本代表になるまでに成長できたのは、自分が諦めずに努力したからこそ。箱根駅伝の初出走はラストイヤーの4年生。昨年12月の福岡国際で日本歴代3位の2時間5分16秒をマークしたのは、実業団5年目だった。
「自分自身は1、2を争うたたき上げだと思っている。努力をしてここまで強くなったと知ってもらいたい」
目標は上位入賞。今は「青学大出身の…」と肩書がついて回ることもあるかもしれないが、初舞台で躍動して、吉田祐也の名を知らしめるつもりだ。【藤塚大輔】
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