
絶賛公開中の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章。ついに、最終決戦の火蓋が切って落とされた。
『鬼滅の刃』は、集英社「ジャンプコミックス」より全23巻が刊行され累計発行部数は2億部を突破する、吾峠呼世晴によるマンガを原作とするアニメ。家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹・禰豆子を人間に戻すため<鬼殺隊>へと入隊し、鬼との戦いに身を投じる物語を描いている。
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ufotableがアニメーション制作を手掛けるアニメは、2019年4月の『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』を皮切りにシリーズが展開してきた。2024年5月より放送された『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』の最終話の放送後に、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が三部作として制作されることが発表となっていた。
その最終回にて、鬼舞辻無惨の手によって鬼の根城<無限城>へと落とされた炭治郎と<柱>たち。アニメ!アニメ!では、劇場版「無限城編」第一章にて上弦の弐・童磨と戦うことになる胡蝶しのぶ役・早見沙織にインタビュー。童磨役・宮野真守との掛け合いを振り返ってもらったほか、早見にとって胡蝶しのぶとはどんな存在なのかを聞いた。
[取材・文=米田果織 撮影=Ayumi Fujita]
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■童磨役・宮野真守との掛け合いは「童磨としのぶのやり取りそのもの」
――アニメが始まって6年、ついに物語は「無限城編」へと突入しました。これまでのしのぶからは想像できないくらい、激しい感情も見て取れるシーンがありましたが、演じられている際や映像を見て気持ちが入ったシーンなどはありますか?
すごく胸に突き刺さるシーンがいくつもありました。童磨は、姉さんを殺した憎き相手。しのぶさんにとっては、憎くてたまらない鬼です。その鬼にようやくたどり着いたので、揺れ動く感情と表情が描かれるシーンになりました

――対峙した童磨役・宮野真守さんの演技はいかがでしたか?
収録のときの宮野さんはすごく飄々とした演技をされていました。まっすぐ言葉を投げかけても、そのまま受け止めてはくれないような。
――とくに印象に残っているやり取りは?
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すべてです。どこを取ってもすべてがのらりくらりとしているんですよ。宮野さんは、とくにセリフの語尾に“童磨らしさ”を滲ませていたように感じます。
例えば「早いね」というセリフであれば、宮野さんは「早いねぇ」と表現されていました。その言い回し一つひとつが童磨らしくて。

――感情を強く出しながらの戦闘シーンはいかがでしたでしょうか?
以前、「竈門炭治郎 立志編」の那田蜘蛛山で戦闘シーンが描かれました。それ以外にもゲームなどで「蟲の呼吸」のセリフを言うシーンは何度もありました。今回の童磨戦はそれとは違う表現にしようと思っていたのですが、実際にアフレコをしてみると、意識せずともまったく違うものになっていて、自分でも驚きました。
隠そうとしても隠しきれない怒り、燃えるような思いがしのぶさんの中にあったので、それをぶつける相手が目の前にいるとなると、きっとなりふり構わずすべてをぶつけるのだろうという思いで演じました。
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――長い間しのぶを演じ続けて来た早見さんですが、収録に入る前に、何か準備したことなどはあったのでしょうか?
アニメ初期のエピソードを見直したり、また原作の「無限城編」を読んで、アフレコの日まで心の準備をしました。実はこの「無限城編」のアフレコ台本を開くのに、かなり時間がかかってしまったんです。この戦いを自分の声で表現することへの緊張感や覚悟、プレッシャーがあり、それに向き合うまでの気持ち作りに時間がかかりました。
――そんな早見さんの背中を押した1番のきっかけは何だったのでしょうか?
それはまさに、胡蝶しのぶという人です。しのぶさんがこれだけの想いを抱えて戦いに臨んでいるというのに、私がビクビクしていてどうする!と奮い立たせてくれました。また、これまで積み重ねて来た“しのぶさんとの時間”というのもあります。原作を読んで、アフレコで演じてきた時間を通して、“胡蝶しのぶの生き様”を自分の中に取り込んできました。しのぶさんがグッと背中を押してくれたように感じています。
――音響スタッフなどから受けたディレクションで、印象的なものは?
今回、あまりディレクションが入らなかったことが印象的でした。これまではセリフによって何回かリテイクをしたり、表現を変えることもあったのですが、「無限城編」ではそれがほとんどなくて。
パターンを録ろうと思えばいくらでもできる中で、やり直しや修正があまり入らなかったのは、きっと皆の気迫があったからだと思います。調整せずに生々しさを重要視してくれたのは、長年一緒にやってきた“呼吸”みたいなものがあったからだと思います。
■“胡蝶しのぶの生き様”を音で表現するために

――そんなアフレコを経て、ようやく映像が完成しました。ご覧になって、あらためて感想をお願いします。
「映像に圧倒されるってこういうことだな」と思っていました。まるで自分も作品に入り込んでしまったような空間のリアルさ、映像の迫力を感じられるシーンが、開始1秒から目の前に広がります。映画の大スクリーンで見るとより圧倒されました。また、第一章ではほかのキャラクターたちの戦いも描かれるのですが、そのすべてがすごくて、のめり込むように見てしまいました。
――アニメでは毎回「作画のクオリティがすごすぎる」と話題となっていましたが、今回の無限城の描写は「すごすぎる」という言葉だけでは表現できないものがありましたね。
本当に! その名の通り「無限に広がる城」。あの入り組んだ構造と、底知れない不気味のようなものを映像で表現するとどうなるのかと気になっていましたが、完成度の高さに驚かされました。
しのぶさんと童磨との戦いの行われるところも幻想的で美しい場所ですよね。惹きこまれる描かれ方がされているなと感じました。そんな静かなシーンから、バトルシーンが展開するというギャップは必見です。
■戦いで燃え尽きたあとは…焼肉で女子会?

――しのぶ以外で「無限城編」の活躍を見て、新たに魅力を感じたキャラクターはいますか?
普段とはまったく違う善逸くんの様子は、惹きつけられました。因縁の相手・獪岳との戦いということで、普段のギャグっぽいかわいらしさが鳴りを潜めて、静かに落ち着いて、動揺せずに信念のもとに戦うギャップにハッとさせられました。爺ちゃん(桑島慈悟郎)とのやり取りはとても感動的で、会場では周りからすすり泣く声が聞こえてきました。劇場に足を運んでくださった方も、きっとあのシーンは印象的なのではないでしょうか。
――獪岳役・細谷佳正さんの演技の印象を聞かせてください。
獪岳の第一声からしびれました。もちろん嫌な感じもあるのですが、力強さから凛々しさ、カッコよさも感じ取れて、声がついてより魅力的なキャラクターになったと思いました。善逸くんがそれにまったく動じておらず、だからこそ善逸くんの魅力がより際立ったように感じますね。
――合わせて石田彰さんの表現の印象は? 今回は猗窩座が鬼になる前・狛治のシーンも描かれました。
職業病なのか、アニメ作品を見るときは声優さんの表現を意識してしまいがちなのですが、猗窩座の過去の物語に入り込んでしまいました。まさにレジェンドの表現だからこそだと思います。また、今作をご覧になると猗窩座の見え方が変わると思います。
――しのぶのシーンはすべて掛け合いができたとのことですが、カナエ役・茅野愛衣さんとの掛け合いで印象に残ったことは?
愛衣さんは笑顔がかわいくて、懐が深くて、優しくて、少しお茶目で、本当に姉さんみたい。私にとってもお姉さんのような存在です。「無限城編」では、彼女の芯の強さみたいなものが、愛衣さんの表現からビリビリと伝わってきました。
そのアフレコが終わったあと、私の精根が尽き果ててしまって。「お肉でも食べたい気分です」と言ったら、愛衣さんが「じゃあ今から焼肉行こう!」と誘ってくださって。カナヲ役の上田麗奈さんと3人で焼肉を食べに行きました。アフレコ以外でも姉妹仲を取り持ってくれる、優しいお姉さんです。
――この戦いを経て、あらためて胡蝶しのぶとはどんな人物だと捉えられましたか?
何度かその質問を受けたことがありますが、毎回「本当に胡蝶しのぶという人は………」と考えに耽ってしまいます。どれだけのものを抱えて、どれだけの精神力を注いで、どれだけ自分の弱さを強さに変えて生きて来たのだろうと、共に歩めば歩むほど私の中に強く染み込んでくるんですよね。その生き様に影響されるところもあるし、その生き様を音として表現する役割を担った者として、精一杯できることをしたい。今はただそういう思いです。
――最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。
ついに「無限城編」が公開となりました。数多の激闘が描かれているのですが、まだ第一章です。まだまだ始まったばかり、私もしのぶさんのシーンにすべてを込める思いで演じています。今作れを皮切りに広がっていく「無限城編」を、ぜひ共に走り抜けて、見届けていただけるとうれしいです。


『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
公開中
【スタッフ】
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島 晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸・梶山庸子・菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督・フィニッシング演出監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野 学
音楽:椎名 豪・梶浦由記
主題歌:Aimer「太陽が昇らない世界」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)・LiSA「残酷な夜に輝け」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
総監督:近藤 光
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
【キャスト】
竈門炭治郎:花江夏樹
竈門禰豆子:鬼頭明里
我妻善逸:下野 紘
嘴平伊之助:松岡禎丞
栗花落カナヲ:上田麗奈
不死川玄弥:岡本信彦
冨岡義勇:櫻井孝宏
宇髄天元:小西克幸
時透無一郎:河西健吾
胡蝶しのぶ:早見沙織
甘露寺蜜璃:花澤香菜
伊黒小芭内:鈴村健一
不死川実弥:関 智一
悲鳴嶼行冥:杉田智和
猗窩座(上弦の参):石田 彰
※ 禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記。
※ 鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記。
※煉獄の「煉」は「火」+「東」が正しい表記。
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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