『もしもワニに襲われたら』ジョシュア・ペイビン もしも野生の獰猛な動物と対峙しなければならなくなったら、生き残るためにあなたは何をするべきか。「普通はそんな状況に陥ること自体がありえない」と一蹴したくなるかもしれないが、その可能性が0パーセントでない限りは、日頃から"もしも"を想定しておくのも良いだろう。そんなときには、今回紹介する書籍『もしもワニに襲われたら 究極のサバイバルシリーズ』(文響社)が役立つに違いない。
本書は、全米でミリオンセラーにもなった書籍『この方法で生きのびろ!』(草思社)に新章が追加されたリニューアル版。さまざまな"もしも"の状況下でサバイブする方法について、専門家の意見も取り入れながら著者であるジョシュア・ペイビン氏とデビッド・ボーゲニクト氏がまとめている。なお日本語訳は、梅澤乃奈氏が担当した。
さっそくだが、本書のタイトルにもなっている"もしもワニに襲われたら"という状況についてまずは考えてみたい。日本に野生のワニが生息する地域は今のところないとされているものの、海外旅行先などでワニの生息域に近づくことはあるかもしれない。優雅に水辺でバカンスを過ごしている最中に野生のワニが突然襲いかかってきたら、どうすれば良いのだろうか。
本書によると、ワニに噛みつかれた場合にまず阻止しなければならないのが"揺さぶり"や"回転"だ。噛まれたままの状態でワニに動かれてしまうと、組織の損傷がさらに大きくなってしまう。
「陸地にいる場合は(非常にやりにくいですが、水中でも同じことを推奨します)噛みつかれていない部分を使って、抱きつくようにワニにしがみつきます。こうすることで、ワニは揺さぶったり回転したりするのが困難になります(泳いだり、獲物を遠くへ運んだりするのも困難になります)」(本書より)
さらにワニの動きを止めるだけでなく、攻撃を加えるのも重要。ワニは体が硬いうろこで覆われているため一見すると攻撃しにくそうだが、実は鼻や目の部分は柔らかい。そのため噛みつかれた際は、まずワニの鼻先を殴るのがおすすめだ。場合によっては、噛みつくのをやめて後退していくかもしれない。
「鼻先を殴ってもワニが口を開けない場合は、武器になりそうなものをすべて使ってください。もしくは拳で勝負です」(本書より)
なおワニは攻撃を受けると、ダメージが通りやすい目元を頭部に沈めて防御しようとする。しかし攻撃の手は決して緩めず、強い力で殴り続けることが大切だ。運良くワニを撃退できたあとには、ケガの大きさにかかわらず医療機関で必ず治療を受けよう。
ワニの襲撃と同様に"もしも"の一例として挙げられるのが、"生きたまま埋葬される"という事態だ。日本では火葬が主流になっているものの、悪意を持った何者かによって棺に閉じ込められ埋められてしまう可能性はゼロではない。
自分が棺に入れられ生き埋めにされたと気づいたら、まずは酸素の確保を優先すべきだと本書は示している。息を深く吸い込んだあと、できる限り長く息を止めてから吐き出すような呼吸法が有効だ。
「吸い込んだ息を吐き出さずに飲み込んでしまうと過呼吸の原因になるので、絶対にしないでください。マッチやライターを点火するのも厳禁です。燃焼することで、必要な酸素が失われてしまいます。
大声で叫ぶのも我慢してください。叫ぶとパニックに陥り、心臓の鼓動が速くなり呼吸が荒くなってしまいます。貴重な酸素が、より早く失われる結果となります」(本書より)
もしも棺に使われている素材が合板やリサイクルの板紙など柔軟性のあるものであれば、蓋を突き破って脱出できるかもしれない。その場合はまず、着ている服を利用して頭部をカバーする。脱いだシャツなどの裾を結んで袋状にし、結び目が頭の上に来るような形で襟首側から頭を入れればOKだ。
「これで、土砂が流れこんできて窒息してしまうのを防ぎます」(本書より)
棺を開けるには、手足を使う。
「安物の棺であれば、この時点で上からのしかかる土砂の重みで裂け目が生じているはずなので、簡単に突き破れるでしょう」(本書より)
うまく蓋を突き破ることができれば、そこから棺の中へ土が流れこんでくる。決してパニックにならず、入ってきた土砂をすばやく足元や体の両脇に押しやっていくのがコツだ。このときも、一定の間隔を保って呼吸することを忘れてはいけない。そして上部にスペースができたらまずは上半身を起こし、立ち上がれるようになるまで土を棺の中へと押し込んでいく。
「立ち上がれたら、頭上の土をどかして墓穴から出られるはずです。頭上の土をかき分けて、這い上がりましょう」(本書より)
ちなみに専門家曰く、雨などで土が濡れていたり、粘土を多く含む土地に埋められたりした場合では脱出が難しくなるという。また棺が硬い素材でできていた際には、金属製の製品で音を鳴らしSOSのサインが誰かに届くことを祈るしかない。
いつかあなたの命を救うかもしれない、"もしも"のためのサバイバル知識。本書を参考に、学んでみてはいかがだろうか。
『もしもワニに襲われたら』
著者:ジョシュア・ペイビン,デビッド・ボーゲニクト,梅澤乃奈
出版社:文響社
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