2025年F1第10戦カナダGP表彰式 3位に入賞したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) 18歳203日でF1デビューを果たしたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)。デビュー時の年齢ではマックス・フェルスタッペン、ランス・ストロールに次いで、歴代3番目の若さだったが、その開幕戦では完走を果たし、史上最年少でのデビュー戦入賞を果たした。
第3戦日本GPでは、レース中盤に10周に渡ってトップを走行。これは2016年のスペインGPでフェルスタッペンが作った記録を4日更新し、最年少記録でのラップリーダーとなった。さらにこのレースの50周目にはファステストラップも記録。2016年のブラジルGPでフェルスタッペンが樹立した19歳44日の史上最年少記録を上回って、ふたつ目の史上最年少記録を更新した。
第6戦マイアミGPでは、金曜日に行われたスプリント予選で最速タイムを記録。スプリント予選は正式な予選には含まれないものの、2008年のイタリアGPでセバスチャン・ベッテル(トロロッソ)が樹立した21歳72日という史上最年少ポールポジション記録を大幅に上回った。
そのアントネッリが第10戦カナダGPで3位に入り、F1で初めて表彰台に立った。アントネッリにはシーズンが開幕する前に、史上最年少での表彰台獲得記録がかかっていた。もし、3戦目の日本GPで表彰台に立っていれば、フェルスタッペンが2016年のスペインGPで打ち立てた18歳228日という記録を4日抜いて、史上最年少表彰台となっていた。記録更新はならなかったが、18歳294日での表彰台獲得はフェルスタッペン、ストロールに次ぐ、3番目の若さだった。
初めて参加するレース後の記者会見では、こんな本音を披露した。
「正直に言うと、終盤はストレスが非常に高かったから、レースが終わることを願っていたんだ。最後のスティントではマックスの後ろで少し無理をしすぎて、左フロントタイヤのデグラデーションが大きかったので、終盤に行くにつれて苦しくなっていったんだ。残りの周回を数えるために会場にあるスクリーンを何度も見ていたよ(笑)。オスカーが僕のDRS範囲内に入って、バックストレートで近づいてきて、1コーナーでオーバーテイクを仕掛けてきたときはかなり厳しい状況だったけど、なんとか凌ぐことができた」
というのも、レース終盤、オスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレン勢2台が、アントネッリを猛追してきたからだ。しかし、そのマクラーレン勢2台は直後に同士討ち。レースはセーフティカーランのままチェッカーフラッグが振られ、アントネッリは3位を死守した。最年少での表彰台獲得とはならなかったが、この表彰台はアントネッリにとって、大きな意味を持つ表彰台となった。
「直前の3連戦がああいう形で終わっていたので、正直自信を失いかけていたから、この表彰台は結果以上に非常に大きな意味を持つ表彰台となった。最高の復活となったね」
それでも、アントネッリはこの表彰台に満足しているわけではない。
「まだやるべきことがたくさんあることはわかっている。特に予選では、セッションの序盤からもっとペースアップしていかなければならない」
アントネッリの表彰台は、イタリア系のファンにとっても大きな意味を持つものとなった。イタリア人ドライバーが最後に表彰台に立ったのは、2009年の日本GPで2位となったヤルノ・トゥルーリ以来で、じつに16年ぶりのことだった。モントリオールには150万人のイタリア系カナダ人が住んでおり、表彰式ではコース上に多くのイタリア国旗を振るファンで埋め尽くされた。
「イタリア人にとって、待ちに待った表彰台。素晴らしい気分だ。次の目標はもちろん勝利。イタリアを再び世界のトップに戻すことだ。それが世界中のティフォシの願いだから」
アントネッリが今年優勝すれば、チームメイトのジョージ・ラッセルや史上最年少優勝記録を持つフェルスタッペンらもできなかった偉業達成となる。
[オートスポーツweb 2025年06月23日]