2025年F1スペインGP フランコ・コラピント(アルピーヌ)とガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー) アルピーヌF1チームのリザーブドライバーであるポール・アーロンが、キック・ザウバーでフリープラクティス1回目の走行を任されたことは、両チームが技術面で関係を築く可能性を示唆する動きであるととらえることができる。
ルーキー起用規則により、アーロンは第12戦イギリスGPのFP1で、ニコ・ヒュルケンベルグのマシンに乗り、グランプリウイークエンドへのデビューを飾った。第14戦ハンガリーGPでもアーロンがFP1の走行を担当する予定だ。
アルピーヌがアーロンをキック・ザウバーに貸し出したことの背景には、両者の関係における変化があるのかもしれない。
既報のとおり、キック・ザウバー/アウディは、アルピーヌのエンジン部門と2026年に向けて技術的な契約を結びたいと考えている。アウディ・ワークスチームとしてF1に参戦するにあたり、同チームは、アルピーヌが新しい技術規定のために開発していたエンジンの一部技術にアクセスできるような契約を検討しているのだ。
アルピーヌ/ルノーは、新エンジンレギュレーションのための準備を進めていたが、ルノーCEOルカ・デメオおよびアルピーヌのエグゼクティブアドバイザーのフラビオ・ブリアトーレが、パワーユニット部門のプログラムを中止し、2026年からメルセデス製パワーユニットを搭載することを決定した。
エンストンにあるアルピーヌF1の車体部門およびレースチームは、A525のスピード不足はパワーユニットの非力さに起因するとして不満を訴え続けている。しかし、ある関係筋によると、ルノーのパッケージは、とりわけ内燃機関ICEが優れているということであり、アウディはこの技術を活用することを狙っているのかもしれない。
アウディにとって、ほぼ完成された内燃機関の技術にアクセスできるなら、ノイブルクの開発チームはハイブリッド部分の開発に集中することが可能になり、2026年パワーユニット全体の作業を加速させることにつながるだろう。
一方アルピーヌにとっては、もはや使用しない技術を売却できれば、予期していなかった収益を得ることができるため、両者にとってこの取引は“ウィン・ウィン”である。
アルピーヌとの関係構築においては、ザウバーにジョナサン・ウィートリーがチーム代表として新加入したことが影響しているかもしれない。ウィートリーは、2005年と2006年にフェルナンド・アロンソがタイトルを獲得したころのルノーにおいて、フラビオ・ブリアトーレがチーム代表を務めていた時期に、チーフレースメカニックを務めていた。
[オートスポーツweb 2025年07月15日]