
カウンセリングに訪れた相談者のケースも交えながら、モラハラの変化と被害に遭った際の対策を紹介します。
実例「我慢妻」K子さんのケース
結婚3カ月後から夫のモラハラが始まったというK子さんの事例を紹介しましょう。結婚当初は、グイグイと引っ張っていくタイプの夫が頼もしく見えたというK子さん。ところがほどなくして「誰の稼いだ金だと思ってるんだ?」というモラハラ発言や罵声などの精神的暴力が始まったといいます。
少しでも気にいらないことがあると、夫から何時間にもわたって怒鳴られ続け、それでもK子さんは「私は専業主婦だし……」と我慢するしかありませんでした。ついには生活費も渡してくれなくなったといいます。
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モラハラをどう回避すべき?
モラハラは、密室だからこそ起こるハラスメントといえます。モラハラ夫は、家の外では愛想がいい常識的な「いい旦那さまね」と言われる人だったりします。だからこそ周囲には、被害が伝わりづらく、結果的に我慢が続き、次第に心身に支障をきたす人が多いのです。この状況を回避するためには、モラハラ夫と物理的な距離をとるために、さまざまな理由をつけて外出したり、友人や知人との交流を持ってガス抜きすることが大切です。それによって、自分で自分の状況に気付くこともできるはずです。
時代とともに変化するモラハラ
最近では、女性からの加害がつらいと男性が悩むケースも多くなっていますし、モラハラの種類も変わってきています。例えば、「サイレントモラハラ」。口をきかない、目を合わせない、部屋に閉じこもってしまう、会話がまったくない……これもモラハラの一種とされています。家の中という、他人からは見えない「密室」で起こる精神的暴力は、自分自身が早く気付いて早く逃げることが大切なのです。
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岡野 あつこプロフィール
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。32年間で相談件数3万8000件以上、2200人以上の離婚カウンセラーを創出。著書多数。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』。(文:岡野 あつこ(離婚ガイド))