ホーナー後任メキースの船出。歓迎ムードの後に残るのは、レッドブル再建への厳しい現実/F1チーム代表の現場事情

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2025年08月12日 08:40  AUTOSPORT web

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2025年F1第13戦ベルギーGP ローレン・メキース代表とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、ベルギーGPからレッドブル・レーシングのチーム代表に就任したローレン・メキースに注目した。

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 サマーブレイク前の最後のダブルヘッダーを、ローレン・メキースは、予想していたものとは非常に異なる形で過ごした。7月初め、F1チームがシルバーストンを後にした時点で、メキースはレーシングブルズの指揮を執り、若手ドライバーのアイザック・ハジャーとリアム・ローソンがしばしばポイント争いを繰り広げる、好調なシーズンを送っていた。

 しかしスパ・フランコルシャンのパドックに足を踏み入れた時、メキースは全く異なる責任を担っていた。複数回ワールドチャンピオンを経験したレッドブル・レーシングの新しいチーム代表兼CEOとして、ネイビーカラーのウェアを身に着けていたのだ。

 20年にわたりチームを率いてきたクリスチャン・ホーナー代表が解任されたことは、すべての人々にとって驚きであり、それはメキースにとっても同じだった。彼はレッドブル全体の組織の一部であり、チームが直面していた課題を認識していたにもかかわらずである。ホーナーの後任を務めてほしいという電話を受けた時、メキースは驚き、考える時間が欲しいと答えたが、後に折り返し電話をかけ、引き受けると伝えた。

 就任の2日後、レッドブルがシルバーストンでフィルミングデーを行っていたため、メキースはサーキットに向かい、一部の現場チームメンバーと面会することができた。その後はミルトンキーンズのファクトリーで過ごし、スパでレースチームと仕事を始めるまでの準備を行った。

 フィルミングデーの後、レッドブルはメキースのインタビューの模様を公開したものの、彼が新たな役職で公に質問に答えたのは、ベルギーの金曜日が初めてだった。その前日の木曜日には、ドライバーたちがメディア対応を行ったため、レーシングブルズのドライバーたちと、レッドブルのマックス・フェルスタッペンおよび角田裕毅から、メキースのマネジメントスタイルとビジョンについて多くの好意的なコメントが寄せられた。

 メキースに敬意を抱いているのは、ドライバーたちだけではなかった。メキースはレッドブルにとって新時代の幕開けを象徴する存在であると同時に、レッドブルと多くのライバルチームとの関係をリセットする機会も提供することとなった。

 最初にメキースを招待したのはメルセデス代表トト・ウォルフで、ふたりはスパ・フランコルシャンでの予選後にメルセデスのモーターホームで会談を行った。同じ週末には、フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールも同様の会談を行い、ハンガリーではマクラーレン・レーシングのCEOザク・ブラウンがメキースを訪問した。

 こうした会談の目的は、チーム間に敵意がないこと、以前の緊張関係は前代表との間だけのものだったことを明確にすることだった。メキースは、自らのアプローチやレッドブルに対する計画、さらに全チーム間の協力を必要とする可能性があるF1の幅広いテーマについての自身の見解を議論できる機会を得られたことを喜んだ。

 メキースは、就任後最初の2レースで多くの支持を受けた。フェルスタッペンは、新チーム代表の下での良好なコミュニケーションと柔軟な姿勢を、非常に前向きなスタートだと評価した。

 ただ、F1はひとつの変化だけでパフォーマンスをすぐに改善できるスポーツではない。

 メキースは、ブダペストでレッドブルが直面している困難を痛感させられた。明らかにパフォーマンスが不足しており、フェルスタッペンは予選ではなんとかQ3に進出したものの、決勝ではひとつ順位を落とし、9位という結果にとどまった。まさに、レッドブル本社がチーム代表交代の必要性を感じた主な理由が浮き彫りになった形だ。

 メキースは、開幕2戦で寄せられた前向きな評価に励まされただろうが、蜜月期間は長くは続かない。現在レッドブルが直面している負の流れを反転させるという重大な課題に取り組まなければならないからだ。自らに課せられた仕事の大きさを、仮にそれまでは分かっていなかったとしても、今の彼は十分認識してサマーブレイクに入ったはずだ。

[オートスポーツweb 2025年08月12日]

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