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帝国データバンクが全国1227社を対象に実施した「2025年夏季賞与」に関する調査によると、従業員1人当たりの平均支給額が「増加する」と回答した企業の割合は33.7%となり、前年から5.8ポイント減少した。支給額の全体平均は前年比1.8万円増の45.7万円だった。
2025年の夏季賞与(従業員1人当たり平均)の支給状況を見ると、「賞与あり・増加」は33.7%(前年比5.8ポイント減)、「賞与あり・変わらない」は37.0%(同2.8ポイント増)、「賞与あり・減少」は12.0%(同0.7ポイント増)だった。「賞与あり」と答えた企業は82.7%で、前年の85.0%から2.3ポイント低下。「賞与なし」の企業は13.0%(同2.7ポイント増)となった。
企業規模別に見ると、「賞与あり・増加」と回答した割合は「大企業」で38.4%と、全体平均(33.7%)を4.7ポイント上回った。
一方で「中小企業」は33.0%、「小規模企業」は27.0%にとどまり、「大企業」との間に11.4ポイントの格差が生じている。
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賞与を増やすと回答した企業からは、「売上や利益が順調なための還元と、物価上昇対策」(不動産)といった声が多く寄せられた。
業績が厳しい企業からは「営業利益は前年より大幅減だが、人材確保とモチベーション維持のために賞与を増額」(機械・器具卸売)、「賃上げを実施した4月に続き、賞与も増額。必要な人材を確保するための危機感から」(建設)など、人材確保・定着を優先した判断が目立った。
このほか「物価高で生活が苦しい社員のために支給する」(情報サービス)、「賞与とは別にインフレ手当も予定」(食品・飼料製造)といった、生活支援を目的とした動きもあった。
一方「変わらない」「減少」と回答した企業からは、「業績低迷で賞与は現状維持がやっと」(紙類・文具・書籍卸売)、「原材料・エネルギーコストの上昇や人件費増加、売上減などが重なり、賞与増額の余裕がない」(繊維・服飾品製造)といった、経営を圧迫するコスト負担の声が多く上がっている。
帝国データバンクは「今後は物価高騰による企業収益の圧迫や先行き不透明感の強まりから、賞与を含む賃金引き上げが一層困難になる可能性がある。深刻な人手不足が続く中、人材の確保・定着を図るには『賃上げ』の継続が必要」であると指摘する。
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