“パリッとジューシー”だけじゃない。「音×食感」で再評価されるウインナー

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2025年06月29日 13:00  クックパッドニュース

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クックパッド初代編集長の小竹貴子が、家庭の食卓の今を見つめ、食の未来を探る連載。今回は、食トレンド大賞2024で注目された“ザクザク”ブームを起点に、再び脚光を浴びるウインナーの進化に迫ります。

焼いたときに響く「パリッ」という音。かじった瞬間の「プリッ」という弾ける食感──。 今、ウインナーが“音×食感”という新しい価値をまとい、定番食材から“体験型の食”へと進化を遂げています。

食のトレンドは「音」で広がる──五感を刺激する食体験の現在地

2024年、クックパッドが発表した「食トレンド大賞」のキーワードは「ザクザク」というキーワードでした。

焼き菓子にとどまらず、唐揚げやラー油など“しょっぱい系”にも広がるこの言葉は、「音」そのものが食欲をそそる価値として捉えられていることを示しています。

背景には、ASMR(音フェチ)動画など「咀嚼音」への関心の高まりです。「食べる音」が心地よさや満足感を生み出す“体験”として注目され、音を通じた食の五感化が加速しています。


40周年で生まれ変わるウインナー──音と食感で魅せる“嗜好品”へ


そんな「音×食感」トレンドの流れを汲むかのように、注目を集めているのがウインナーです。

2025年、日本ハムの「シャウエッセン」が発売40周年を迎えました。ここ数年で“朝食の定番”だったウインナーが大きな変化を遂げています。

その転機となったのが、“掟”の見直しです。「切ってはいけない」「味を変えない」「ボイルで調理」といった社内ルールを緩和し、電子レンジ調理やスライス利用を解禁するなど、現代のライフスタイルに適応。これにより、時短・簡便調理を求める層から支持を集めるようになりました。

さらに注目すべきは、用途の拡大です。 従来の朝食やお弁当だけでなく、「夜の食卓」や「おつまみ」にも対応した新商品が登場。黒胡椒やにんにくを効かせた濃厚フレーバーの「夜味シリーズ」など、大人向けの嗜好品としての展開が進んでいます。

この流れは他社にも広がっています。プリマハムの「ギルティソーセージ(ガーリックバターチーズ)」は“背徳グルメ”として話題を呼び、特に20〜40代の女性から人気に。また、三島食品とフードリエがコラボした「ゆかりウインナー」は、赤しその香りと肉の旨みが融合した“ご褒美ウインナー”として支持されています。

こうしてウインナーは、「安価で手軽な日常食」から「香り・味・体験を楽しむ嗜好品」へと再定義されつつあるのです。

「音がする料理」の象徴──SNSで火がついた“パリパリ系”レシピ

ウインナー人気の再燃を象徴するのが、SNSを起点に広がった「パリパリ系」のレシピです。 なかでも話題となった「パリパリウインナー」は、ワンタンの皮でウインナーを巻いて揚げ焼きにする料理。外はパリパリ、中はぷりぷりの二重食感に加え、調理中の音や肉汁のはじける映像がSNSで拡散されました。

これは、2024年の「ザクザク」トレンドの文脈とも接続しています。五感、特に“音”による食体験が、食欲や満足感に深く関係していることを示す事例です。

クックパッドでも「パリパリウインナー」のレシピが数多く投稿され、検索数も上昇しています。「お弁当」だけではなく、「夜ごはん」「おつまみ」など新しい文脈での検索が目立っています。

“便利でうまい”を超えて──生活者視点で再評価されるウインナーの価値

物価高が続く中、ウインナーはその手頃さと保存性から“家庭の救世主”として再注目されています。卵や精肉に比べて価格が安定しており、冷蔵保存も利く。さらに、「焼くだけ」「レンジで温めるだけ」という調理の手軽さもあり、料理初心者や共働き家庭の強い味方になっています。

それだけではありません。クックパッドの「たべみる」データによれば、「ウインナー」の検索は一時下降傾向にあったものの、2024年以降、じわじわと回復を見せています。特に、「お弁当」よりも「チートデイ」「夜ごはん」「背徳レシピ」など、“自分を甘やかす食”という文脈での検索が増加傾向にあります。

この背景には、家庭食に求められる価値の変化があります。「栄養」や「節約」だけでなく、「気分転換」「満足感」「五感の楽しさ」といった、より感覚的な価値が求められるようになってきたのです。

食品メーカーが新たな食べ方やシーンを提案し、生活者がそれを受け止め、またSNSで共有する。この循環のなかで、ウインナーは“再定義された定番”として復活を遂げつつあります。


“五感で楽しむ家庭料理”という新たな日常

ウインナーの再評価は、「音」や「香り」といった感覚的な価値が、家庭料理の中でも重視されるようになってきた時代の変化を物語っています。

いま、多くの人が求めているのは、がんばりすぎずに気分を上げてくれる料理。焼いたときのパリッという音、ジューシーな香り、手軽にできて満足感もある——そんな“便利さ”と“楽しさ”を兼ね備えた食材として、ウインナーが再び脚光を浴びているのです。

いつものごはんを、ちょっと楽しく、ちょっと気分よくする。そんな日常の小さな変化が、これからの家庭料理のヒントになるのではないでしょうか。

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