グリセリンフリー化粧品の人気はニキビ予防?その理由と真偽は?

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2025年06月28日 07:30  JIJICO

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最近、グリセリンフリーの化粧品の人気が高まっています。
グリセリンは保湿効果が高く汎用性のある成分です。そのため、多くの化粧品に配合されています。しかし、最近では「グリセリンフリー」が注目され話題になっています。
その理由は何でしょうか?
この記事ではグリセリンフリー化粧品のメリット・デメリットを徹底解説します。


1.グリセリンとはどんな成分


グリセリンは、脂肪酸とのエステルであるグリセリドとして人を含む動植物の油脂中に広く存在しています。
肌の中には主に皮膚表面の皮脂膜や角質層などに存在しています。
化粧品成分としてとてもよく使われる成分で、スキンケア製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、シート製品、マスク製品、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、アウトバストリートメント製品、洗顔料、洗顔石鹸、頭皮ケア製品、ボディソープ製品、まつげ美容液、ヘアスタイリング製品、香水、入浴剤など様々な製品に汎用されています。
それは、グリセリンが、次のようなはたらきがあり、かつ安全だからです。


●角層水分量増加による保湿作用
●保水
●溶剤
●温感付与


また、グリセリンは化粧品以外でも着色料、香料などの溶媒、冷菓の結晶化防止、乾燥食品や菓子類の保湿剤、チューインガムの軟化などのために食品にも使われます。
さらに、医薬品として浣腸薬として用いられています。


このようにグリセリンは、多様なはたらきと安全性の高さ、刺激性の無さから、生活の欠かせない成分の1つなっています。
しかし、最近ではグリセリンフリーの化粧品が注目されているのです。


<参考>
グリセリンとは?効果と安全性を知って化粧品や化粧水を使おう!


2.グリセリンフリーの化粧品がなぜ注目されるようになったの?


なぜ、グリセリンの配合されていない化粧品が注目されるようになったでしょうか?
そのきっかけは、株式会社サティス製薬の「グリセリンの資化性」試験研究報告です。


試験では、アクネ菌にグリセリンほかいくつかの保湿成分を与えてその増殖率を測定しました。
その結果、グリセリンを与えた場合、グリセリン無添加の時と比べてはアクネ菌が約4倍に増殖することがわかったのです。
一方、グリセリン以外の保湿成分は、保湿成分無添加のときと同様の増殖率でした。
この結果は、「グリセリンは他の保湿成分と異なり、アクネ菌を増やす」をいうことを示唆しているのです。
アクネ菌と言えば、ニキビの原因になることがよく知られています。
この結果から「グリセリンを使うとニキビになりやすい」との印象から、グリセリンフリーの化粧品が注目を浴びるきっかけの一つになったようです。


<参照記事>
【研究調査】化粧品でアクネ菌が増える?〜保湿剤編〜(株式会社サティス製薬,2009.05.19)


3グリセリン化粧品でニキビになりやすい?


では、この試験結果からグリセリン化粧品でニキビになりやすいと言えるのでしょうか?


結論を言えば、「そうとは言えない」が答えです。
その理由は何でしょうか。


1)臨床的な学術論文が無い


先ほどの研究は、試験管の中での試験(in Vitro試験)です。つまり、人で試した実験ではありません。そのため、人がグリセリン配合の化粧品を使ってアクネ菌が増えると言い切れるわけではありません。
また、グリセリン化粧品を使ったニキビになりやすいかどうかを研究した臨床研究の学術論文も見当たりません。
このことから、「グリセリン化粧品でニキビになりやすい」とは言い切れないのです。


2)アクネ菌が増えても直接ニキビになるとは言えない


アクネ菌は、常に皮膚に存在する皮膚常在菌の一種です。
嫌気性菌と言って、空気が減ると増殖する性質を持つ菌です。そのため、毛穴が詰まると、急に増殖します。アクネ菌が急に増殖することで、皮膚常在菌のバランスが崩れます。それが引き金となって、炎症を起こしてニキビの原因となってしまうのです。
しかし、普段のアクネ菌は、皮脂を分解してグリセリンなどを作ります。そのため、
肌にうるおいを与えながら肌のpHを弱酸性に保ちます。この働きで、悪玉菌である黄色ブドウ球菌やなどの病原菌の繁殖を抑えてくれる大切な役割があります。
つまり、アクネ菌を増やすことで、必ずしもニキビの発症につながるとも言い切れないのです。


実際、グリセリンは肌刺激がなく、肌を保湿できるため、多くのニキビケア製品でも配合されています。
このことから、「グリセリンでニキビになりやすい」は、1つの試験からの論理の飛躍と言えると考えられます。


4.脂性肌や毛穴詰まりがある方はグリセリンに注意が必要


ではどんな肌質でグリセリンが向いているのでしょうか?
結論は。「グリセリンが向かない人も一定数いる」、「グリセリンフリーの化粧品の方がベターな場合もある」が回答です。
毛穴の詰まりがある人や角栓ができやすい場合には、アクネ菌の増殖を抑えるべきです。
そのため、グリセリンを使うとアクネ菌が増える可能性があります。
先ほど、臨床試験ではないため「アクネ菌が増えるとは言い切れない」と説明しましたが、アクネ菌が増える可能性も否定できません。
したがって、もともとリスクが高い脂性肌の方は、グリセリンフリーの化粧品を使うのも選択肢となります。


といっても、グリセリンの保湿効果と安全性から考えれば、グリセリン「0」にこだわる必要もありません。
脂性肌やニキビがある方で、グリセリン配合化粧品を使っても問題なければ使えばよいでしょう。
一方、グリセリン配合化粧品が合わない方は、グリセリンフリーを使うことをおすすめします。


5.まとめ:グリセリンフリーの化粧品はメリット・デメリットを理解して使おう!


グリセリンはとても有用な化粧品の成分で、グリセリンフリーかどうかを気にする必要が少ない成分です。
しかし、グリセリンフリーの化粧品にもメリットがあります。
ここでは、グリセリンフリーの化粧品のメリット・デメリットをまとめます。





メリット

ニキビ予防ができる可能性がある
べたつきが少ない化粧品がある



デメリット

保湿効果が少ない場合がある
値段が高い製品がある




グリセリンにメリットとデメリットがあるので、グリセリンフリーの化粧品にもメリットとデメリットがあります。
グリセリン配合が良いか、フリーが良いかは自分の肌に合わせて考えましょう。



(富本 充昭・エイジングケアやスキンケアのアドバイザー)

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